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なぜ、新入社員は問題を問題のまま放置するのか?〜問題発見力と問題解決力の育成方法〜

「うーん、、、これどうしよう・・・。。。。。。。。。ま、いっか!」
そうして課題は、漬物のようにねかされてしまったとさ。


表題には”新入社員”と書きましたが、実はこれは新入社員に限った問題ではないと思います。ですが、新入社員に1on1という手法を使って研修をしている時に、必ず教えることの一つですので、ご紹介をしたいと思います。

■なぜ、問題を漬物にしてしまうのか?

問題と言っても、大小あると思います。お客様とのトラブルにつながるようなこともあれば、社内の締め切りを守らないといったものまで様々あり、それらを放置してしまうと、時には大きな問題につながります。しかし、大小に関わらず、「問題」になった時点で誰かに迷惑をかけてしまっているので、できる限りなくし、発生した時には適切な対処をすることが求められます。

では、どうして問題を問題のまま、放置してしまうのでしょうか?

それには、2つの大きな要因があると思います。

●放置するとどんな問題につながるのか?誰に迷惑をかけてしまうのか?を想像できていない。

●どうしたらいいかわからない。

実は、これはよく書籍のテーマに取り上げられていたり、採用の求める人物像の要件定義にも入っていたりする「問題発見力」と「問題解決力」でもあります。
この2点は重要であり、なかなか普通の社会人にもできていないからこそ、書籍に書かれていたり、求める人物像に定められているのかもしれません。

■問題を放置することで誰に迷惑がかかるのか?を考える

1つ目の「放置するとどんな問題につながるのか?誰に迷惑をかけてしまうのか?を想像できていない。」ということですが、問題を問題だと気がついていないケースです。
問題が起こった時には、新入社員と一緒に振り返りをします。その時には、「これをほったらかしにすると、誰が困ると思う?」と質問をするのですが、大抵、的を射ていない回答が出てきます。

ある内定者が内定者研修としてアルバイトに来ていました。アルバイト勤務でしたので、毎月月末にシフト表を出してもらわないといけないのですが、時々忘れていました。ですので、一緒に振り返りをするために、「これを締め切りに遅れると、誰が困ると思う?」と聞いてみたところ、かなり悩んだ上で、「上司の人が自分の勤怠が把握できなくて、困るからですか・・・?」という回答が返ってきました。

普通の社会人の方は、「おーっと・・・w」となると思います。
ただ、学生さんはそれぐらいわかっていないのが当たり前なのです!

そもそも、給与計算の知識もありませんし、会社の中で自分以外にどんな職種の人がいて、どんな人が働いているかを知りません。むしろ、私達でさえ、一緒に働いている社内メンバーが何をしているのかどれぐらい知っているでしょうか。誰に迷惑をかけるのかをそもそもわかっていないからこそ、締切を守るモチベーションがわかないのです。

もちろん、ここで誰に迷惑をかけるのかを説明してあげるのも一つの育成方法ですが、これは「想像力を鍛えてあげる訓練」になる絶好のチャンスです!
つまり、知らないことを想像する力をつけてあげるのです。今の世の中、今まで出会ったことのない課題を解決していかないと、会社は成長していきません。その「知らない課題」を解決する能力を高めてあげるのです。

今回のシフトの場合であれば、「シフト表は提出した後、どういう処理がされると思う?」「誰に行き渡ると思う?」といった、想像するための問いを投げかけてあげることで、知らないことの想像の方法を学ぶことができます。

■解決プロセスを一緒に考えてあげる

なぜ、放置をしてしまうのか?という要因のもう一つは「どうしたらいいかわからない。」ということです。つまり、解決方法がわかっていないのです。
”問題になりそう・問題である”という自覚は大小なりありますが、どうしたらいいのかわからなく、「えーい!」ってほったらかしにしがちです。恥ずかしながら、私が部屋の片付けができない要因は散らかったものを「どこにしまったらいいか?」というところで途方にくれていることが多いような気がします。それと同様(?)の現象が新入社員たちにも起こっているのです。

ある書類を自分の上司のハンコをもらって、別の部署に提出しないといけないものを放置しているというケースがありました。背景には、リモートになってどうやってハンコをもらえばいいのか?がわからず、戸惑っていたようです。話を聞いてみると、その新入社員にとって、そもそも郵送をするという手段すら思いついていませんでした。

「じゃあ、提出するにはどうすればいいと思う?上司もリモートだし、どうやってハンコをもらう?」と投げかけて、まずはどうすればいいのか?を新入社員自身に考えてもらいました。
ちなみに、一番スムーズな方法は、書類はデータであったので、データを上司に送り、自宅で印刷の上、別部署に提出をしてもらう、というものです。

問いに対して、新入社員からは「上司にハンコをもらうために、上司の家に書類を郵送したいけど、個人宅の住所を聞いてもいいのかな?」であったり、「新入社員である私が、別の部署に郵送で書類を送ってもいいのかな?」と私達が当たり前に感じていることも、いいことなのか・悪いことなのかもわかっていないものです。

さらに「上司の住所を知ってもいいか?というのを誰に聞いたらわかると思う?」とか、「上司の住所を知らなくても対応できる方法があるんだけど、何だと思う?」などと言った問いを投げかけます。

解決策は1つだけではないので、このようにいろんな手段を考えてもらうことで、今後、より大きな課題に出会ったときに、解決策を考えられる思考力を高めてもらえるチャンスでもあります。

このようなやり取りを大体30分〜1時間ぐらいかけて行います。

■「まいっか!」って思ったら、立ち止まりなさい!

しかしそうは言っても、最初のうちは、問題と思って立ち止まる癖をまずはつけてあげないと、気が付かないままスルーをしてしまいます。

「今回の問題をほったらかしにしたとき、どう思った?”まいっか!”ってよぎらなかった?別の言葉でもOKだよ!」という問いを投げかけてあげてください。

大抵の場合、問題を放置する時には、心の中で「まいっか!」と思っているはずです。もしくは、それに類する言葉をつぶやいています。

なので、そのときに「じゃあ、”まいっか!”って思ったら、まずは立ち止まって、そのままにしないで。一人で解決できなさそうだったら、相談をして!」という約束をします。

前述でご紹介した思考のプロセスを新入社員が一人でできるのには、最低、半年近くかかることが多いです。それまで、一緒に並走をしてあげることが必要です。ですので、一緒に考えるためのトリガーを作ってあげて、1on1の場面で相談をしてもらい、一緒に思考力を高める訓練をしてあげることで、問題発見力と解決力を育成することができます。

■最後に

これらの内容は、前提に信頼関係の構築が必要です。
なぜなら、「どうして?」「なんで?」という物事を深める問いを重ねるからです。信頼関係がない中で、「どうして?」「なんで?」という問いをすると、「詰めている」という雰囲気になり、萎縮してしまい思考力が鍛えられません。
1on1の中では、「間違ってもいいから!」とか、「今はわからなくても当たり前だから!」とか、「それも一つの考えだね。」などと投げかけて、安心して発言ができる空気作りができるかどうかが、上司の腕の見せどころかなぁ・・・と思います。

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