見出し画像

ワクチンのこと⑦「水疱瘡、日本脳炎、HPV、インフルエンザ、A型肝炎、髄膜炎菌&まとめ」

マガジンのバックナンバーはこちらにまとまってます。

最終章になりました。

2020年から続く新興感染症の世界的な流行のなかで、夏の東京オリンピックを本当に開催するのか、できるのか…「コロナに打ち勝った証」として開催したい人もいますが2021年3月13日に毎日新聞が実施した世論調査では

「中止すべき」が32%と一番多い結果になりました。事故を起こした福島第一原子力発電所は「アンダーコントロール」という嘘を押し通して誘致し、すったもんだの挙げ句、当初の予算を大幅に上回る工事費を費やして国立競技場を建設し、東日本大震災の復興どころかその後の台風や豪雨の被害からの復興さえままならないほどお金と人を首都圏に集中させて、パンデミックの収束の兆しが見えない中、やらねばならないことなのか…考えさせられます。

そもそも人類は感染症に勝てるのでしょうか。感染症は戦う相手なのでしょうか。戦えばどちらかが勝ち、どちらかが負けます。小さなコミュニティが移動しながら暮らしていた狩猟採集生活の時代、感染症はコミュニティ内に広がることはあっても、それ以上に大きな集団や地域に大ダメージをもたらすことはなかったといいます。農耕牧畜を行うようになり、定住し、都市に集中して住まうようになり、感染症はより広がりやすくなりました。交易や戦争で人が移動するようになり、更に広がってゆくようになりました。

画像1

こちらから拝借。

はしか、天然痘、結核、マラリア、ペスト、チフス、猩紅熱、ポリオ、ハンセン氏病、インフルエンザ、SARS、MERS、…人類は様々な感染症を経験していますが根絶に成功したのは「天然痘」ただひとつです。顕微鏡でミクロの世界が見えるようになり、培養の技術が確立され、除菌、殺菌、滅菌という概念が広く共有され実践に結びつき、衛生環境が整い、医薬品が発達し、…様々な要因が重なり感染症が死因のトップだった時代は終わりました。ワクチンで根絶できた(とされる)のは天然痘、根絶間近なのはポリオで、その他の感染症の多くは、衛生環境が整い、医薬品が開発されたことで死亡率が下がりました。ワクチンは「抗体」を準備するためのものですが、「免疫=抗体」ではなく、複雑な免疫システムの一端を担っているのが抗体です。必要に応じて作られ、不要になれば片付けられるはずの抗体を何種類も無理やり作らせることについて、いまいちど考えてみる必要がありそうです。

水疱瘡

水痘・帯状疱疹ウィルス(Human Herpes Virus 3)による感染症です。初めての感染のときには「水疱瘡」になり、神経節に潜伏していたものがのちに帯状疱疹を引き起こすことがあります。乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」を任意で受けることができます。

ここから先は

9,355字 / 8画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?