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18世紀ヨーロッパの伝説的な変食パフォーマー

今は減りましたが、昔はテレビ番組でしょっちゅう「大食い選手権」をやっていたものです。

あれを毎週のように見せられるとうんざりしますが、ちょっと見るぶんには意外と楽しかったりします。

このような大食いや奇食のエンターテイメントは昔からあって、18世紀ごろには貴族のパーティなどに招待されてパフォーマンスをする著名な「奇食パフォーマー」が存在しました。

1. フランシス・バッタリーア(イタリア)

18世紀後半のイタリアのパフォーマー、フランシス・バッターリアは、「岩や砂利をムシャムシャ食べる」というパフォーマンスで一躍有名になった人物です。

彼の年齢は30歳前後でしたが体はまるで子どものように小さく、ショーでは砂利をバリバリ食べ、石をゴクリと飲み込んだ後、本当に飲んだことを証明するために体を動かして腹の中で「ゴロゴロ」と音を立てて見せたそうです。

当時から「本当に食べているのか」と議論が起き、ブリュワールという名の医者が1日かけて密着して検査をしたところ、実際にバッターリアが石や砂利を食っていて、しかも吐かずに、ちゃんと消化して砕けた石のような状態で排出していたと報告しています。

  

2. M.デュフォア(フランス)

 18世紀フランスの奇食パフォーマー
フランスのパフォーマー、M.デュフォアについてはあまり文献が残っておらず、詳しいことはよく分かっていません。彼は18世紀後半に「奇食パフォーマンス」で有名になった人物です。

1792年にとある宴会で披露したパフォーマンスは以下の通り。

まずオードブルでは、油で揚げたアブを食し、次いでアザミのサラダを食べた。

次にコウモリ、フクロウ、ネズミ、モグラ、カメと珍奇な食材を次々に即し、最期にクモ、ガの幼虫、ハエ、コオロギを混ぜたデザートを楽しんだそうです。

同席した聴衆は身震いしながらこれを見ていましたが、最後にデュフォアはテーブルに灯っていた火のついたロウソクをすべて飲み込んでしまいました。

ちゃんと料理すれば美味しいものも中にはありそうですけど、いわゆる「ゲテモノ」の定義が現代のそれと近いのは面白いですね。

  

3.  ニコラス・ウッド 1585-1630(イギリス)

ニコラス・ウッドは17世紀前半にイギリス・ケントにいた「大食漢パフォーマー」で、貴族のパーティに呼ばれて頻繁にショーを行い報酬を受け取っていました。

いくつか記録が残っており、リーズ城のウィリアム・セントレジャー卿が主催した晩さん会では、ウッドは総量にして「8人前の食事」を平らげたとされています。

また、ウォットン卿の晩さん会では「ウサギ20匹」を平らげたそうです。

詩人ジョン・テイラーはウッドに「ロンドンに行ってショーを開けば大成功を収める」とアドバイスし、ウッドも最初はその気になるのですが、結局彼は怖気づいてロンドンから姿を消しました。ただし大食漢だったのは晩年も変わらず、彼はもともと土地を所有していた農家でしたが、大食いが災いして牛も土地も売る羽目になり、1630年に貧困の中で死亡しました。

  

まとめ

たまに、食にあまり関心がない人っていますけど、毎日やらないといけない食を楽しむことができるなら、それだけで人生は豊かになるんじゃないかと思います。

パフォーマーはちょっと違いますけど、奇食家も大食漢も都度の食事を楽しむ人生であったのならば、それはそれで羨ましいなあとも思います。

あんまり珍奇なものというよりは、身近に手に入る食材で季節の美味しいものが食べられればそれでいいと思うんですけどね。

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