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今から真逆の事を言うね 〜ウルっときた産院での一言〜


たまさん、今から真逆の事を言うね

臨月に入った私は
お腹の重みを感じながら
椅子に身体を預けて
院長先生のお話を聞いていた。

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コロナ禍の出産のリスク

診察室の
フカフカした座り心地の良いソファに座って
院長先生を待っていると
ハロウィンカラーのお洒落なマスクをした
先生が
バタバタと忙しそうにいらっしゃった。

先生の足元には
ロボットのワンちゃんが
これまたハロウィンの帽子を被って
休んで(充電して)いる。

先生からは
始めに
出産の際のリスク
注意点などの説明があった。

私がお世話になっている産院では
僅かな時間だが
立ち会い分娩が認められている。

ただし、関われる家族は一人だけ。
入院中の面会は、一切禁止。

そんなコロナ禍ならではの、お産。

立ち会いするご家族は、くれぐれも体調管理に注意して
密を避けた生活をしてください。
僕たちは、ご家族を信頼しているからこそ
立ち会い分娩を容認しているんです。

今まで
何度も産院から、このように言われてきた。

産後も、院内では徹底して
赤ちゃんの安全第一に
感染予防に勤めます。
退院してからも
生後1か月間は、家の中で過ごしてくださいね。
同居のご家族も、まだまだ
感染には気をつけて。

私自身は
二人目の出産なので、
生後1か月すぎないと
赤ちゃんを連れての気軽な外出は
難しい事は知っていた。

ふん、ふん、と頷く私に先生は

たまさん、今からの話は
今まで聞いた話とは真逆の事を言うけど
混乱しないでね

と続けた。

院長先生の、素敵な言葉

赤ちゃんは1か月を過ぎてくる頃には
ニコっと
笑うようになる。

それは、今まで
ぼんやり見えてきた世界が
だんだんクリアになって
外の世界に興味を持ってきた証拠。

あ、この人は
ワタシのママか。
いつも優しくしてくれるなぁ、と
感じるようになってくる。

自分と
他者。
自分の世界と
外の世界。

これに興味が出てきた赤ちゃんに
お母さんがしてあげられる事。

それは
空がこんなにも青くて美しい事。

澄み渡る空気を吸い込む呼吸の素晴らしさ。

四季折々に移ろいゆく
山々や木々、木の葉の彩りが
どんなに美しいか。

貴方の生きる世界が
どんなに素晴らしく
美しいかを
赤ちゃんにぜひ、見せてあげてください。

時と場所を選んで

もちろん、
人混みの多い時や
場所は避けないといけないよ。

外出はリスクを
孕んでいるかもしれない。

でも、
行ける時を見計らって
赤ちゃんが外の世界に触れる
機会を作ってあげてね。

それが
コロナ禍での
子育てだと
僕は思う。

あれ、涙腺が緩くなったかな

先生の熱いお話を聞いて
私は
思わず
泣きそうになってしまった。

先生の話を聞いている間も
お腹の中のヒトは
忙しなくポコポコ動いている。

そうか、
この子は
今から
沢山の素晴らしいこと
美しいものに出会うんだなぁ。

出産って、
この子が
世界は素晴らしいなぁって
思えるように
外に出てくるお手伝いをする事なのかも
しれないなぁ。

出産まで
あと26日。

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