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土手鍋つくりながら吹きガラスの弟子だった頃を思い出す #まいにち土鍋

北海道 厚岸の牡蠣が届いて、胸が高鳴った。
もちろん生牡蠣にレモン垂らしてチュルンと。
あとは、どうやっていただこう。
ありがとうMさん。


どうしてこの料理を知ってるんだろう


ふと、思うことがある。
今夜の土手鍋もそのひとつだった。

しかし、そのこっくりと味噌味の鍋のなかに牡蠣が泳いでいたことが思い出せない。土鍋の縁に赤い味噌を塗った記憶はある。一発で手の記憶がよみがえり、迷いなく土鍋のへりに味噌の土手ができた。

料理って、不思議だ。
まいにちにの記憶、アルバムだ。


厚岸の牡蠣!(長手皿コッチョリーノ/半磁土)



大きな道草してきたもんだ

大学で、陶土こねて、徹夜して窯焚いて。それなのに夏休みは長野のガラス学校の合宿で生活をしたり、その後は、とうとう広島に住み込みの吹きガラス弟子にも就いた。そういえば北海道やフランスのガラス学校にも手紙を出したこともあった。所属する陶芸学科ではぐうたら拗ねて、なぜどうして素直に陶芸に闘魂できなかったのか。第一志望だったガラス学科のことがあきらめきれなかったのだ。

拗ねて、大きな道草してきたもんだ。

土手鍋の牡蠣を思い出せないのは、弟子として住み込んだ作家夫婦にかなり気をつかって生活に衰勢していたんだと思う。挨拶より先に「これはあなたのよ」と、玄関に置いてあった養蜂の網頭巾。蜂を飼うのは楽しかった。でもガラスを吹くのはほんの2〜3時間だけだった。退きかたも情けなかったんだ、それは実に。眼球を低温やけどして、目が開かなくなった。広島の原爆ドームの前を手を引かれて歩き病院に行ったことは覚えているけれど、景色は見ていない。痛くて夜中泣いたけど、涙がしみてまた泣いた。

もう弟子は解雇です。
眼帯姿の私は広島駅にいた。

今夜の牡蠣は、とても上質。
今夜の土手鍋は、とても美味しい。
すべての人に感謝している。


4月9日(土)
煮る「土鍋コッチョリーノ3合炊きサイズ」

牡蠣(厚岸産)/白菜(1/8)/ニンジン(1本)/春菊(1束)/長ネギ(1.5本)/椎茸(3個)/舞茸(1束)/焼き豆腐(一丁)

A. 味噌(140gくらい)
 みりん大さじ2
 酒大さじ1

B. だし汁(カップ4-5)


①Aを練り合わせ土鍋のふちにヘラで塗る。
②牡蠣を塩水でよく洗い水を切っておく。
③春菊以外を鍋に入れBを加える。
④煮えたら春菊を入れる。
⑤牡蠣をしゃぶしゃぶして食べる。

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