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2019.04.20 浦和レッズ vs ヴィッセル神戸@埼玉スタジアム2002 ~神戸、(監督)変えてどうなるのか~

突然の監督交代に揺れる神戸。バルサシステムの伝道師として招いたリージョ監督の突然の降板で、吉田孝行が再登板となりました。なんとも不穏な雰囲気の相手を前に、なかなかエンジンのかからない浦和がどう戦うかに注目…したいところでしたが、スタメン発表と同時にひと騒動が。

イニエスタ・ビジャ、ともにメンバー外!

イニエスタはこれで2年連続で、アウエー埼スタ欠席となりました。いずれの試合もチケットは完売。彼を目的に埼スタに来た人たちを落胆させます。ちなみに昨年の観戦時に、自分の席の後方にいたのは、普段は神宮で野球観戦が趣味らしい3人組。途中から見るのに飽きてきたのか、「いかにプロ野球に比べてJリーグが観戦予算的に割りが悪いか」みたいなことを延々話し続けた挙句、飲み食いした後のゴミを全てその場に残してさっさと帰る、という、甚だ不愉快なことがありました。競技は違えどモラルは守れや、野球ファン!

この日は天気が良かったので、普段とは道を変えて、見沼田んぼの風景を楽しみつつの埼スタに向かいます。こちらは見沼通船堀西縁。

こちらは東縁。桜の季節は過ぎても、見沼の緑は花盛りでした。

芝川の堤は菜の花が一面に。そこを進みながら、新見沼有料大橋を潜って、埼スタ方面に自転車を向けようとした時に、ふと、間近な場所から視線を感じ…?

あの、どちら様ですか?

公共の道路の道端にいきなり、ヤギさんの登場です。なんで?どして?

おそらくは周辺の雑草を食べてもらうための放牧かと思われますが、なんの予想もなしに道端にこちらが現れた時のインパクトたるや。

新見沼有料大橋の係員の方が、利用するサポーター向けに浦和レッズの旗を並べている下で、悠々とくつろぐヤギの皆さま。なかなかシュールな光景です。

さて試合です。

浦和は今日は左で山中が先発、神戸はイニエスタ不在の外国人枠をGKキム・スンギュに利用します。

試合開始早々、神戸は高い位置から強いプレスをかけてきました。ウェリントン、古橋、小川の神戸FWは、イニエスタ、ビジャが並ぶ先発とは異なり運動量豊富で守備にパワーがかけられるので、神戸はハイプレスで陣形をコンパクトに保ち、浦和の選手を圧力をかけ続けます。ポドルスキが普段よりやや低めの位置からボールを配給。特に山中と森脇の裏のスペースは徹底的に狙われ、極めて高精度に放たれるポドルスキのキックに、浦和は両サイドをほぼ制圧される状態に。中央を強く固め、ウェリントンを自由にさせないことに集中するような形になります。

監督交代わずか数日でチームの形を良く整えてきた神戸でしたが、非常に残念な形で先制を許します。最終ラインの選手がバックパスを受けようとしてまさかの転倒。そのボールをかっさらった興梠の突破を、たまらずにカバーに走った選手がエリア内ファウル。これがPKとなり、興梠自らが決めました。

ラッキーから先制した浦和ですが、相変わらず攻撃のテンポは上がりません。右の武藤ー森脇のライン、左の山中の単独の突破が散発的に見られるものの、ゴールに向かうスピードは上がらず。先制したことでより守備重視した面はあるとはいえ、攻守の切り替えが遅く、カウンターが成立しないまま。守備がそれほど期待できないエヴェルトンの為に柏木の位置が下がり気味で、興梠との距離が遠く、ポストプレーが決まらず、前に出たボールはたちまち、神戸の足の速いDF陣に回収され続け…中盤の攻撃のデザインが全くなされていないまま、今日も浦和は戦い続けます。

