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5月27日 かぼちゃコロッケ


昨日妻に「明日は君の好きなご飯を作る、何がいい?」と問うと「かぼちゃコロッケ」と応じたので、今日はかぼちゃコロッケを作ったのだった。

僕はかぼちゃがあまり好きではない。かぼちゃコロッケの作り方も知らないので、いくつかのレシピをネットで検索して「あはん、大体そういうことなんですね」と納得。

かぼちゃは家にあったので、そのほかの材料を買いにスーパーに出かける。
玉ねぎ、ひき肉、パン粉、などを購入し自宅に帰る。

妻からは「かぼちゃは先にレンジで温めて柔らかくしてね、家の包丁は切れないので、そのままのかぼちゃ対峙すると確実に怪我をします」
と脅しつけられていたので、レンジでかぼちゃを温めた。

その間に玉ねぎを微塵にし、ひき肉と共に炒める。
レンジで無茶苦茶にされて柔らかくなったかぼちゃの皮を剥いて先ほどの玉ねぎひき肉と混合する。

ごろり感を残した混合とし、それらしい形を形成。かぼちゃコロッケの中身、実弾を完成させる。
小麦粉、溶き卵、パン粉をそれぞれ平たい皿に用意をする。
小→卵→パの順番で実弾をくぐらせていく。

どう考えても実弾を大きく作りすぎたが、もうここまで来たら戻れない。
揚げ作業へと移行する。

油は本当にたっぷりつかう。日和っては駄目だ。思ったよりもどぼどぼ鍋に入れる。
普段炒めものばかりしている僕にとっては異次元の量だが、炒め物と揚げ物は根本的に種類が違う。同じく走るからと言って50メートル走とマラソンが全然違うように。
「もったいない」とか思っては駄目。油なんて1リットル300円程度。新大阪→なんばの切符よりも安いのだ。などと300円の大したことなさ、を心に念じなければなあらないあたり、まだまだ僕は揚げ物ビギナーだ。

ともかくたっぷりの油を鍋に注いで加熱していく。
暫く後にパン粉を鍋に満々と張られた油に落としてみる。
少し泡をまとってブツブツというだけでどうにも歯切れが悪い。面白くない人みたいだ。
これではいけない。
ここで焦ってかぼちゃコロッケの実弾を油に投入すると、油が回っただけのカラリとしていない、ぐずぐずカロリー爆弾(マズ味)ができてしまう。
我慢の時。

もういいだろうか、と思ってから2分後くらいに再びパン粉を油に落とす。
ジャアッ。と音を立てて一瞬沈んで浮き上がってくる。

「今です」と諸葛孔明ぶって出来上がったかぼちゃコロッケの実弾を一つだけ油に投入する。

こうなってしまったら一気呵成に揚げてしまいたい所だが、ここも焦ってはいけない。

一気に何個も投入すると油の温度が下がってしまい、カラリと仕上がらず、結局ぐずぐずカロリー爆弾(マズ味)が出来上がってしまうのだ。

ここは慎重に、一つづつしっかり揚げていく。
当然汗が噴き出してくるが、この汗が油に入ると、不潔だし、爆発が起こるので気を付けなければならない。
不潔の爆発だ。最低の言葉だが、文字通り最悪の状況になってしまう。
汗をタオル手拭いで抑えながら一つ一つ揚げていく。

結局7つばかりの巨大なかぼちゃコロッケが出来上がる頃には妻が帰宅。
油をクッキングシートで吸い取る仕掛けをした大皿に載せ、妻に揚げたてのかぼちゃコロッケを供することができたのだった。

妻はことのほか喜んだ。
理由を聞いてみると

「あなたはかぼちゃがあまり好きではないでしょう。かぼちゃコロッケにも興味が無い。それなのにこうやって作ってくれるというのは私の為ということやから嬉しい」

と妻は僕から妻への奉仕の純度を喜びつつ美味しそうにかぼちゃコロッケを食べたのだった。
なるほど、食事の快楽にボーナスをつける為のかぼちゃコロッケリクエストだったのか。
しかし僕があまり興味が無いものを作らせることによって心情のボーナスを得るとは。
妻、策士やん。僕より諸葛孔明やん。

心の安寧を得るのが上手い。と思って妻には感心をした。

それと同時に、それに価値を感じてくれる人、僕のなにがしかによって心の安寧を感じてくれる人がそばにいてくれることのありがたさを思ったのだった。

結局妻はかぼちゃコロッケを6つ食べて、20時になる頃には眠っていた。

非常にいい日だったと思う。

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