マガジンのカバー画像

映画感想

49
わたしのみた映画たち
運営しているクリエイター

#映画

きみの鳥はうたえる:ゆらゆら揺れる

夜のクラブでゆらゆらと踊る石橋静河が美しかった。踊りって美しいんだなあと思った。 役者さんたちの目線とか表情からいろんな感情が読み取れる。思い返してみても、真剣な表情が思い浮かぶ。 そいえば、不倫してた店長さん、本気だったぽかったなあ。もうあんまり覚えてないけど。 最後にどうでもいい独り言なんだけど、私は最初からかっこつけずに優しく大事にしてくれる人と出逢いたい。 (もはやいつのだか分からないほど昔の下書きを公開しました)

「共犯者たち」:権力とジャーナリズム

2018年12月15日、はじめてポレポレ東中野を訪れた。 みたのは、「共犯者たち」。韓国の国家権力に対するジャーナリストたちの闘いを描いた韓国製のドキュメンタリー映画だ。 前日、堀潤さんのおすすめツイートを見て行くことを決意した。 李明博、朴槿恵政権の言論弾圧の実態を告発するドキュメンタリーで、チェ・スンホ監督自らが当時の関係者たちにインタビューする様子やストの様子が流れる。弾圧の対象となるメディア機関は、韓国の公共放送局KBSと公営放送局MBCだ。 参考:NHKよく

男はつらいよ お帰り 寅さん:気の向くままに

2020年新春一発目の映画は友人に誘われて寅さん映画に。寅さんの甥っ子の満男さんの視点から、過去の思い出を振り返るストーリー。映画というよりは、テレビの「○周年記念スペシャル」のような感じだった。 満男さんの妻は若くして亡くなっているという設定なのだけど、そのお父さまが「自分たちのことは気にしなくていいからいい人がいたら再婚してくれ」と満男さんに伝えるところが印象的だった。ちなみに、満男さんのひとり娘も自分のことは気にせずにいい人がいたら再婚してね、と言う。 わたしの従

君の膵臓をたべたい:私たちは自分たちの意志で出会ったんだよ

昨日の真夜中に、どうしてもみたくて布団の中でみた「君の膵臓をたべたい」。号泣してそのまま寝たので、今日は眠気と涙で目が腫れていただろう……。 終わったとき、頭に浮かんだのは、私が大学生のときにバス事故で亡くなった高校の同級生のことだった。 ある日、母が「●●高校って書いてあるけど知ってる?」と新聞を見せてくれた。そこにはバス事故で亡くなった大学生たちの顔写真があった。その中の1人が私の同級生だった。私はその子と同じクラスになったことはなかったけれど、お洒落でかわいい子だっ

永い言い訳:何のために生きていくのか

スマホですこーしずつみた、永い言い訳。 幸夫と陽一くんが海辺で遊ぶ子どもたちを眺めながら、こんなやり取りをするシーンがある。 幸夫 「守るべきものがあるっていいな」 陽一 「守るべきものがあるって大変だよ」 自分のことで精一杯なわたしは、もうひとり、自分が守らねばならない脆弱な生命が存在するなんて、とても大変なことだろうと思っていた。だけれども、それこそが生きる糧になることもある。 多くの人は、おとなになるにつれて、もう自分の幸せを追求するのに飽きるのか、諦めるのか、

「天然コケコッコー」:ピュアとはこのことだ

田舎の中学生のほんわか恋ものがたり。 夏帆がデビューしたぐらいの頃からずっと好きだったわたしは、ずっと天然コケコッコーを見ようと思いつつ、見ていなかった。やっとのことで見た映画で、夏帆は本当に漫画のヒロインそのもののような可愛さだった。岡田将生くんもかっこいいし、キャストの顔ぶれだけでも甘酸っぱいのでは、と思う。 いちばんキュンとしたのは、修学旅行で夏帆が東京の音に耳を立て、「(東京のことを)少し好きになれそう」と、うれしそうに岡田将生くんの手を繋ぐところ。意気揚々とした

「愛がなんだ」:愛ってなんだ

純粋に人を愛する女の子の片思い物語ということで、私は主人公に共感するつもりでこの映画をみにいった。 だけど、それほど共感できなかった。 共感できなかった理由は、一見、主人公のテルちゃんがあまりにも自分のことを大事にしていないように思えたからだろう。 私は自分が好きになった人のことはすごく好きだし、とても大事な存在だと思うけど、同時に、自分も大切にしたいと思っている。自分も相手も幸せであることが大事だ。 だから、大事にされていないことが分かっていても、マモちゃんの望みに

「最高の人生の見つけ方」:誰かに喜びを与えたか?

