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何がなくても、茶巾

お茶と茶巾の話。

お茶を嗜んでいると、どうしても美しいもの、おいしいものに出会う機会が多くなる。そして好みのお道具が欲しくなったりする。

ある田舎のわび茶人が利休に一両(相当な大金)を送って「何でもいいですから茶道具を買っていただけませんか」と頼んだ話がある。利休は白布を一両分(大量の白布!)買って送った。「わび茶人は何がなくても、茶巾さえきれいであれば茶は飲めるものです」と言い添えて。

『茶話指月集』に収められている利休のこの優しいとも厳しいとも取れる説話は、鄙のわび茶好きの迷いを吹き飛ばしてくれる。

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めちゃくちゃ厳しい美意識の権化の利休が
「何がなくても、茶巾さえきれいであれば茶は飲めるもの」
と言っている。納得です。私もこうありたい。

茶話指月集
さわしげつしゅう
元禄14年(1701)に刊行された茶書。藤村庸軒が師の元伯宗旦から聞いた話を、久須美疎安(くすみそあん)が編集したもの。千利休の最初の説話集ともいうべく、利休に関する逸話が多くおさめられている。江戸時代中期の代表的な茶書である。
表千家不審庵 より

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