「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」鑑賞。

「いや確かにドンピシャ世代だけど、別にそれほど好きだったわけじゃないよ?」と思っていたのですが、劇場版公開が発表してからいざ公開されるまで、新しく情報が公開されるたびに気になって気になってもう(苦笑)。自分、思っていた以上に好きだったんだなあと、改めて実感しました。当時の週刊少年ジャンプの綺羅星の如き連載陣、その栄光の勇者たちの一翼を担った実力は伊達じゃありません。

シティハンターが他のジャンプ作品と大きく異なるのは、アニメ作品の魅力の強さでしょう。あくまでマンガ原作の映像化、時々連載との都合でオリジナルエピソードをちょいちょい挟む…と言った塩梅が多かったジャンプアニメの中で、シティハンターはアニメ独自の、確固たる魅力というものを構築するに至りました。

長い空白期を経て、完全新作で作られたこの映画が、果たして往年の輝きを取り戻しているのか、中途半端に現代受けに走り、イメージを破壊してしまうのではないか…。ファンが心配していたのはこの一点と言っていい。そしてその結果は、ネット上で「ラーメン屋でラーメンを頼んだらラーメンが出てきた」と称される、最高の形で叶えられることとなります。

冒頭から「ANGEL Night-天使のいる場所-」のBGMに新宿の街中をカーチェイスするミニクーパー。もうここだけでこれはイケる!と思った人も多いことでしょう。掴みのアクションを終えて次々と登場するレギュラー陣の、以前と変わらぬ声!冴羽獠を演じる神谷明氏の、久しぶりに演じるに当たっての覚悟も伝わってきますが、全てが元の通り、往年のテーマソングを過剰なまでに押し込みつつ、ストーリーは進展していきます。これには参った。今まで数え切れないほど聞いてきた曲たちですが、劇場の立体音響で聞くとやっぱり気持ちの良さが全く違う!その上画面では獠ちゃんがモッコリして香がハンマーを振るって冴子が色仕掛けを仕掛けて海坊主と美樹が美女と野獣でいちゃついている!たまりませんね!

映画として云々を語ると、不満がないわけではありません。例えがそれが本望であれ見え見えのストーリーの割に冗長な印象は拭えませんし、前半部の歌舞伎町やゴールデン街のアクションシーンが最高に凝っていた割に(ここだけは何度も繰り返し見たい…)、新宿遊園(新宿御苑を演出上変更)から敵ビルに侵入していくクライマックス部分のアクションには、それほどの工夫が見られない印象がありました。作画もレベルは総じて高く、格闘場面などは凝っているのですが、キャラクターの表情などはやはりかつての全盛期には及ばず、結果として短編劇場版「ベイシティ・ウォーズ」の凝りに凝ったノンストップアクションの魅力にも、アニメ史に残るとさえ思うテレビ版100話「さらばハードボイルドシティ(当作のEDでもリスペクトされていましたね)」の興奮にも、残念ながら至らなかったという思いはあります。

しかしそれでも、シティハンターがシティハンターとして復活した、そのことに素直に喝采を捧げたいと思います。予想を超える大ヒットということですので、これは是非、今後の展開にも期待…したいのですが、あのラスト、あれは一体どういうこと?あの左隅に描かれたイラスト、あれは絶対、あの人のですよね?やるの?コラボやるの?コルトパイソンとワルサーP38で撃ち合うの?

評価 星4/5


更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。