この傾向は、後半になると一段と顕著になりました。前半に積極的なプレスを続けた神戸FW陣、ガス欠になるかと思いきやむしろギアを上げて、より個人技を前面に押し出した攻撃を展開します。特に左の古橋の突破は強烈で、ポドルスキの絶妙なパスをきっかけに、浦和の守備陣を思いのまま振り回します。が、ポドルスキはパスの配球役にこだわり過ぎる傾向があり、彼自身がゴール前に進出する場面が少なかったのは幸いでした。個人の能力が高くとも、それを活かす戦術が整備されていないのは明白ですが、現状の神戸ではこれで最前であったでしょう。

中盤の守備強化の為か、浦和がエヴェルトンから長澤に交代しようとしていた場面で、右サイドで必死の防衛戦を続けていた橋岡が足を痛めます。U-20代表に選ばれるホープのアクシデントに、スタジアムが騒然となる中、急遽、普段とは逆の右に宇賀神を投入。予期せぬ交代枠を使い、想定外の布陣を敷く浦和は、いよいよ攻撃の選択肢が限られていきます。ほぼ専守防衛、現在絶好調の西川の頑張りでギリギリ凌ぐ展開。

70分、浦和は柏木に変えてマルティノス、神戸はポドルスキに変えて田中。結果、この双方の交代は試合を決定づけました。マルティノスはカウンター要員としての投入で、交代直後には勢いよくドリブルでボールを前に運ぶ場面もありましたが、それからはミスを連発。周囲の選手にフォローの余裕がなく、単独で晒される場面が多かったといえ、判断の悪いパスや軽率な守備を連発、ひたすらボールロストを繰り返す散々な出来で、この時点で浦和の攻撃はほぼ途絶しました。

チャンスを増やせる筈だった神戸ですが、どうやらポドルスキの交代もアクシデントだったらしく、ベンチでケアをする光景が。ポドルスキの脱落で神戸はワイドな展開ができなくなり、固く閉じこもった浦和守備陣の隙間を広げることができなくなりました。立て続けに増山、初瀬を投入。運動量を減らさずに突破口を見つけようと奮戦しますが、個の力のパワーダウンは否めず、加えて連携不足な状態では、終盤でもう1つ上げるギアが残っていませんでした。

結果、試合はそのまま1-0で終了。状態が悪い同士の一戦は、ミスが原因の1点で決する、チーム状態を反映した内容のまま決着しました。

今シーズン初の文化シヤッターさんお目見え。

神戸アウエイ側。挨拶に来た選手に熱いコールを向ける前側と、さっさと帰る後ろ側。去年も今年も、とにかくとっとと帰る層が多い神戸戦です。

54599人の観客が入りました。この試合の殊勲の興梠と西川の挨拶の場面。

この試合の内容だけを見ると、むしろ改善が見られたのは神戸でした。浦和は攻撃がサイドの個人技頼りのまま、ポゼッションどころかカウンターすらチーム全体のデザインがなされてないまま、ひたすら守備に忙殺されるばかり。総得点6総失点7で順位が6位、この出来過ぎな順位に、いずれ内容が伴う日が来るのでしょうか。

神戸はコンパクトな布陣が機能し、個人能力の見せ場もあり、この日のチームとしては悪いものではなかったように思います。しかし、イニエスタ・ビジャが復帰した時には、また大きくチームシステムを変えなくてはなりません。極めて困難なチームコントロールを、果たしてこのまま吉田監督に委ねるのか。ピッチの中では収まらない様々な問題を抱えた神戸の行く末も、まだまだ五里霧中を言わざるを得ません。

初夏を思わせる陽気の中、重苦しい空気を拭えぬまま、両チームの戦いは続きます。

試合終了後、一緒に観戦した友人と某ファミレスに。

会計の時に店員さんが、我々の赤い衣装に気づいて、「今日、VIPトリオはどうでした?」とフレンドリーに訪ねてきた時には、思わず苦笑するしかなく。

おいぽっちゃりした店員さん、あんたニコニコしながら客の地雷踏んでるよ、と心の中でツッコミを入れる本日の一幕。

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。