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ザ・クラッシュ 「サンディニスタ!」+ケン・ローチ「カルラの歌」

「ロンドン・コーリング」に続いて発売されたクラッシュの4枚目のアルバム「サンディニスタ!」は、レコード3枚組の超大作で、ロックン・ロール、レゲエに加え、ダブ、R&B、カリプソ、ゴスペルなど音楽の幅が飛躍的に広がると共に、散漫な印象を与えてしまい収集がつかなくなったような作品という当時の評価でした。

最近、新たにこの作品が気になって、当時の社会情勢を調べながら、聞き直し、歌詞を読んでみると、その幅広いジャンルにまたがった音楽で、ジョーストラマーとクラッシュが伝えたかったことが少し見えてきた気がします。
また、数年前のレコード・ストア・デーで発売された「サンディニスタ!」のプロモーション用にラジオ局に配られたレコードが復刻されましたが、写る人物は誰かが気になってました。

そして、今回観た映画がイギリスのワーキングクラスの生活を描き、アイルランドやスペインの内戦も取り上げるなど、厳しい状況に置かれた庶民を温かくも冷徹にリアルに描くイギリスの巨匠ケン・ローチ監督の作品「カルラの歌」。
スコットランドの若者を描いた「トレインスポッティング」に出演したロバート・カーライルがグラスゴーの気のいいバス運転手として登場し、無銭乗車をしたニカラグアから来たダンサーの女性に惹かれ、共に内戦中のニカラグアに向かいます。
Carla’s Song(Trailer)

そこで、壁に描かれている肖像がレコードのジャケットに写る人物でした。
調べてみると。Augusto César Sandinoアウグスト・セサル・サンディーノという二カラグアの革命家で、1927年から1933年にかけての駐ニカラグアアメリカ海兵隊に対する抵抗運動の指導者。政治的な理由によりアメリカ政府からは盗賊と見なされたが、その功績は彼をラテンアメリカナショナリズムの英雄とした。自由な人々の将軍とも呼ばれた人。

クラッシュのアルバムタイトル「サンディニスタ!」とは、サンディーノ主義者の意味。サンディニスタ民族解放戦線(Frente Sandinista de Liberación Nacional、)とは、1961年にキューバ革命に触発された人たちにより結成され、独裁政権を打倒し、ニカラグア革命させたグループで、サンディーノから大きな影響を受けていたので、自分たちをそう呼んだそうです。(略したFSLNは、「サンディニスタ!」のレコード番号にも採用されています。)
また、“サンディニスタ”という単語が出てくるWashington Bulletsという曲では、チリ、ニカラグア、キューバ、アフガニスタン、チベットなどの独裁政権や共産党政権に端を発する内戦、紛争、迫害が歌われており、ニカラグアは、第二のキューバ化を恐れるアメリカCIAの介入が、内戦を泥沼化したようです。
そして、映画では、軍事政権に虐殺されたチリのSSWビクトル・ハラの曲や劇中で現地人が語る映画「荒野の七人』(Magnificent 7)の音楽(クラッシュのアルバムにもメンバー4人にレコーディングに参加したスタッフも加えた「Magnificent Seven」という曲が収録)キューバの曲が流れます。
ケン・ローチの映画は、1987年の設定なので、クラッシュのアルバムから7年が経過していますが、内戦が続いていたことになりますね。

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