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第二章 ひがし北海道行脚旅(その5b)

37 千歳→新千歳空港→関西空港

 千歳駅から新千歳空港へは列車で2駅、約7分の距離だ。途中の南千歳は千歳空港駅として1980(昭和55)年に開設された駅で、開業当時は長い連絡通路でターミナルビル(現在と異なる)と接続していた。後に石勝線が開業して根室本線へ向かう列車の一部が千歳線と石勝線を経由するようになり、本土から空路で道内に入り道東へ向かう経路が一気に短縮された。この頃から道内の長距離列車のダイヤも函館中心から札幌中心に変わり、室蘭方面への電化推進もあって千歳線の地位が一気に高まる展開となった。
 1992(平成4)年に新千歳空港が完成するとともに空港直下へ線路も延伸、新千歳空港駅への直通列車となる快速「エアポート」が15分間隔で運行されるようになり、函館や帯広・釧路へ向かう特急列車とは千歳空港あらため南千歳で乗り換えとするようになった。この時以来、南千歳では空港から札幌方面へ向かう列車が苫小牧や函館、帯広・釧路方面へ向かう列車と同じホームで並び、逆方面となる各方面から札幌方面へ向かう列車が新千歳空港ゆきの列車ともう1面のホームで並ぶようになっていた。なお、2020(令和2)年のダイヤ変更からは「エアポート」の12分間隔運転によって運用が変わり、札幌方面のホームと道南・道東方面のホームとするようになっている。
 時刻表を見る限り、空路を利用する旅行者からすれば空港と直接アクセスする新千歳空港駅や長距離移動の際の乗り換え拠点となる南千歳駅と比べると、石勝線の普通列車や千歳線の普通列車の一部が折り返すだけのイメージがある千歳駅なのだが、少し視点を変えると実は前二者と同レベル、もとい、やはり元来より千歳駅がこのエリアの実質の拠点といえることに気づく。例えば、夜遅い便で新千歳空港に着地した場合、札幌市内を目指してJRやリムジンバスで移動することも可能だし、空港近接のホテルで宿泊することも可能だ。ところが、千歳駅周辺には良質で安価なホテルが数多く存在しており、人口の集積もあることからコンビニや飲食店も数多く所在している。さらに、レンタカーを利用する場合も営業所の位置によっては空港まで出向かなくても直接アクセスできるところもあるため、旅程の幅を大きく取ることも可能となる。また、路線バスも充実しており、列車の本数が少ない早朝はバスで空港や近隣エリアにアクセスする手段も講じることができる。
 つい素通りしがちな千歳駅であるが、まちが持つ実力は想像以上に大きい。このあとの旅でも何度か登場することになるが、利用するごとに実用的な側面が見えてくる、そのような魅力を持つ駅とまちなのであった。
 今回の旅では順調に快速「エアポート」で新千歳空港駅に入り、空港内でゆっくり過ごしてMM104便で帰阪している。次の渡道へは2か月ほど空くことになる。

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