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"好き''を学べる大学探し -私流、大学の見つけ方-

こんにちは。たまちゃんと言います。
私は先日、九州大学芸術工学部音響設計学科というところを卒業しました。
音響設計学科というところは、日本でも珍しい''音について専門的に、幅広い学問の視点から学べる大学''です。今日はそんなユニークな大学との出会いについてお話したいと思います。
是非、今進路に悩んでいる(今後悩みそうな)中高生の方々に読んでいただきたいです。

第1章 何も考えておらず、痛い目にあった。

「自分がなぜ真面目に大学を考え始めたのか?」を語る章なので、大学選びについてのみ知りたい方はスキップしてください。

とりあえず京大を志望。

実は私、元々は九大志望ではなく、芸術工学部というところも知りませんでした。というのも、私は筑波大学附属高校(通称:筑附)という文京区にある高校に通っていたのですが、筑附はいわゆる都内の進学校。(同様の高校に通われていた方なら頷いていただけるかもしれないのですが、)そういった学校では、「とりあえず、東大か京大(ないし、東工か一橋)を志望校に据えよう」と考える学生が多く、私もその1人でした。

私は、幼い頃から家に届く不動産チラシの間取り図を見ることが好きだったため、建築学科に行きたいと考えるように。特に色々な大学を調べることもなく、志望校は京都大学工学部建築学科に決まりました。

世の中そんなに甘くなかった。

なんとなく京都大学工学部建築学科を志望校とした私は、あまりその事実を意識することなく高校生活を送っていました。また、「高校に入ったらしばらく勉強しない!(中学時代にかなり勉強して、正直勉強には少し飽きていた)」と強く心に決めていた私は、必要最低限しか勉強に時間を割いていませんでした。補助的な要素として、通学時間が大変長く、体力的に勉強に割く余裕が残っていなかったというのもありました。

そんな気持ちのまま受験した京大模試はしっかりE判定(当たり前ですね)。このままだと大学に受からない!と焦った私は、こんなことを考え始めます。

本当はそんなに行きたくない大学なのかもしれない。

「なんてご都合主義な思考なんだ…」と今なら思うのですが、当時の私は、本気で「私の成績が悪い(勉強に身が入らない)のは、モチベーションが上がらない志望校を設定してしまったせいだ」と考え始めました。実際、深く"建築学科"を考えたこともなく、入学後・卒業後のイメージもあまり具体的に決まっていませんでした。入った後に何を学ぶのかも具体的には全く知りませんでした。

また、当時から大学時代は音楽活動を真剣にやりたいと考えており「大学で全く違うことを学ぶのではなく、やっぱり音楽や音に関わることを学びたい!」と思うようになりました。この時既に高校3年生の夏休み。遅すぎる方針転換でした。

第2章 無限検索編 - 大学のHPのココを見ろ! - 

この章では「志望校を真面目に考え直そう!」と決意した私が行った初期の大学調べについて語ります。

Step1. 「好きなワード」+大学でひたすら検索。

「音や音楽に関係することを学びたい」という方針がしっかりと固まったため、合致する大学を見つけるためにひたすらネット検索や情報誌の閲覧を行いました。「音 大学」「音楽 大学」などの検索ワードでひたすら検索。見つけた大学を1つ1つ見ていきました。

音・音楽などのワードで検索してヒットするのは、主に教育学部(音楽の教員を目指すような学部)だったのですが、あまり興味がなかったため除外。残る大学は九州大学、東京藝術大学をはじめとした音楽大学、立命館大学、早稲田大学、日本大学など。それほど多くない数だったので、各大学をこの後述べる方法で1つ1つ調べていきました。

Step2. 同じ名前でも、違うことをやっている。

大学は、高校とは異なり、各大学によってカリキュラムが異なります。つまり、同じ「工学部」という名前を冠していても、大学によって学ぶ内容は異なります。もっと言えば、同じ学部・学科内でも研究室単位で学んでいることは180度異なります。そのため、入学前になるべく具体的に授業や研究室の情報を知り大学選びに反映させることが大切です。

そこで、各大学のHPに"科目一覧", "履修要項", "科目配当表"といった名前で掲載されている情報を閲覧してみてください。ここでは、私が通っていた音響設計学科(現:音響設計コース)の科目配当表を例に説明を行いたいと思います。

音響設計コース:専攻教育科目配当表

科目配当表は、その学部・学科で開講されている全ての授業が一覧になっています(全ての科目を履修しないと卒業できない訳ではありません)。音響設計コースでは、履修区分の欄に◎がついているものが必修科目、◯がついているものが選択必修科目となっています。つまり、音響設計コースを卒業するためには、コース基礎科目(聴覚生理学、聴覚心理学など)を修得しないと卒業することができません。

これらの科目名を眺めて、興味を持てるか?が大学選びの基準の1つになると思います。もちろん、大学では同名科目でも内容が異なる場合があるので、科目名から詳細に内容を把握できるわけではないのですが、高校生にとっては大きな参考になるかと思います。私も、これらの"音"や"音響"という文字が入った科目名に惹かれ、音響設計コースへの興味がより強くなりました。

