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JIBUNSHI

レゲエDJ


そう言えば、まだサロンが品川区に最初の移動をした頃。
私は一人のお客さんと仲良くなった。
ゆきちゃんというどこか猫っぽい子で、私の何個か下の子だった。
ゆきちゃんに、今度六本木のクラブでmixiで知り合った人がイベントをやるので一緒に行かないかという。
私はそれでまでクラブに行ったことなんてなく、華やかな世界に多少憧れを抱いていた。
そのイベントの主催者が、レゲエのDJをやっていた“サク”という男性だった。
当日、私は仕事後に恐る恐る行ってみた。
六本木という場所も初めてで、クラブ街はいつもいる場所とは全く違う雰囲気だった。
中にゆきちゃんがいた。
私はゆきちゃんにかけ寄り、主催者のサクさんを紹介してもらった。
サクさんはダボッとした洋服を着て、キャップを被っており、いかにもDJ、という感じがした。
とりあえず場の雰囲気に溶け込もうと、お酒片手にゆきちゃんとは別行動で(ゆきちゃんは途中どこかに行ってしまった)入りやすそうな輪を探していた。
しかし結局馴染めない私は、終電もあり、あまり長くいれず帰ることにした。

レゲエDJサクさん


帰り際、ゆきちゃんと主催者のサクさんも来て見送ってくれた。
誰と連絡先を交換することもなく、その場を去った。
次の日、ゆきちゃんから昨日のイベントで誰か気になった人はいなかったか連絡がきた。
私は一人の男性のことを考えた。
ゆきちゃんと離れふらふらしている時に、一人の男性と話したことを思い出していたのだ。
もちろん名前もわからず、顔ももはや覚えていないのだが、その時はなんだか気になり、ゆきちゃんに説明した。
そうすると、私は連絡先がわからないので、主催者のサクさんに連絡してみては?とサクさんの連絡先を教えてくれた。
私は早速連絡をしてみた。
すると、サクさんから
「あいつは彼女いるんだ」
と返答が来た。
あ、なんだ、、と思った私に、サクさんは続けて言ってきた。
「俺M18さんのこと気になるな」
予想外の言葉に私は驚き、ドキドキしてきた。
全く話してもいないし、はっきり言って顔もタイプではない。
だがレゲエのDJに、イベントもたくさんやっているようなリーダー的な人にそんな風に言われたのは初めてで、舞い上がってしまった。
そして、サクさんと今度会うことになった。

六本木のクラブ巡り


当日六本木で会った。
それも私の仕事が終わったかなり遅い時間だった。
サクさんはやはりダボダボの服を着てキャップを被っていた。
待ち合せて行ったのは、さすがDJということだけあってクラブへ。
初デートがクラブというのもなかなかない。
おまけに、クラブといえば音量がかなりあり、会話もままらないような状況だ。
サクさんは私の分もお酒を買ってきてくれた。
サクさんはDJブースに行ったり、周りの知り合いの人と話しに行ったりして、2人でずっと一緒にいるとういことはなかった。

この後も週末金曜夜は会うようになるのだが、行く場所は決まってクラブ巡りで、会話を言う会話をした覚えがない。
その日、クラブをはしごしていたら、気付いたら明け方になっていた。
私とサクさんは六本木の路上でまた合う約束をし、別れた。

思い返すとかなり変わった初デートであったが、私は刺激的な夜に満足していた。
この後も同じようなデートパターンが続くが、一度だけ違ったパターンがあった。

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