ダレット計画

 昨日CLPのガザ地区へのイスラエルによる爆撃と侵攻についての配信 
D2021×CLP「ガザで一体何が起きているか -民族浄化とは何か-」を視聴した。

この番組は、出演者の選択からわかるように、パレスチナ側の視点による、イスラエル建国から現在に至る、パレスチナ問題の経緯と、イスラエル政府の立場にたてば、10月ハマスのテロ的行為を含むガザの壁の突破と侵攻への、反撃として始まった「イスラエル ガザ戦争」で、現地はどのような状況になっており、そしてどれほどそれが深刻で、非人道的な状況であるか、そしてそれを止めるため、一般市民は何ができるかという具体的な提案が述べられている。

この番組中、誰からもハマスの兵士による残虐で非道な行為(当然、一般市民への虐殺や、連れ去り人質にした事、確認されている様々な性犯罪も含んでいる)を具体的に名指しし批判し糾弾する発言は、出てこない。

だが、私はその必要は無いと思っている。それは、どっちの問題を今語るかというよりも、どっちの立場で物事を考えるかであり、この番組はパレスチナ側の視点で、現在ガザ地区のパレスチナ人がどれほどイスラエルに追い詰められているか、その現状を伝え、国際社会と一般市民に訴えるための番組なのだ。

私個人としての見解は、当初からハマスのイスラエルへの大規模攻撃が行われた責任は、イスラエルという国家と一部のイスラエル人によるパレスチナ人への何十年と続く入植と弾圧、そのイスラエルを支援するだけで、止めない国際社会にあると考えているので、根本的で最善の解決策と、それがあっても具体的に実行するのは、少なくとも今の国際社会では不可能だろうという、悲観的な思いが更に強くなるばかりだが、ガザ地区の病院で生まれた、パレスチナ人である、ハニン・シアムさんのダレット計画への言及は、まさしくパレスチナ人がイスラエルという国家、特に今のネタニヤフ政権に対する率直な恐怖と不信を示しており、早尾貴紀氏による、ハマスとファタハについての私見は、良く西側メディアやイスラエル支持派が言う(もちろんイスラエル政府もだが)ハマス=テロ組織、パレスチナ人さえ人質にして、イスラエルの建国さえ認めない危険な集団である一方、ファタハ=穏健な平和的解決を目指す、会話が成立する団体という、レッテルを簡単に覆してくれる

ハマスが、完全な支持を得ているとは言えないにしても、少なくともファタハこそ、人民に選ばれていない、もはや西側諸国の傀儡として、西岸地区に居座っているというのは、否定しようがないのではないか?そして、パレスチナ人として共闘するために、ハマスとファタハが連立するたびに、イスラエルによる激しい攻撃によって、分断されるというのは、歴史的事実だろう。 

一方で、ダレット計画についての評価は、イスラエル側、パレスチナ側の立場で大きく分かれていて、この計画は建国前に入植していたイスラエル領土の自衛のための計画であるという意見と、最初から、パレスチナの地からアラブ人を完全に追放し、土地を奪い取り、領土を広げる建国前からのマスタープランであるというのが、多くの研究者の間でも主要な論点となってきた。

もちろん、私なんかが、実際はどうであったかなんかわかるわけもないが、少なくとも、今ガザで目にしていること、そして今までの絶え間ない西岸への入植と、パレスチナ住民への迫害を見ていると、ダレット計画の目的はともかく、イスラエル政府は、パレスチナ人を完全に無力化し、あるいは追い出すために、ありとあらゆる機会を狙って動いていると考えざるを得ず、西岸とガザの現状結果的にそうなっているのは、間違いない事実だろう。

ダレット計画について、詳細な研究は色々あるのだろうが、日本語では2011年に書かれた岡山大学の佐藤寛和氏の、論文は非常にバランスが取れていると思うので、彼の中東研究へのリンクを貼っておく.

https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ja/44440

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私はこの漏洩は知らなかったが、ほとんどのメディアがすでに報じていることからも、イスラエル政府が、ガザ市民の救出を名目に、結局は住民を誘導し追い出そうとしているようにしか、私には思えない。

原文がネットにあるのだろうが、発見できないが、川上泰徳氏の丁寧な説明があったので、こちらにリンクを残しておく。



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