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夏果から秋果へ
イチジクの一番好きな食べ方がある。
アレンジとか、そういうのじゃない。
夏のはじまりに挨拶し、おわりに礼を言い、また秋のはじまりに挨拶するイチジク。
イチジクと寄り道
リグーリアの山の家から1時間ほど歩いて海まで降りる。途中、手の届くところにイチジクとブラックベリーの木がたくさんあって、恒例の味見をするのだ。イタリア人の友だちと「これダメ、これ甘い!」といちいち品定めして、「こっちこっち!」と手招きして、よれよれ脱線して歩く。わたしたちは子育ても卒業したいい大人だ。小学校のころツツジやサルビアなど花の蜜をちゅうちゅう吸いながら帰るから、家に着くのがだいぶ遅くなったこと思い出す。
イタリアの各地、お世話になる先々の庭や森でイチジクに出会う。ミラノの居候先の窓下からは毎日イチジクの香りが漂っており、甘い夢をみていた。
東京とイチジク
庭木や森の入り口に実るイチジクを食べたなあと、家族も幼少期を仰ぐ。
無農薬野菜を扱う「伝」さんが、すばらしく野生的なイチジクを見せてくださった。イチジクから蜜が吹き出ている。蟻がねらって歩いてくる。よし、いいぞいいぞ!その瞬間、そのイチジクを買うことにした。虫は察知している。無農薬であるからこそ、甘いから寄ってくるのだ。野菜や果物は、苦労して成長した姿が美しいと思っている。値段は安ければ助かるけれど、諸々の理由を考えると、本来のままが適正だと思う。日本の果物は「高いたかい」と嘆くけれど、歴史的な文化と栽培にも理由はあるし、専門でないので省略するが、生産者の賃金を守るための制度が反映されていることも忘れてはならない。
江戸時代初期、日本に伝来したイチジク。日本の温度や湿度に合っているそうだ。イタリアの「樹の味」に比べて、日本のイチジクは「土の味」がした。粘り強い果肉。湿った甘さ。(文末に追記あり)
夏の終わりのバテたカラダに、天然の糖度を。
ただイチジクを切って夕食の一品とする。なにもアレンジしない。ミントを添えただけ。夏イチジクがおわり、秋イチジクも楽しみだ。
写真上:
グラタン皿コッチョリーノに並べて。
写真ヘッダー:
ミニ土鍋コッチョリーノにブルガリア菌でつくった自家製ヨーグルトと。
EXHIBITION INFORMATION
我妻珠美 陶展「秋を炊く」
2021. 09. 22(水) 23(木)
※2日間限定展示
(展示販売数は通常通り)
新宿髙島屋 10階リビング中央フロア
店舗営業時間ご参照願います。
抽選方法などは新宿髙島屋HPにて
「樹の味」「土の味」をつぶやいたら、ヒントを下さった方がいて、こんなことを思い出しました。聞き伝えのうる覚えでしたが、ブラストファーガ(なんか小さいハチ)は、調べたら「イチジクバチ」でした。
ブラストファーガ(なんか小さいハチ)の働きの味と、日本にはブラストファーガがいないから受粉がいらない品種(単為結果性)だから土の味が強いのか!(もしれない説)に自分でもふむふむ言ってます。お知恵をありがとうございます。
— tamamiazuma/cocciorino(コッチョリーノ) (@cocciorino) August 30, 2021
イタリア人からブラストファーガ(実に入って受粉するハチ)のこと聞いてたので、そのコバチがいない日本はどうするの?と尋ねたらコバチいなくても大丈夫な品種あるからと教えてもらいました。伊にも日本と同じようなハチなし品種もありました。
— tamamiazuma/cocciorino(コッチョリーノ) (@cocciorino) August 30, 2021
食材と自然豊かなうしみさんち方面で旅する土鍋したい!
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