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アフターピル、そしてロマンス

あくまで凡人的な生活を送っている私ですが、稀にフィクションのような出来事もある。

ずっと友達だった年下の男の子とセックスした。(よければ前回記事もどうぞ!)普通の女の日常にも、こんなキラッとした瞬間があるんだな、世の中ってちょっと面白いかも、と思ってもらえればとっても嬉しいです!

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11月下旬の頃、私は恵比寿へ向かっていた。ずっと仲の良い友達、バンビ君と初めてセックスをしたその日から、彼と顔を合わせるのは初めてだ。

その日はバンビ君と私を含む仲の良い友達グループで韓国料理を楽しむ予定だった。早めにレストランに到着すると、バンビ君の背中はもうそこにあった。

「よっ」
「おーす」

いつもの感じだ。その夜食べたキムチにチャプチェに参鶏湯は目を見開くほど美味しかったし、友達との会話もいつも通り最高に楽しかった。

バンビ君はあの日のことをどう思っているのだろう?考えは尽きないけれど、やっぱり彼を含む友達みんなが大好きだなあ。そう自覚した夜でもあった。

帰り道、方向が一緒な私達は川沿いの散歩道でバンビ君と二人きりになる。いつもは話題が尽きないけれど、さすがに今日は沈黙が多い。バンビ君、どんな気持ちでいるかしら。その後後悔したりしていたかな。あーやっぱりあんなことしなければよかったな、そう思いながら口を開いた。

「この間はごめん」
「なんで謝るの?俺は別にいいよ」

「…今日も行っていい?」
「あー俺から誘えばよかった」

我ながらなんて軽々しいのだろう。まあでも、実際にはこんな感じだ。

その日も同じように映画を見る。睡魔をたっぷり引き寄せてから、お風呂に入って同じベッドに滑り込む。朝方になり、お互い小動物のようにおでこを寄せる、キスをする。体を触り始める。概ねは前回と同じなのだが…

「ごめん中に出ちゃった」

…これは事件だ。私の人生にも様々な恋愛・セックス事情があったけれども、これは初めてのパターン。バンビ君もそんなつもりでは無かったようだ。まあ、そんなクライマックスでも無かったのは事実。誰にだって間違いはある。

ちなみに私は低容量ピルを毎日飲んでいる。仕事がハードな世の中を生き抜くのに必須だし、今は妊娠を望むパートナーもいないから。それでも中に出されてしまったのは初めてだったので、ふたりで動揺する。

その後すぐに二人でアフターピルを処方してくれるクリニックを検索して予約し、私はクリニックへ向かう。

「低容量ピルを飲んでいるなら99%以上、妊娠の可能性はないと思いますが、更に念には念をということなら、アフターピル(緊急避妊薬)を処方できますよ。」

先生にそう言っていただいて、クリニックで直接、一錠だけのお薬をいただき、人生で初めてのアフターピルを飲んだ。流れとしてはその後数日以内に自然な生理が来るのを待つのだが、低容量ピルはその間飲むのを停止する。

バンビ君はすぐさま、
一万円以上する医薬品分の金額を送ってくれた。
私はその半額を、丁寧にお返しした。

こんな私より聡明な読者の皆さんは既に知っていると思うけれど、コンドームを付けずに挿入して、外出し(膣外射精)をするのは妊娠の可能性を防いでいることに全くならない。私自身はずっと低容量ピルを飲んでいることもあり、なんなく流れでという感じで、挿入を許していたこともあったが…今更認識を改めることになった。

『コンドームをつけずに挿入するのはダメ、絶対!』

はあ、なんて今更なんだろう。我ながら不甲斐ない。
でも、この記事を読んでくださっている稀有な読者の皆様のために書いておきたい。

私は選択肢に感謝した。今回処方していただいだお薬は2019年に発売されたジェネリックだった。それ以前だと、2011年に発売された先発品がある。それより前に遡ると、少しばかり効果は落ちる別の医薬品があったようだ。

でも、もし今未だ効果の高い医薬品が日本で承認されていなかったら?もし私が地方在住で、近くにアフターピルを処方しているクリニックが全く無かったら?セックスの相手がお薬代を全くくれなくて全額自腹だったら?もう少しクリニックに行くのを躊躇していたかな…などなど。

都会で暮らすアラサー女は気軽なものだ。

先進的な医療を提供しているクリニックがあるし、あくまで人によるけれど、リスクについてしっかり理解してくれる聡明な男性も多いし、経済的に自立している女性も多い。

でも何かひとつ条件が異なれば、どうなっていただろう?こんな身近でアフターピルが手に入らなかったり、またはクリニックがあっても行くのを躊躇していたかもしれない。この選択肢が当たり前なことだとは到底思えない。もっと当たり前になればいいなと思う。

『有難いなあ』

今回の選択肢に心から感謝しながら、イルミネーションが綺麗な銀座の路地を帰路についた。後日、無事に生理はやってきた。大丈夫だろうとは思っていたけれど、それでも心底ほっとした。

「勉強になりましたね」

お互いを指差しながら、バンビ君と私はそう言い合った。

私とバンビ君の気軽な関係は今も続いている。12月後半の寒い夜、一緒にシチューを作って食べ、エレカシ・宮本広治さんのカバーアルバムを聴きながらお酒を楽しんだ。ちなみにカバーアルバムは『ROMANCE』という、女性シンガーの曲をミヤジさんがカバーして歌っているもので、どの曲も素晴らしかった。

その夜私は、バツイチだし、シングルだし、アラサーだし。家は相変わらず賃貸で購入の予定もなく。まるで根無草だけれど、その夜は私は心から楽しいひと時を過ごしていて、間違いなく幸せだった。

これからどうなるかはわからない。わたしにもこんなことは初めてだ。でも、また何か素敵だな、面白いなと思えることがあったら、また筆をとってみますね。

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今日はここまで!拙い文章を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。気に入ってもらえたらスキ・シェアしていただけたら嬉しいです!

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