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女に生まれた私と仕事 結婚と仕事はどちらかを選ぶもの?③

上棟が終わり、完成が楽しみです。上棟日はまた少し考え方の違いにイライラとしてしまいましたが、持ち越さずに朝を迎えました。

さて、そんな専業主婦になった私の話。


うちの職場では、7月と12月の2回個人面談があった。と言っても相手は夫だ。する必要あるのかと思ったが、公私を分けているため業務のことは他のスタッフ同様、職場でしか相談はできなかった。たわいもない仕事の話はしていたが、話が混み合ってくるとプライベートでは喧嘩になってしまうこともあったので、あまりしないようにはしていた。12月面談は次年度の配置希望を出して話をする。リハビリ業界にはいろんな分野がある。急性期、回復期、療養、外来、訪問リハ、デイケア、老健。うちの病院はケアミックスと言って規模は小さいがその全ての機能を持っていた。同業者の方しかイメージ湧きにくいと思うが、同じリハビリテーションでもそれぞれの病期によってやることや、役割が変わってくる。そのため、どの分野に興味があるかは、理学療法士それぞれの考え方があるのだ。医師のように診療科ごとに分かれているのではなく、病期ごとに分かれているほうが多いような気はする。

そんな中私は回復期配属を希望していた。入職後2年は回復期配属だったが、療養と外来配属になり4年以上たっていた。夫が回復期配属だったこともあり、結婚後は回復期配属になることは難しいと諦めていた。夫は急性期希望だったが、管理職であり、他のスタッフの都合で回復期配属が続いていた。結婚を期に急性期配慮になり、私が回復期へいくことが私たちの希望ではあったが、半分だけ叶い、2人とも回復期配属となった。やっと自分の希望が叶い、回復期リーダーとして1年働き、2年目の12月だった。不妊治療で勤務を調整したり、入院し長期休みをもらったりなど、不妊治療と仕事の両立もしんどくなってきていた。義母との同居ストレスもMAXになっており、夫との喧嘩が増えた。11月、夫婦関係を修復するために不妊治療は中断になってしまった。

このまま、治療を休んでいていいのか。

これでよかったのか。

毎日自問自答した。仕事に打ち込むことになった。ある医師からの依頼で臨床研究をすることになった。それには他のスタッフの協力も必要だった。後輩たちは快く協力してくれた。ただ、上司が違った。私個人が受けたわけではなく、リハビリテーション科に依頼があり受けたことだ。私が中心になってやることはかまわないが、私が勝手にやっていると思われるのは違った。医師からの依頼の説明や導入なども上長に報告し説明していた。私個人としての取り組みではないことを伝えていた。普段の臨床業務をしながら、残業もしたらいけないといわれると時間が足りなかった。単位数を落とすことも許されず、残業も許さない。ならどうやって時間を捻出するというのだ。とうてい難しかった。ならどうして、引き受けたのだと問い詰めた。

上司「やりたいならやればいい。そこは止めない。」

私「やりたいといいますか、先生からも言われてますし、この取り組みは今後につながると思います。やる意味は科にとってもあると思います。ただ、どうしても時間は必要になりますから、そこの許可と上長からはっきりと科としての取り組みでやるからと言ってもらわないと、後輩たちに頼めません。その分の残業代も申請させてください。」

上司「うーん、単位に関しては削っていいとは言えないけど、空き時間を有効活用してできるならいいと思う。やったらあかんとは言うてないで。他の子も興味がある子がおったらやったらいいと思うし。」

私「興味がある子はいてもやり方とかは一緒にやっていかないと、興味があるかどうかも分からない子もいると思います。臨床業務だけで空き時間はない中でそこまでやるのは自己研鑽だと言われるとできません。科として認められた取り組みにしてほしいです。」

上司「いや、だから認めてないって言ってないやん。いい取り組みやと思うし、必要やと思うから、やったらいいよ。」

みなさんには伝わるだろうか、私の言っていることが。残念ながら私の上司つまり、夫には伝わらなかった。これは同業者じゃなければ理解しにくい感覚だと思う。

これだけではない。他にも私は夫(上司としての)のやり方や話し方に理解しきれないことが増えてきた。夫だけでなく、他の上司に対しても理不尽なことを言われることが多く不信感が募っていた。それでも仕事は好きだったし、辞めてずっと家にいることが恐怖だった。そして面談を迎える前に夫と先にプライベートの話し合いをした。

