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"have"考(体調編)

こんにちは。
ランケミストtamacoです!

海外旅行の最中、もし体調が悪くなったら。
そんなとき、体調を表す表現を覚えておくと役に立つでしょう。

今回は、体調が悪いことを表す表現(頭痛、腹痛)について
日本語と複数の言語を比較してみます。

"I have a ~ache."文

まずは、英語から見ていきましょう。

「頭が痛い」「おなかが痛い」

英語にすると

”I have a headache.”
”I have a stomachache.”

となりますね。

まあ「??」ってなりますよね。
とくに初学者は。

「頭が」「おなかが」っていってんのに
なんで主語が "I" なんだよ!って。

和文英訳問題で、生徒が
"My head~" "My stomach~"
という感じの解答をするも無理はありません。
(初学者だと、"my" すらつけていない解答になる可能性もあります。)

だって、日本語だと「頭」「おなか」が主語に見えるんだもん!

念のため、手元にある英和辞典で "ache" の項を確認すると

(1) 一般的に言って My head [stomach, back, tooth] ~s. よりも I have a headache [stomachache, backache, toothache]. の方がふつう. (2) My head ~s. は「頭痛がする」, My head hurts. は「(負傷などで)頭が痛い」

大修館 "Genius Forth Edition" p.18

となっていて、日本語直訳風でも言えないことはないようです。

まあ、テストではピンされるでしょうが…

逆に英文和訳だったら、どうなるんでしょう、、
「私は頭痛/腹痛を持っています」って書いたらマルになるのでしょうか?
(ピンされそう…)

では、なぜ英語では "I have~" になるのでしょう?
とりあえず基本義を確認してみましょう。

【基本義:物・状態・状況を持っている】("Genius Fourth Edition")

別の辞書では

語法 (1) 以上の例文からもわかるように, 日本語の「持っている」よりも意味が広い. (2) 以下略

研究社 "Lighthouse 6th Edition" p.633

とあり、"have" の射程と「持っている」の射程が
かなり異なっていることがわかります。
日本語では「持っている」と表現できないことも
英語では "have" で表現できる
ようです。

ただ、「頭痛を持っている」とはあまり言いませんが
「頭痛持ちだ」という表現はわりとよく使われていますよね。
動詞ではちょっと不自然でも名詞になるとぐっと自然になる。
不思議ですね。
日本語の「~持ち」という表現は、英語を下敷きにしたものなのでしょうか?(わからんけど笑)

さて、"have"考はこのあたりにして
英語以外の言語の表現を見ていきましょう。

「頭が痛い」「おなかが痛い」英語以外ではどう言うの?

ロシア語では?

まずロシア語を見ていきたいと思います。

なぜロシア語かって?
大学の第2外国語でやってたからです。
(面白かったよ!)

У меня болит голова.
У меня болит живот.

えー、こちらがロシア語の「頭が痛い」「おなかが痛い」になります。

簡単に文法説明を。

"У" は前置詞で英語では "by, at, with" の意味です。
上記の表現を英語で直訳すると
"By me headache." "By me stomachache."
もうちょっと英語らしく直すと
"I have pains (in my) head"
にまります。(ロシア語表現にない部分は()で表しました。)

基本的に、"I have~." をロシア語で表したいときには
у меня (есть)~. という表現を使います。

この表現を習ったときロシア語の先生が、
「周囲にあるものはロシア人にとっては自分の所有物なんです。
だから「私の近くに~がある」という表現になるんですよ。」
といっていて、とても印象に残っています。
ロシア人の世界の見方を垣間見れて、
「日本人とは全然違う!」「おもしろい!」
と思いました。

ロシア語は、英語とも日本語とも表現の仕方が違いますね。
主語はどれなのでしょう?
こういう時は格変化をみればいいのです。

・・・(検索中)・・・
どうやら、"болеть" が動詞で3人称にしか使えないらしい。
で、"болит" が単数、"болят" が複数のときの形。
"болеть" の後に来る名詞相当の単語の数に合わせて格変化させるので
上記の文の主語は"голова"(頭)"живот"(おなか)です。
!!!!!
なんと…!
日本語みたいですね。
ちょっと違うけれど。
(三上章、金谷武洋説では、日本語に主語はいらない〈日本語にあるのは主語ではなく「題目」〉ので)

韓国語では?

次は韓国語です。

選定理由は、韓国ドラマ好きが高じて、韓国語を勉強するようになったからです笑

머리가 아파.
배가 아파.

これは日本語とほぼ同じです。
なんなら発音も
"モリガ アッパ" "ペガ アッパ"
と「~が」という部分まで似通っています。

韓国ドラマ見すぎていたら、韓国語と日本語、
すごく似ているところがたくさん見つかって、楽しくなります。
文の作り方が似ているみたいです。
発音が似た単語もたくさんあって、それから
"괜찮아"(大丈夫) "죄송합니다" (謝罪のすみません)"미안해"(ごめん)
"저기요" "여기요"(呼びかけのすみません)"내가 잘못했어."(私が悪かった)などの表現が連発されるので、いつのまにか覚えてしまいます笑

スペイン語では?

最後はスペイン語です。

これも大学でやっていたので。
何を隠そう、言語への興味が変態的なので
第2外国語1つでいいのに、2つやっちゃいました笑

そんなことより、、

(A mí) Me duele la cabeza/la garriga.
Tengo dolor de cabeza.

「頭が痛い」「おなかが痛い」
スペイン語では上記のようになります。
(下記サイトを参照しました↓ めっちゃわかりやすい!)

スペイン語では2つの表現がありました。
上の方はロシア語と構造が似ていて、
動詞 "doler" は後に続く名詞に従って活用します。
単数の場合は "duele" 複数の場合は "duelen" となります。

下の方は英語でいうと
"I have an ache of ~." となります。
スペイン語では(というか英語以外のほとんどの印欧語)
主語の人称、数、相手との親疎によって動詞の形が変わります。
主語が決まらなければ動詞の形が決まらないのです。
でも、これ、裏を返せば、動詞の形をみれば主語がわかるということ。
なので、主語をいちいち示さなくてもいいのです。

なんでこんなことを書いたかというと
"tengo" を説明するためです。
原形は "tener"、英語でいうと "have" です。
で、"tengo" は一人称単数の形。
で、一応、"yo" が英語でいう "I" なのですが
先ほど書いたように、普通、省略されます。

こうみると、スペイン語にはロシア語的な表現と英語的な表現
どちらもあるようですね。
おもしろいな~

ということで、今回は "I have a ~ache." の表現について
日本語、ロシア語、韓国語、スペイン語と対比してみてきました。

日本語との表現の近さでいうと
韓国語、ロシア語、スペイン語、英語
の順に遠くなっていくようです。

スペイン語が日本語にも英語にも親和的だったのが意外な発見でした。

大学でロシア語とスペイン語をやっていて思ったのは、
英語って案外イレギュラーな言語なんだな、ということ。
大学でやる範囲だけみると、
ロシア語とスペイン語には似ている文構造がたくさんありました。

ことばを学ぶのはおもしろい!!!

最後までお読みいただきありがとうございました。

もし、「この言語ではこういうよ!」というのがあれば
ぜひコメントで教えてください!