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ワクチンのこと③「新しいタイプのワクチンについて」

ワクチンのことシリーズ

の続きです。

昨年から世界的に流行が続いている新型コロナウィルスのためのワクチンは従来用いられてきたどのタイプのワクチンとも大きく異なります。

まずは話の前提として、細胞の構造をちょっと復習。

細胞の構造

mRNAワクチンの仕組み

わたしたち動物の細胞の基本的な構造です。細胞膜の中にはこんなにいろんなものが入っています。ここで覚えておいてもらいたいのは②の細胞核をとりまく粗面小胞体⑤の中にある赤いつぶつぶ、リボソーム③です。リボソームでは、運ばれてきたmRNA(メッセンジャーRNA、様々なタンパク質の設計図など)に従って様々なタンパク質(正確にいうとはアミノ酸の短い鎖であるペプチド)が作られます。成長や修復に必要なタンパク質や、化学反応に必要な酵素やホルモン、メッセージ物質の前駆体などがここで合成されます。

もうひとつ、前提となる概念の復習。DNAとRNAについて。

DNAとRNA

画像2

DNAはリン酸のヒモにグアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基が並んだものと、それぞれの塩基と対になる塩基が並んだものの「二本の鎖」が合わさった「二重らせん」構造。

RNAはグアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、ウラシル(U)の4種類の塩基がリン酸のヒモに並んだ「一本の鎖」です。

グアニンはシトシンと対になります。
DNAではアデニンはチミンと、
RNAではアデニンはウラシルと対になります。

新型コロナウィルスはRNAウィルスです。

次はいよいよコロナウィルス

コロナウィルス

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