Step3. 学問分野自体を少し調べてみよう。

Step2が終わる頃にはかなりそれぞれの大学・学部・学科への知識が深まっているかと思います。それでもまだ、どの学問に惹かれているのか?特に何を学びたいのか?に悩む方もいると思います。

そうした方には、次の3つのことをおすすめしたいと思います。

  • シラバスを見る

  • 気になる学部学科に所属している教員の専門分野を調べる

  • 気になる専門書の著者の卒業大学/所属大学を調べる

[シラバスを見る]
各大学の各開講科目にはシラバスが存在します。シラバスには、その科目で何を学ぶのか?どんな知識が得られるのか?どんな状態になれば修得が認められるのか?などが書かれています。Step2で気になった科目などのシラバスを見てみましょう。ただし、大学によってはシラバスを公開していない大学もあるので、その場合は他の2つの方法を試してみてください。

[気になる学部学科に所属している教員の専門分野を調べる]
大学では、学部学科単位の学びに加えて各研究室に配属されての研究を行います。研究室で行う内容は、教員単位で異なるため「どの先生がいるか?」も大学選びの重要な基準の1つとなります。そのため、大学のHPから所属する教員を調べ、その教員が行っている研究や論文を見るのも、すごく参考になると思います。先生によっては、講演会を行っていたり、高校生向けに公開授業を行っていたりする方もいるため、興味を持った場合は足を運んでみることをお勧めします。今はネットで検索するだけでもたくさんの情報に出会えると思います。

YouTubeの「夢ナビTALK」というチャンネルでは、たくさんの大学教員の方が自身の専門分野についてお話しされている動画を見ることができます。是非、参考にされてみてください!

[気になる専門書の著者の卒業大学/所属大学を調べる]
Step1,2,3を通して気になった学問分野についての専門書を調べ、その著書の経歴を調べることも大学選びの参考になるのではないかと思います。また、シンプルに学問分野についての知識が増え、将来設計や大学卒業後の進路への参考になります。私は、日本音響学会が編纂した音響サイエンスシリーズにたどり着き、大学選びなどの参考にしました。

第3章 百聞は一見にしかず。

この章では、学校見学について語ります。

ここまでのプロセスを経て「九州大学芸術工学部音響設計学科しかない!」 となった私。九州には行ったことがなかったため、学校見学に行くことになりました。しかし、この時点で高校3年生の9月。すでにオープンキャンパスは終わっており、文化祭に行くことになりました。

志望校についてはなるべく早めに考えた方が良い(当たり前)

ここで強く主張しておきたいのは「大学について早めに調べた方がいいよ!」ということです。私が調べ始めた時には、施設公開やオープンキャンパスなどの多くの行事は終わっていました。また、受験勉強と並行しながら、大学について調べたり実際に大学に足を運んだりするのは大きな負担となります。入試形式によっては、すでに秋には出願が締め切られている可能性もあります。

私の場合はギリギリ間に合いましたが、早く知れば知るほど、取れる選択肢も豊富です。ぜひ、この記事を見つけた高校生はなるべく早めに大学について調べてみてください。

実際に見て、校風を知る。

私は運よく文化祭(通称:芸工祭)に遊びに行くことができ、校風について知る機会を作ることができました。芸術工学部では、芸工祭に大変力を入れています。企画から制作、演奏まで全てを学生が手がけるライブイベントや、同じく企画から制作(衣装制作やBGM制作も)、モデルにいたるまで全てを学生が手がけるファッションショーなど、様々なイベントが開催されていました。

"芸工に入ればこんな個性的な人たちと関わることができるんだ!"と思えたこと、そして、学生のクリエイティビティを全力で応援する(裏を返せば放任主義な)校風に惹かれ、正式に芸術工学部音響設計学科を第一志望に決めました。

また、九州大学が総合大学であったことも私にとっての魅力の1つでした。総合大学では、本人のやる気次第で他の学部学科の科目についても学ぶことができます。また、どうしても入学した学科が合わないと感じた時、大学に属する多様な学部学科に転学部・転学科することもできます。実際に私も芸術工学部の他の学科や文学部で自分の専門とは異なる分野について幅広く学ぶことができましたし、それらの知識は専門分野にも活かされています。

終章 あとは受かるだけ。

ここまで決まれば、あとは勉強して受かるのみです。志望校が決まれば、その学校に合わせた対策に入ることができますし、合格ラインと自分の実力の差も明確になり、やるべきことも明確になります。何より、ここまで考え尽くして決めた志望校に対しては、モチベーションも高く勉強を続けることができるはずです。

多くの受験生が、大学受験に合格することをゴールに受験勉強を開始してしまいます。高校3年生までの私もそうでした。しかし、大学は高校と比較して細分化された分野をより深く学ぶ場所です。選ぶ大学、学部学科によって、学ぶことは全く異なります。そのため、大学受験は高校受験の延長線上として捉えられるべきではなく、「将来どう生きていきたいか?」を考えるスタート地点であるべきだと私は思っています。

是非、これを読んでくださった中高校生には、受験勉強と同じくらい進路選択や学部学科選びを大切にしていただきたいです。皆さんの進路選択を応援しています。

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