この街がすき:どの街も、どの場所も。
今まで住んできたところ、ぜんぶ好きです。
私が18まで住んでいたとこ。雪がそこそこふかくて、でも霜柱はここでは一度も見ることがなかった。食べ物はなんでもおいしい。こたつはオアシス。スキー場と夏はあんまりおすすめしない。
好き嫌いをわりあいはっきりと表に出してくれる人が多いから腹の底を探り合わなくていい。遠く離れた県の人から見ると言葉のイントネーションもあいまって性格のキツさとして映ってしまうようだと県外に出てから知るのだけれど。
私が今住んでいる東京。冷たい街だと思っていたら全然違った。「東京の人っていっても元々は地方の人たちが多いからね。私だって」と、ある人は笑ってた。その土地にもともとゆかりがない人たちだから、心細くしている人たちの存在がどれだけたっても他人事じゃなかったりするのかもしれない。
東京を故郷とする人たちも素敵。当たり前だけど生まれたところが東京というだけでそれ以上の特別なことは実はなにもないんだなと。地方出身にありがちな、東京そのものに対する肩に力の入った気構えがなく自然体なのがたまらなくかっこいい。地元を大事にしているのも感じる。
今住んでるこのあたり。地場野菜が豊かにあっておいしくて、少し遠出するだけで自然あふれたところに行ける。ほどよく栄えてなくて、ほどよく人がいて、なにより穏やか。
主人の地元。凛とこおるような冬空。降ってくる雪の質が私の故郷とまったく違う。油断してると水道管が凍る。どこを見ても山。ご近所さんから柿をもらった。どこかのおうちの猫とすれちがう。
縁のある街は、どこも。
この記事が参加している募集
武者修行中です。皆様に面白く読んでいただけるような読み物をめざしてがんばります。