「あなた自身の社会」読書会 第2回
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今日は中秋の名月。
中秋の名月が満月なのは久しぶりのことらしいです。
満月に見えないときがあるのは、乱視のせいだと思っていたくらい天体には関心の薄かったわたくしですが、当地は月が明るいと地面にくっきりと月影が映り、満天の星空の夜には必ず天の川が見えるうえ、かなりの高確率で流れ星が見えるので、夜空を見上げる楽しみもわかるようになりました。
さて、読書会の2回目。今日は「第一章:法律と権利」の印象や気になる箇所を語り合いました。
・どんな人になって欲しいかというヴィジョンが感じられる
・(情報が上から与えられるトップダウンではなく)ボトムアップな作りだね
・「法律を知っていることはすべての人の義務」って書いてある!
・取り締まるだけではなくて、自由と権利を守るためのもの
・犯罪の検挙率の低さ!(自転車の盗難から麻薬までひっくるめたら3分の1)こんなの子どもに教えちゃうんだ!やってもOKって思わないかな
・これを教わって社会に出る安心感はいかほどものだろう
・「あなたが(自分の人生の)主導権を握ってるんだからね」というメッセージを感じた
・不完全であることを隠していないよね
などなど、いろんな箇所についていろんな印象がそれぞれの視点から語られました。ネタバレや個人的なエピソードもあるので伝わりにくい部分がある点はご容赦くださいm(_ _)m
それにしても、です。わたしが中学生のときに受けた「公民」の授業は前回書いたとおり、「お前らは言われたことを、言われたようにやって、決められたことに従ってりゃいいの」というような雑な教わり方でしたので、わたしたちがどんな社会に生きていて、法律とどんな関わりがあって、その仕組に関与できるのか否か…なんてまるでわからず、高校でやっと民主制のなんたるかを理解したのですが、それは絵に描いた餅のままでむしろ
江戸時代の「お触れ」と変わらない感覚。「上」の人たちが決めたことを「下々」が守る。違反したらしょっぴかれる。
日本は鎖国を解いて、西洋の民主政を取り入れるよう努め、大正デモクラシーとかもあったけど、結局昭和の軍事政権が破れて戦勝国が民主国家の体裁を整えてくれたものの、富国強兵の頃とあまり変わらない授業を延々とやってるので、民主的ではないクラス運営で民主制のなんたるかを学ぶのは…「無理っしょ」という答えを突きつけられているところなんだと思います。
日本の国会は、地方政治は…という情報伝達をする(正確に覚えて正確に答案用紙に回答できれば、良い成績というご褒美がもらえる)のが日本の公民の教科書だとすると、「あなた自身の社会」はそのタイトルどおり「あなたの国の決まりはこのようにつくられています、あなたはそれをどう思いますか?」という問いかけがメインで正解はありません。犯罪について学ぶセクションでも、加害者の視点で捉えたときと、被害者の視点になったときと、ちがう答えが出てくるようなそんな問いかけのオンパレードなのです。そして、その問いかけに応じるならば気づかずにはいられないのが「完璧じゃない(全ての人が満足できるものではない)」ということ。そういう意味で不完全であることを隠していないのです。
学校で使う教科書のタイトルが「あなた自身の社会」でその中身が「不完全な社会であることを隠していない」ということは、「あなた自身の社会は不完全なのであなたたちでバージョンアップよろしく」ってことだよね。おとなになって参政権を持つのが楽しみになる仕掛け?
そんな計算があってのことではなく、きっと「知る権利」について確たる哲学があるからだと思います。知識を持つことの大切さというか、知らせない、関わらせないでおくことの弊害というか、、、。情報に対して、恥、罪悪感、被害者意識、怒り、嫉妬、欲望などの取り扱いのやっかいな感情をかぶせると、「無垢」な子どもには知らせないでおきたくなることもあるかと思いますが、事実は事実として伝えた上で、その事実とどう向き合うかをいろんな視点で語り合ったほうが「成長」につながるのは確かです。「情報を受け取って消化するための安全な場」をファシリテートする技量が先生には必要。知識だけではなく知識を知恵として扱う哲学や、多様な意見に対しての寛容な態度を保つことも欠かせません。教室の雰囲気そのものが日本のそれとは随分ちがうことでしょう。
そんなことも思いつつ、各セクションをひとつひとつ、それぞれに設けられている課題までやると、たぶん1冊おわるのに1年ほどかかる計算になっちゃうのですが、急がず慌てずじっくり始めてみようということになりまして、その調子で通しで読み終わった「わたし」が今とどんな風に変わっているのか、想像したらワクワクします。
個人セッションやってます。
村の保健室と思ってお気軽にご利用ください。
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