旅の伴にした本(24)ー紙つなげ!彼らが本の紙を造っている
手に取ったのは最近でしたが、文庫本での発刊は2017年でした。
こういうストーリーも実存したのだと感涙ものでした。
早川書房刊『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている──再生・日本製紙石巻工場』佐々涼子著
副題の通り、石巻に所在する日本製紙石巻工場を主軸とした震災ドキュメンタリー……とひとくくりにするには筆致が拙すぎるとも思える、想像以上に壮絶な内容でした。
製紙だけではなく、アルミ缶やペットボトルのキャップといった身近なものにとどまらず、われわれの生活に密着する機械類の縁の下の力持ちとも言える機械類の部品群……あらゆる工業製品が東北地方で生産されていることが明らかとなった東日本大震災。
石巻も大きなダメージを被ったことは知るところではありましたが、女川や大船渡に並ぶ、いや、それとは比較することも憚られるようなヒューマンドラマがあったことを、この著作を通じて思い知らされました。
北海道へ向かう2時間ほどのフライトで読了するつもりで読み始めたのですが、中盤あたりからところどころで目頭が熱くなる場面に出くわし、手が止まったり思わず読み返したりする展開となって、読み終えたのは新千歳空港で乗りかえた快速エアポートの車内でした。
映像化されていたことも知ってはいましたが、それを観ることは結局なく、この作品を通じてそれを文字で読むことにはなりました。でも、この内容については、それで余すところなく自分には沁み込んできました。なかなか読み応えのある著作でありました。
それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。
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