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桜ブッラータに山の料理を想う #まいにち土鍋

「春の山を想う」

いただいた桜ブッラータを土鍋に盛りつけた。
岩塩をガリッガリ桜香を楽しみたいから今回オリーブオイルはなしで、さっぱりいただく。中から生クリームが決壊しても大丈夫。真っ白なチーズを見ていたら、春の雪山のぼりを思い出した。

山の料理

毎年、5月の連休は八ヶ岳の山開きしたての山小屋に泊まるのが恒例だった。麓には山桜が咲いていても、中腹からザックザクとアイゼンをつけて登る5月の山行。溶けては凍るをくり返した氷の道が怖い。

夏はテントを担いで登った。

山で料理して、山の中で食べ、星を見てシングルモルトを飲むのが好きで、家族であちこちの山に登った。日本は横の移動費と宿泊費が高いよねえ、縦の移動と寝袋は安価よねとアイロニーを空に飛ばしながら、休みのたびに登った。キャンプもよくしたけれど、登山用テントだし、ストイックな道具ばかりなので、キャンプ流行とともに浮きまくるようになり、やっぱり山に登った。

テントと食糧と水は背中と膝にずっしりきた。これが生きる糧の重さなのか。時間と根気はたっぷりあるけれど、道具、材料、燃料に限りがある。軽量かつ保存が効く食材で「3食 × 泊数」の献立を考えるのも楽しくて。


土鍋料理の発想につながった山ごはん

限られた道具、ひとつの火元で料理するという経験が、土鍋ひとつで多様な料理を紹介したいという発想につながった。鍋炊飯はもちろん、おむすびを鍋のスープに入れて雑炊にしたり。塩を忘れたこともあるが、そんな時も工夫した。2キロ特大カンパーニュを枕代わりに背負っていく話もいつかまた。

とにかく水が貴重。飲料と料理の水を家族で分担して持ってゆく。


鍋ひとつで山ごはん

「炊飯」は最も優れた料理。使った水は米に全て含まれ、一滴も無駄にせず身体に取り入れるのだ。「シャリバテ」という言葉があるように、米が切れると足がガクンと疲れたりする。米はまいにちの秀逸なエネルギー源であることを実感したものだ。

パスタビアンカ+タマゴ乗せ
ミニ土鍋コッチョリーノ


対して、パスタは工夫が必要。山に茹で汁は捨てられない。少なめの水に塩を加えて茹でたパスタを取り出したら、白濁した熱々の茹で汁にコンソメをひとかけ溶かし、オリーブオイルを絡めたパスタを戻して和える。フォークで混ぜて粉チーズをふれば、おいしく乳化したパスタビアンカ(シンプルパスタ)に。写真の生タマゴの代わりに茹でタマゴを乗せるのもいい。余裕があれば前もってニンニクとベーコンだけ炒めておき加えれば上級な山ごはん。

春の気まぐれな風が吹くと、あんな、こんな美味しい山ごはんを思い出す。

制作に追われたこの数十年は山にも登らなくなってしまった。先日、倉庫の整理をしながら、ザック、登山靴、アイゼンなどを手前の方に準備した。いつかまた山ごはんをつくりたい。


4月13日(水)
A.  盛る「ミニ土鍋コッチョリーノ1合炊きサイズ」
B.  煮る「ミニ土鍋コッチョリーノ1合炊きサイズ」

A.  ブッラータ(CHEESE STAND)/
桜塩漬け/タンポポ塩漬け
B.  パスタ/塩/コンソメ/粉チーズ/タマゴ

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