cappuccino classico

2005年
you tubeというものがはじめて出だした頃にわたしはフィレンツェにいて、当時インターネットも、まだ普通ではなかったころ、日本と離れていた私にとって、日本のお笑いをみたり、大好きなバンドのライブをみたり、画期的なツールやった。

毎晩のネットサーフィンが日課になってたころ、はじめてラテアートというものを見つけて、衝撃うけた。
毎朝バールで飲む、シンプルな丸やハートのカプチーノじゃなくて、手の動きだけで美しい模様を描くカプチーノ。調べてみると、フリーポアというラテアートでした。
ミルクがもったりしたイタリアのカプチーノではなくて、シアトル系のサラッとしたミルクのカフェラテで、イタリアからアメリカにわたってから主流になったのは、サラッとしたミルクで細かい絵がかきやすいということもあったんだと思います。
ミラノのバールではじめて、バリスタがハートのカプチーノを女性にだしたのがはじまりという諸説あり、それがアメリカに渡って、独自のラテアート、デザインカプチーノが流行ったとか。

なので当時イタリアでもそんなにメジャーじゃなくて、イタリア人の友達にみせたら、みんなノーーーーーーー!ケベッローー!!ってめちゃくちゃびっくりしてたのを思い出します。

そのときにはじめてYouTubeでみつけたのがイタリアのバリスタチャンピオン、ルイジルーピ氏でした。
イタリア語にもだいぶ慣れてきたころで、私はなんとかルイジのメールアドレスを探して、直接メールを送りました。
わたしは日本人で、いまフィレンツェで料理の勉強をしている。YouTubeで、あなたのラテアートをみて感銘を受けました。その技術を是非、わたしに教えてほしいです。そちらに行ってもいいですか?
と、そしたら、すぐに返事がかえってきて、おいでよ。なんでも教えるよ。到着日、駅まで迎えに行くから、到着時間おしえてね。と。
あまりのとんとん拍子にびっくりしたけど、次の週には北イタリアのピアチェンツァにひとり朝一の始発で向かいました。

ムセッティのコーヒー豆の焙煎工場の見学から、コーヒーの座学、ひたすら、おそろしい量の牛乳をつかって(牛さんありがとう)マンツーマンでラテアートをならいました。
ルイージのバールに実際に入ってバリスタのかっこいい動きも勉強させてもらいました。
はじめて浮かんだリーフは今でもおぼえてるぐらいうれしかったのをおぼえてます。
そのときに絶対にわたし日本で、田舎でそこに根付いたバールがしたい、と思いました

ルイージとは色々とお話をさせてもらいながら、バールデルソーレの横山さんと親友だということ、そして、横山さんがその数年前に東京でバールを開店され、ラテアートを日本ではじめて提供したお店だということを知りました。

帰国後、今では普通に開催されてますが、
それまでは、ヨーロッパやアメリカでしか開催されなかったワールドバリスタチャンピオンシップが初めて日本で行われた2007年、
ルイージが東京にさそってくれました。
久しぶりの再会で、そのときに横山さんも紹介してくれました。
横山さんのバールデルソーレにもお邪魔して、まんまイタリアのバールで感激しました。当時はバールなんて、本当に少なかったし、ましてやいまのコーヒースタンドなんて皆無だったときです。(その後にスペインバルブームにて混同される笑)
なんでも先駆者ってすごいな、と思うし、
そこにはリスペクトしかないです。
そこまでの歴史があって、技術の積み重ねがあるからこそできることであって、だから長く息づいていて、定着する。
今のSNSが主流の現代では、時代遅れといわれるかもしれないけど、わたしは、時間をかけて積み重ねたものは、裏切らないと思うし、インスタ映えとか一番興味ないですが、
それは、その時だけのもので、廃れる。
応用は、基礎があってこそだとおもうので。

わたしがあの時知ったのは、奇しくもデジタル初期のYouTubeでしたが、インターネットがあったから、ルイージにであえたし、会いに行けました。インターネットの良さもそれは、すごくあると思います。いまも、こうやって使っているし。
これがなかったら、多分商売できないかも。

でも、私は少しずつ時間はかかっても、コツコツ人脈も技術も積み重ねていきたいです。
それは昔からずっと目標であります。
デジタルは高いけど
すぐ壊れてまたお金がかかる。
技術もないから、自分でなおされへん。
アナログは長持ちするけど、
勉強さえしてたら自分でもなおせる。
それは技術があるから。
長年つみかさねてきた技術があるから。
わたしはアナログで生きたいし、そんな人だけ好きです。
そんな人だけ、周りにいてほしいし、集まってほしいです。
昔の本物の旧車がすきだし、昔の音楽が好きです。デジタルなおんげんじゃなくて、ジャケットがあって、ライナーノーツがある、レコードやCDが好きです。
ポンコツの今にも壊れそうな車が好きです。
全部、ポンコツやけど、死にそうやけど、生きてるから好きです。

私は、なぜか昔から人脈や人の縁には恵まれていて、先述のルイージはもちろん、
在籍は短くても、今でもとてもよくしてもらう元ボスや大好きな先輩達、同業の仲間、美容、音楽、ファッション業界、沢山の最高の人脈に恵まれていると自分でも思ってます。
いつも言ってますが、それを自分で言うことは違うと思っていて、ただ人脈に恵まれているだけで、まわりは自分よりもすごい人ばかりなので、わざわざプロフィールに経歴のせたこともないですし、恐れ多くてそんなことできません。自分よりも1000倍ぐらい努力してはる方ばかりやと思うんで、そんな人たちを追いかけても追いつくことはないので、いつも追いかけています。口にすることさえ恐ろしいです。

いつでも、先駆者が一番かっこいいです。
今の時代では考えられないくらい、今にはないものだらけの中でものすごい努力をされてきたとおもうから。

田舎で、自家焙煎を初めてしたお店のおじいちゃんが、いつまでも一番かっこいい。

世界チャンピオンをとったイタリアのチャンピオンが一番かっこいい。

日本ではじめてバールをして、ラテアートをひろめたバリスタが一番かっこいい。

日本ではじめてイタリア料理を広めたシェフが一番かっこいい。

日本ではじめて、イタリア政府からカヴァリエーレ章を贈られたシェフが一番かっこいい。

日本で初めてナポリピッツァを広めたシェフが一番かっこいい。

日本で初めてナポリで修行した女性ピッツァヨーラが一番かっこいい。

日本で一番最初にファズを持ち込んだミュージシャンが一番かっこいい。

歴史上偉大な100人のドラマーは全員すごい。


日本ではじめて、イタリアの各地の料理をひろめたシェフ、イタリアのワイン、日本のワインも、日本酒も、なんでも、1番最初に叶うものはなくて、先駆者をリスペクトしながら、そのアモーレとパッシオーネだけを受け継いで、繋げていくことが大切なんじゃないかなと思います。

流行ってるお店みても、見かけだけ見た目だけで、何よりも、愛、情熱を全然感じなくて響かない、中身、質を追求するお店が減ったと、それはインターネットのマイナスの部分かなと思っています。
先駆者が、愛と情熱をもってはじめたことをこれからも愛と情熱をもって守って、伝えていきたい。
と、10年目を前に、あの時の情熱を思い出して、原点回帰で、最初からやってみようと思っています。


ローマは一日にしてならず。

最近、あまり、気持ちを残していなかったので、文字にしてみました。
長いな。

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