沙々杯参加したら、やさしさの風になった。
沙々杯開会しましたね。僕も白杯に続いて参加させていただきます。
氷瀑の上空流れた星一つ
大巨人隠れんぼかな雪の壁
かまくらの裏で立ちんぼ引越子
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氷瀑の上空流れた星一つ
これは僕が今一番見たい光景です。音も、風さえも凍ってしまう静の世界で一つだけ動いた光。その光に僕はきっと世界は生きているんだと実感する。
大巨人隠れんぼかな雪の壁
ここでの雪の壁は人間によって切り上げられ整備された雪の壁。自然の力だけでは見ることのできないもの、だけど人間の力だけでも決してできない、その象徴の一つが雪の壁。雪の壁に自然と人間の調和を感じる。そしてその雪の壁の中では大きな巨人が隠れんぼでもしているのではないかと思い耽る。
かまくらの裏で立ちんぼ引越子
沙々杯と同じ時期に「ピリカグランプリ」というショートショートのコンテストも開催されます。これは良い機会だ。同じ情景を元に俳句も小説も創ってみよう。そう思い、かまくらをテーマに詠んだ句。この句で出てきた引越子はピリカグランプリ用に書いたショートショートにも登場します。
俳句を詠むと寄り添える。現実世界でも外に一歩も出たくない寒波が押し寄せている。この面だけ見たら冬って最悪。でも僕は俳句を詠んだから知っている。この極寒が、とある世界を白銀にし、とある世界を煌めかせていることを。冬にしかできない絵画がある。それを知ったから、寒い寒い冬も愛しく思える。どんなものも現象も愛しく思えてくる。ああ、こうやって、やさしさの風になっていくんだ。
終わり
ここまで読んでいただきありがとうございます。