原題は、「The Bucket List」。 “The Bucket List”とは、kick the bucket ; (humorous informal) to die というイディオムからきているそうで、死ぬ前にしておきたいリストのことを指すらしい。 仕事第一で生きてきた大金持ちの病院経営者の男性と、家族を大事に生きてきた自動車整備工の男性ふたりが、死を直前にやりたいことを一緒にやりきるという映画だ。 ありきたりな感じだけど、あたたかい気持ちになって、みんなで号

「岬の兄弟」:生き方

ずーーーんと何かを訴えかけられているような気がするけれど、ある兄妹の日常を無心に描いているだけ、でもある。 主人公で、自閉症の真理子は、言葉で自分の感情を表現することがない。 だからこそ、この映画は無言で、何かを訴えかけてくる迫力があるように思う。 障害、貧困、性風俗を切り口に、人間の幸福、性欲、意思、愛、感情、家族、友情といったものを考えさせられる作品だった。 ちなみに、はじめて吉祥寺のアップリンクでみた。 懐かしの吉祥寺PARCOの地下がパステルカラーの壁のおしゃ

「人魚の眠る家」:生きているってどういうこと?

この映画をみたのはもうだいぶ昔のこと(1月くらい)だけど、終わったあとに頭の中がぐるぐる渦巻くような興味深い作品だった。 もともと自分に何かあったときの選択肢として、臓器移植に関心があったので、小松美彦さんの『脳死・臓器移植の本当の話』という著書を読んでいたところだった。 なので、同僚が臓器移植をテーマにした映画があると教えてくれてすぐに映画館に足を運んだ。 ちなみに、小松さんは「脳死」を人の死と定義することや、臓器移植に対して批判的な立場だ。 本書では、着目されてい

「シュガー・ラッシュ:オンライン」:自分の執念を客観視する

おもしろかったと強く勧めてくれた人がいたので、友人と夕食つくって食べた後にみにいってきた。 主人公のラルフは、親友のヴァネロペが大好き。 だけど、その愛情が「ヴァネロペとずっと一緒に居たい」「ヴァネロペを自分だけのものにしたい」という執着心と化す。それがインターネットの世界のウィルスになってしまう。 愛する気持ちが相手の自由を制限してしまう――。 そんな日常世界にもありふれている葛藤を描いた映画だった。 ラルフは、ウィルスとして可視化されたことで、自分の感情を客観視す

「まぼろしの市街戦」:現実を見つめる視線

第一次世界大戦をテーマにした、ユーモアと風刺とウィットに富んだ作品「まぼろしの市街戦」。フランスの名匠フィリップ・ド・ブロカ監督が、1967年に製作した映画だ。この4Kデジタル修復版をアップリンク渋谷で観てきた。 戦争の狂気や愚かしさを笑い飛ばすかのごとく、ユーモアを交えて描いた名作。第1次世界大戦末期、敗走中のドイツ軍が、占拠したフランスの小さな町に時限爆弾を仕かけて撤退。進撃するイギリス軍の兵士プランピックは、爆弾解除を命じられて町に潜入するが、住民たちも逃げ去った

「日日是好日」:日常への感度を高める

秋の空気が好きだ。 カラッと晴れた秋空を見上げて、金木犀の香る、朝の透き通った空気を肌で感じると晴れやかな気持ちになる。 あぁ、今年もこの季節が来たなあと。 「日日是好日」はそんな日々の変化を感じ取る喜びを表現した言葉だと思った。 今回みた映画「日々是好日」は、茶道教室での日々をつづった『日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ』というエッセイを映画化した作品だ。 ちょっと頑固なところのある女の子「のりこ」が茶道に出逢い、気づいたこと、感じたことが描かれてい

「寝ても、覚めても」:人生、不安定。

第一印象は、現実味のないマンガの世界の恋愛物語。 だけど、友人がこの映画の良さを熱く語ってくれて、監督やプロデューサーのインタビューなどもみて、後から見方が変わりました。 「寝ても覚めても」にまつわる論考等々を熟読した友人によれば、映画は東日本大震災の描写を盛り込み、ただの恋愛物語ではなく、人間やこの世界に普遍的な“不安定さ”を表現しているとのこと。 そういう視点から振り返ると、たしかにいろんな伏線が散りばめられていたように思います。 映画の本筋とは関係ないのですが、