1.通勤時間が長いためこの先子どもが産まれたら辞めないといけなくなる。子持ちで転職よりも今のうちに自宅から近いところに変わっておいたほうがいいのではないか。

2.不妊治療再開するには融通をきいてもらえる利点はあるが、病院も遠いため通いにくい。

3.夫婦で同じ部署にいることに疲れてきた。周りにも気を遣わせていると思う。

これらを考え私は転職を希望した。夫は人員不足を考え否定した。不妊治療再開するにしても事情を知ってもらえているメリットを優先した。出産後のことはその時に考えればいいと言った。ただ、子どもは自宅近くの保育園に入れると言った。

何度か話し合いを重ねて、私は継続を選んだ。ただし、あと1つでも辞めたいた思う理由ができたら、そのときは辞めると決めた。

そうして12月の面談が終わり、次年度の人員配置の話し合いが始まろうとしていたころ、あと1つのできごとがあった。

男性育休問題である。男性育休を2人の男性スタッフが取ると言った。制度ができてから初めてのケースだった。もちろんいいことだと思った。ただ、ウチのような中規模の部署には限界があった。そのスタッフのフォローは全て周りのスタッフにきた。もともとギリギリでやっているところにマイナスとなるとキツかった。休みも減った。そんな中で臨床研究が続けられるはずがなかった。中断を余儀なくされた。仕方ないことはわかったが、悔しかった。協力させあればなんとかなるのにと。その思いをつい夫に言ってしまった。

夫「今は無理やろ。自分のやりたいことは業務をこなしてからやろ。」

悪気はない。正論だ。わかっていたが、休みも返上し働き、リーダー業務に加えて、男性育休をとったスタッフの患者を担当しており、担当数は過去最大。それでも単位数を落とさずに、残業もせずにとやっていた。そんな時のその発言が決め手になった。

私「私が勝手にやりたいって言うてやっとるって心の底から思っとったんやな。リハ科のためとか、後輩育成のためとか、現場必死で回しながら考えとるのは、私の勝手にやりたいことって、それは上司としての意見?」

夫「でも、仕方ないことやん。今人が足りてないんやから。」

私「それをどうやって管理するかが、管理職の役割やろ!ただただ現場のスタッフに皺寄せがくる仕組みなんかいつか不平等で不満もでるし、うまくいかんわ。こんな毎回付け焼き刃の対応しとるところで、未来のことなんか考えられん。もう辞める。」

決定打だった。そうして私は退職することになる。本当は転職して違う病院で働きたかったが、夫は不妊治療のために退職すると言うことにこだわった。だから、転職することには反対した。今も私は細々と転職先を探しているが、夫はまだ私が働き出すことに賛同していない。今は不妊治療に専念するべきだと。そのために辞めたんだと。

違う。私は理学療法士として働くことが好きだ。まだまだ働きたい。本当は仕事も子どもも両方欲しい。ただ、家族はみんな当たり前のように、

辞めてよかったんや。

二頭負うのは一頭も得ずや。

ゆっくりしたら子どもできるわ。

仕事はいつでもできるからな。


分かっている。みんな優しさで言ってくれているし、私もそう思うからこそ夫や家族の意見を無視して転職しようとはしていない。

だけど、そうしなければならない自分が悔しくて、仕事を続けながら子育てをしている同僚や友人が羨ましい。

女じゃなければ…辞めることはなかった。

いい機会と捉えて、自分や周りとしっかり向き合っていきたい。過去、現在、未来。少し足を止めて前向きに考えたい。

私は夫が好きだ。考え方が違い、理解し合えないことも山ほどある。だが、私は夫が好きだ。

女とか男とか考えずに、私が選んだ道と思って、仕事と結婚どちらかを選んだわけでなく、私が私たちが今選んだ道だ。この先もいろんな選択をしながら生きていく。ただ、それだけだ。


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