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お笑い小説

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#受難

受難シリーズ・12(最終話)

受難シリーズ・12(最終話)

  
(前回の続き→果肉付きスプーン。それが家の鍵ということの説明を受けた。しかし直後、それは嘘だとその人物は言った。振り回され過ぎて、私が砲丸なら大会記録が出ると思った)  
  
   
 
「嘘だよ。フフフ」  
    
その人はまだ嘘だった、という説明をしている。  
  
  
  
「嘘だよ。フフ」  
    
この人はどうやらこのフレーズが、気に入ったみたいだった。  
  
 

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受難シリーズ・11

(前回の続き→カラスに襲われ続けている人。スプーンについている、柿のせいだと助言したがそのスプーンは、なんと家の鍵だった。)  
  
  
「家の鍵なんだよ。こいつは」  
  
  
  
この人は何を言ってるんだ。  
  
  
  
「だから放り投げて形が変わったりしたら、家に入れないんだ」  
  
  
さっき人の頭を叩いたのに。  
そう思ったけど言わなかった。  
  
  
 

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受難シリーズ・10

(前回の続き→柿の果肉が体についていた。その果肉を狙ってカラスが襲いかかって来た。何とか追い払ったが、どうやら別の人もカラスに襲われている
ようだった!)  
  
  
私は悲鳴とカラスの鳴き声が、聞こえた方向へと走って行った。  
  
  
スプーンを振り回して、カラスと格闘している人がいた。  
  
  
「大丈夫ですか!!」  
  
  
「カラスが!カラスが襲って来る!」 

  

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受難シリーズ・9

  
(前回の続き→その人は医薬を手にして、そして静かに去って行った。商店街で転んだことから始まった災難の連鎖。これでようやく終わる様な気がした)  
  
  
  
「ふぅ。今日は色々な出来ごとがあったなぁ」     
 
「足元には注意しないとな」    
  
  
  
自分なりに反省をした。  
  
私はうつむいていた。その時だった。  
  
  
  
カー!カー!!!  
  

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受難。シーズン8

  
(前回の続き→体調が悪くなった相手。欲しいと言っていた物は、胃薬だった。普通だった。この人にいつまで振り回されるのだろうか……不安は尽きない)  
  
  
「早く薬を持って来てくれないか」  
  
  
「分かりました。そう言うことなら、すぐ行きます」  
  
  
商店街にあるであろう、薬屋を探した。  
  
無事購入して、持ち帰って来た。  
  
  
「ありがとう。薬買って

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受難。シーズン7

  
(前回の続き→体調が悪くなって来ている相手に、ある物を持って来て欲しいと頼まれたが、ある物が分からない。聞いても答えてくれない。どうしたら良いのだろう)  
  
  
  
「分かった。何を持って来たら良いのか分からないんだな」   
  
  
「そうなんです。何度かお伝えしているつもりなのですが……」  
  
  
ここに来てようやく話しが、通じ始めた様な気がした。 
  
そしてそ

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受難。シーズン6

(前回の続き→私をスプーンで叩いて来た相手。どうやら体調が悪くなって来た見たいだ。何かを持って来て欲しいそうだが、その何かが分からない。どうした物だろうか……)  
     
  
  
「早く持って来て下さい」  
  
  
「何をですか!」  
    

「良いから早くしてくれ」  
  
何回かこのやり取りが、続いた。  
  
  
   
「こんな鈍い人は始めてだ。見て分からないの

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受難。シーズン5

  
(前回の続き→柿の果肉付きのスプーンで、頭を叩かれた私。頭髪に果肉がついたが、それは柿のことを思ってのことだと諭された。この先どうなるのか、不安が増すばかりだ)  
  
   
 
「柿の話しはもうここまでにしよう」 
       
突然その人は切り出して来た。  
  
   
  
「胃がとても痛くなって来た」   
   
体調が悪くなって来ている様だった。  
  
   
 

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受難。シーズン4

  
(前回の続き→柿の果肉が付いたスプーンで、急に頭を叩かれた私。悪いことは何もしていないつもりだった。一体この先どうなってしまうのだろう……)  
  
  
「なぜ人の頭を、叩いたのですか?」  
    
私は単刀直入に質問した。  
  
  
  
  
「叩いていない。髪の毛に果肉を付けたんだ」  
    
私は少し困惑したが、すぐに次の質問に移った。  
  
  
  
  

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受難。シーズン・2

(前回の続き→商店街でこけて怪我をしてしまった。そこに、優しい人達が心配で見に来てくれた。しかし、私は思わず大声を上げてしまった……)  
  
  
  
私は皆んなの温かい好意を、押し返してしまった。  
  
  
私は人格者と言える人にはなれない。  
自分の心を、責め立てていた。  
  
  
とその時だった。  
  
  
  
私の服に付いていた、熟した柿の果肉をスプーンで誰かが

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受難。シーズン・1

  
(受難に次ぐ受難。そんな感じを書いて見ました)  
  
  
  
私は商店街を走る猫を、追いかける。  
  
私は目の前にある箱に、気づかずこける。  
  
こけた所に、熟しきった柿が落ちていて服につく。  
  
  
  
大丈夫?と手を指し出してくれた人の、爪が伸びていて自分の手に傷を負った。  
  
その人に痛い表情を見せない様に、我慢したらぎこちない笑顔になり、申し訳なか

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