やっとこの場所に
お盆を過ぎても一向に収まる気配の無い暑さが続いている。そんな暑さに心身共に疲れてきた今日この頃。
ふと、あの人達と居酒屋でも行って、たわいもない話をしたいなと頭に浮かんだ。
この感覚いつぶりだろうか。
それはとても懐かしくて暖かい。
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僕にはあの時、心を許せる友人が何人もいた。
地元を出ても定期的に逢いに来てくれる親友、大学で苦楽を共にした友人、留学先で知り合った仲間に、会社の同期たち。
彼らと何度居酒屋に行き、くだらない話で盛り上がったことか。馬鹿みたいに楽しくて、何度記憶を無くす程に語り合ったか。
そこには青春の何ページ分もが刻まれている。
なのにだ。
僕はあの日彼らを捨てた。
闇の底まで落ちてしまった僕は全てを捨てることでしかこの世に踏み止まれなかった。
それは物だけではなく、友達も例外ではなかったのだ。
何通も、飲みに行くぞ、とLINEの通知が来た。
全て既読スルー。
会社の人から聞いたけど、大丈夫?ご飯でもいこうよ。
そんな温かいメッセージも全て既読スルー。
そうすることで1人、また1人と僕から離れていった。
今も思う。
それは捨ててはいけない、かけがえの無いものだったのに。
でも捨てた。
生きるためだ。
そこから僕はこんな目標を立てた。
まず自分を愛せるようになろう。自分を愛せるようになったら妻を愛せるようになろう。妻を愛せるようになったら、両親を愛せる人になろう。両親を愛せるようになったら、友達を愛せるようになろう。
そして、がむしゃらにもがいた。
もがいてもがいて2年かけてやっと自分のことだけは愛せるようになった。
でもその時は僕の周りには誰も居なかった。
そこから更に2年かけて心から愛することができる最愛の妻と出会った。
そして最近やっと両親の愛を感じ、その愛に答えて返していけるようにもなってきた。
ここまでざっと5年だ。
それでもまだ僕の周りには、かつて当たり前の存在だった彼らがいない。
そう、僕には友達が1人もいないのだ。
それは今でも続いている。
このまま友達が1人もいない人生を過ごすのかなとも思うようになっていた。
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だけどnoteが、そんな状況を変えてくれた。
夏バテで疲れ切った状態に陥った時、
真っ先に渇望していたのだ。
noteにいる仲間達と現実世界でも乾杯したいと。
彼らと宴を共にすることを想像しただけで、温かい気持ちになった。
そして僕は実感した。
やっとこの場所まで戻ってこられた。
友を捨てた僕には、一生友達を作る資格など無いと思っていた時期もあった。
だけど僕が望み、一歩踏み出せば、ちゃんとその先で友達が待っていてくれたのだ。
まだ正直葛藤もしている。
でも勇気を出して君たちのところへ行くよ。
またあの乾杯をするために。
終わり
ここまで読んでいただきありがとうございます。