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限られた条件で勉強会を自動化して見えてきたこと

 前の職場でRPAツールを使わないRPAっぽい仕組みを作ったので、ライトニングトーク用に資料を作ってみましたが、なかなか日の目を見なさそうなのでnoteにアップしてみました😁

 何かのお役に立てば…。

まずはこの話をする前に

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 ポータルスキルについてです。ご存じの方も多いと思いますが、この考え方は仕事をする上で必要なスキルだと思います。
 ①はもちろんのことですが、②や③はやり方を間違えると、仕事が増えたり他の人の仕事を邪魔することになりかねません。しかし逆にいえば、スキルを使いこなせば仕事がうまく進むことが多いです。

始まりは突然に

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 私の職歴ですが、前職は放射線技師でした。SEのほうが職歴が長いのでその間に身につけたポータブルスキルを使って、今回の事件(?)を解決したというお話になります。

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 まずは以下の事件がいきなり起こりました…。

1.専門外の勉強会を任された

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 本当に唐突でした。ことの発端は新人の臨床検査技師が入職して5カ月目のこと。先輩技師がいくら指導しても新人が伸びませんでした。先輩たちも自分たちの限界を感じて勉強会への参加も促しますが、新人は先輩の厳しい指導と業務量の多さに疲弊して勉強する気も起きていないようです。そして以下の依頼が来たのです。

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 そう、依頼はされましたが私の職種は「放射線技師」。そもそも普段から心電図など取っていませんし、知識も経験もないのです。
 かといって、やらなければ新人もスキルアップしませんし、パート職員も勉強会には出たいけどお金はかけたくないと普段から言っているので、開催したほうが職員のスキルアップになるのでいいことではあるのです。何よりも技師が集まる会議の席で、何か勉強会を開催しろとこの会議の議長(ドクター)からもつつかれていました。

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2.具体的に何をしたか

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 さて、分からないことだらけですが勉強会の開催に着手することになりました。SEの時はシステム導入を担当していたので、こういったときはまずお客様がどんな業務をしているかヒアリングを行っていました。今回もその手順を利用して、臨床検査技師がどんな勉強会を想定しているのか把握することにしました。

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 あ~なるほど。完全に理解した。

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 …と思いはしたものの、そもそもこれぐらいの業務量だったら私じゃなくてもできますよね!って感じでした。
 まあ業務でもないし勉強会の開催自体めんどくさいと思っちゃうんだろうな…という同情もしましたが、とにかくこれは私の仕事ではありません。(大事なことなので2回言いました。)
 このまま馬鹿正直に動いていたら、いつまでも私に仕事が振られたままになると思い、道筋をつけて臨床検査技師の誰かに回す作戦にしました。しかも今あるリソースを使用してお金をかけずに、です😁

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 理想としては上記のような感じです。とにかく一人に降りかかるとみんな嫌がるので、それなりに分担して担当者を確定すれば動いてくれるであろうという想定の元、動き始めました。

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 理想の実現のためには、上記の内容がポイントでした。
 とにかくスムーズに私の手から離れないといけないので、仕事を渡す相手に考えさせることはさせません。(「考えて」と負担をかけるようなことをすると途端に嫌がるからです。)
 また、私の手から離れても同じクオリティーで開催できないと継続されません。具体的な手順をまとめることで最低限のイベントの質は守ることにしました。
 最後に権限を押さえておくことです。勝手に勉強会開催もできないですし、講師の手配もできません。

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 さて、上記ポイントも抑えたので具体的なプランを作っていきます。まずは業務フローはこんな感じです。うちの病院は入れ替わりも激しいので、途中で担当者が変わっても大丈夫なように仕組みを作らねばなりません。

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 最初にすべてを考えつくすのも無理があるので、初回の開催についてはマニュアルなしで出たとこ勝負で実施しました。しかし、出たとこ勝負ではありましたが、具体的に何を行ったかや成果物などはつど記録・保存して情報取りをしつつマニュアルづくりに生かすための材料集めを欠かさないようにしました。

 で、集めた情報で作ったマニュアルは以下の通りです。

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 マニュアル作成ツールは、もちろんExcelです。残念ながらこれ以外使えるリソースがありませんでした。でもみんなだいたい使えるので担当が変わって手順の変更があっても直しやすい…と思い確定しました。
 また、何ページかめくるようなマニュアルだと絶対見なくなってしまうので、一覧表という形をとって作業内容も簡潔に書きだしました。

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 Excelの細かい設定については、勉強会の次回開催日は勉強会当日の最後に決めるので、赤枠の日付を入れたら各作業の締切日が自動計算されるよう関数を組みました😁また各作業でメール送信が必要な場合があるので、別シートでメールの文章が自動作成されるようこちらも関数を組みました。

 欲を言えば、これらをRPAツールで作れれば、メール送信も自動にできたり出欠もストレスなく作れたのかな~…というか作りたかったな~って感じでした。

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 さて、ここまでくれば9割済んだも同然!…対人との交渉です!

