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水面(みなも)に映る、「今」をみつめる

ゆらゆらと、
やさしくささやく波に耳を傾ける。

小さく、消えてしまいそうな音。
それでも確かに、私たちの足元にやってくる。

一定のリズムで刻むその音は、
私たちの鼓動と共鳴して、
懐かしさと安心を、からだの内に届けてくれる。

何を語りかけているのだろう。
他愛もないことかもしれない。

太陽と、風と、海と、雲と。
それぞれが、顔を合わせて挨拶しているような。

そんな日常を思わせてくれる、島の穏やかな海。

からだと呼応する音は、安らかで耳心地がよく、
いつまでも、聴いていたかった。 

水面は、空を鏡のように映して、
どこまでも、青が広がっている。

さざなみが、それをぼかしていく。

はっきりと何かは見えない。
それでも確かに、映し出している。

雲間から日差しが降ると水面は煌き、
別世界のように美しいけれど、
そこに映るのは「今」の世界だけ。

未来ではなく、
過去でもなく、
理想の何かでもなく、
別の何かでもなく、

「今」をじっくり、ぼんやり、見つめさせてくれる。

島には、そんな仕掛けが意図せずたくさんあるようだ。

そんな場所を、ひとつでも見つけることができたなら。
きっと心は、安心して眠るんだろうな。 

穏やかな波のように、微笑み、語りかけ、
期待するでもなく、見放すわけでもなく、
「今」をみて、全てを肯定してくれているかのように、見守り佇む。

そんな、島と海の雄大な自然のように、
大切な人が、安心して眠れるように、
あたたかな人間になりたいと、心から思います。

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