 講師の確保については、費用がかかる可能性が一番強い項目でした。しかし絶対ビタ一文出してくれないという確信はあったので、ちょっとした作戦を立てました!権限のある人(今回は会議で議長をされているドクター)に、3つの案があることを提示したうえで選択してもらうという作戦です!一応案を出すことで考えました感をアピールできますし、何よりも一番ベストなのは①しかないからです。会議の席で一応3案出して確認をとったところ、すんなり①が確定しました!

 資料準備係は私が主催のときから検査技師の方が手伝ってくださったので、そのままやっていただくことになりました。

 最後の勉強会の幹事が一番失敗できない項目でした。すんなり交代はできそうでしたが万が一も考えて…初回から第3回までの勉強会は私が主催して実施して実績を作り、マニュアルと合わせて交代のお願いを会議の席で実施しました。
 公の席で話をすれば臨床検査技師の関係者は絶対逃げられないですし、放射線技師でもできるという実績と、誰がやっても同じ質の勉強会ができるマニュアルもセットで提出しているので拒否する理由がないはずです。

3.結局どうなったのか

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 …こうしてめでたく、私の手から他の担当者へ仕事が無事移管されたのでした…✨

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 しかも、つい最近まで継続して開催できていたのです!この病院で何かが長続きしたの、ルーチンの業務以外で初めてじゃないかな?と思うぐらいの長続き具合です(笑)。
 さらに自主的に、別の職種の参加もあったり他施設での開催もありました。…ここまでみんなが自主的に動けるようになったのすごくないですか?みんなすごいです!😊

4.見えてきたことは何か

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 で、今回の経験を改めて振り返ってみると、ちょっとしたRPAの導入の疑似体験ができたのではないかな?という発見がありました。

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 今回発表した勉強会のようなアナログなプロジェクトであっても業務洗い出しやワークフローを作成する練習ができるのではないかと思います。

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 さらにこの経験を通じて、権限を押さえておくことは本当に重要だと思いました。いろいろなイベントや勉強会でお話を聞く限りですが、導入の成功事例は「信用・権限のある人」が主導で動くと成功しやすいということでした。

 今回の勉強会もまさにそのパターンで、病院の権限のある人はだいたいドクターです。ドクターが「いいね」となれば物事が動きやすいです。(人にもよりますが…😅)

 実は心電図の勉強会も「〇〇先生が講師で…」といえば、開催場所もすんなり決まりましたし、医療従事者の動きも変わりました…。主導している人がどういう人かによってモチベーションの変化があったかなと思います😅
(放射線技師がやる気出しても、経験値のないやつが何イキってるんだって感じになりますしね…ホントに誰が開催するかで変わります!)

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 あと今までの私の転職歴から思ったのが、システム導入の際はポータブルスキルが結構役に立つのでは、という気づきです。

 結構ありがちなのかなと思うのが、業務の洗い出しやワークフローの作成についてシステム会社さんが全部チェックして提案してくれるんでしょ?というエンドユーザー側の思い込みです。
 契約内容にもよると思いますが、導入費用が安い場合はユーザー側が主導で動かないとうまく導入できないですし、もちろんそれなりに費用を支払えばコンサルティングまでしてもらえると思います。
 しかしRPAツールをエンドユーザー主導で使いこなすためには、毎回システム会社を呼びつけていても身につきませんし費用もかさむ一方です。

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 なので、エンドユーザー側もシステムツールの技術面は後から勉強するにしても、現在の業務の洗い出しやワークフローを作る技術は身につけておかないとこの先大変になるんじゃないかなと思います。
(この先RPAツール以外の新しい技術が出てきても結局業務の洗い出しはついて回りますし…最近はその洗い出しも自動でできるようになるツールも出てきていますが結局導入時の費用が高くつきますよね😅)

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 特にこのご時世、テレワークで働き方が変わったり、Zoomなど新しいツールを急に使いこなさないといけないというときに、ポータブルスキルをうまく使うことでストレスも減らせると思います。また、新しいことに飛び込んでみると、新しいチャンスも見つかったりするのではないでしょうか。

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