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日常ブログ #37買い物



6月も半ばになった。
もうすっかり夏である。
梅雨に入ったら少し涼しくなるかな、と悠長に構えていたが、全然そんなことなかった。
全然暑い。

こうなってくると浮上する問題が衣替えである。
今現在、この世界には季節というものが存在しているが、もし私に神がかり的な力があったとしたら世界中のありとあらゆる問題を解決した後に、この季節というものを消し去りたい。
季節がなければ衣替えは不要である。
つまり春と夏、夏と秋、秋と冬、冬と春の合計4回も行われるこの面倒なイベントをスキップすることができる。
この案なかなかアリなんじゃないだろうか。
想像するのはタダである。

何はともあれ、衣替えが嫌である。
面倒臭いというのは確かにそうであるが、理由はそれだけではない。
神の力を手に入れてまで衣替えをしたくない最大の理由は、お気に入りの服をしまって来年まで待つのが嫌だからである。
おしゃれ下手の私からしてみれば、今の季節と手持ちの洋服と若干のトレンド感にようやく馴染んできたと思ったら、もう3ヶ月が経って季節が変わってしまう。
所持キャラを一生懸命練習して対戦で勝てるくらいにまで使いこなせるようになったと思ったら、特定で完封してくる新キャラが実装されてしまい使い込んできたスキルや能力が一切役に立たなくなる単推しゲーマーの気持ちである。
何年生きてても季節アップデートのスピード感に追いつける気がしない。
もう20年以上洋服着てるのに。
そこそこ古参なのに。

特に春物は酷い。
Tシャツだと重ね着とかで他の季節でも着られるし、冬物の分厚いパーカーなんかも季節外れに寒い日などに重宝することがある。
だが、春物のうっすい上着とかペラペラのシャツとかは春以外のどこに使い道があるのかわからない。
その上秋物は春でも着られるから、さらに厄介である。
春物の服は薄手で涼しいのに長袖とか、中途半端な袖丈だったりとかする。
それは気温に応じて柔軟に対応できるという春物の美点の一つだと思っているのだが、暑かったら半袖でいいかとなるし、肌寒かったら普通の長袖でいいかとなってしまうのだ。
春物が春物として輝ける環境がなかなか来ない。
やはりその性能に特化しているものたちにはどうしても劣ってしまうのだろうか。
第一には、春物を使いこなせていない私のおしゃれ実力不足が問題である。
実戦を積んでもっとおしゃれレベルを向上させていくべきだ。
アイテムを増やして手持ちを強化するというのも悪くない。
ものが増えれば選択肢が増えるし、その分可能性も広がる。
現在のランクよりも上位のステージを目指していくのも視野に入るだろう。


そうして買い物に出かけていったのが去年の10月ごろ。
その時は春物ではなく冬物の服を目当てにショッピングモールへ向かった。
狙うのはブルゾン、またはフリースのもこもこ衣装である。
しばらくファッションフロアをぶらぶらしてみたが、目ぼしいものが見つからなかったのでそのまま帰ることにした。
帰り道、新しくオープンしたショップの前を通りかかった。
それが私の好きなファッションブランドだったのだ。
ここに新しくできているなんて知らなかった。
ちょっと寄ってみようと思って店内へ入った。
目的のもこもこアウターはなかったが、とてもかわいいパーカーを発見した。
厚手だし、今後の冬シーズンに活躍しそうだ。
手持ちのズボンなんかにも良く合って、いい編成を組めそうな気がする。
ただ一つ、懸念点となるのが価格である。
予算を大幅にオーバーしてしまっている。
見た目も良いし機能性も高い。
ポテンシャルも十分で、こんなに能力の良いパーカーそうそう出会えないだろう。
だが、お高い。
学生バイター勢の私には結構厳しい価格だ。
頑張って奮発すれば無理というほどでもないが、予算オーバーだしな、給料日までまだあるしな、と長考作戦練りタイムに入る。
棚の前でじっとしてたら不審に思われるので、店内をぐるぐると歩きながら考えることにした。
知らないうちに色々と新商品が販売されているようだ。
コラボ商品なんかは大々的に展開されていて、お店の入り口側にずらりとディスプレイされていた。
店員さんも入り口付近で呼び込みをしている。
コラボ商品棚辺りに近寄りながら悶々と考えていると、作戦タイムを遮るようにあるアイテムに目がとまった。
コラボ商品の長袖シャツである。
深緑色の渋いカラーで、背面には中村祐介氏のイラストがでかでかとプリントされている。
とてもかわいい。
だがシーズンオフ物なのだろう、コラボ棚の中でも店内寄りの端の方に陳列されていた。
それに生地の厚さが一目瞭然で秋冬物ではない。
ものすごく薄い。
夏でも着れるのだろうか?
でも薄い分透けないように生地がしっかりしたやつなので、通気性はそんなに良くなさそうである。
夏に着るとしても、屋内にいる時とか湿気のないカラッとした日に着るのが良さそうだ。
それか春とか。
そうだ、春が一番このシャツに適している気がする。
でも今日は冬物のアウター装備を買いに来たし、そもそもこのシャツも若干予算オーバーしてるし、と、ちらっと見て移動するつもりだった。
だが、気が付くとすぐそばに入り口で呼び込みをしていた店員さんが来ていて、コラボシャツについて丁寧に説明をしはじめた。

ここでプレーヤー・タマ最大のデバフ効果発動。

①注意散慢:考え事の最中は周囲への注意力が疎かになり、近くにいる人の声や存在に気がつきにくくなる。
②社交弱体化:親しくない人と話す時、コミュニケーション能力が著しく低下しまともな受け答えができなくなる。不意を突かれた時はその効果がさらに増す。

まさかの2個重ねがけ。
これではもうタマは使い物にならない。
完全にゲームセット。完敗である。
具体的にどうしたのかというと、全く予定になかった予算オーバー春物コラボシャツを買いました。
店員さんの圧に負けたとかではなく、ぼーっとしていたところに突然話しかけられびっくりして混乱し、気がついたらレジで購入していて、その月の洋服予算を超過してしまったのでそのまま帰るしかなかった、というわけです。
プレーヤーの存在そのものがバグすぎる。
まあでも、これまでにもリッチな友達に釣られてバリ高洋服をノリで買っちゃったりとか、修学旅行先で変な木の棒買っちゃったりとか、修学旅行先でこれから夕食なのにご当地グルメ食べちゃったりとか、修学旅行先で金粉ソフト食べちゃったりとか、そういう買い物バグは多々見られた。
このバグはバグではなく仕様、性能として把握し、想定しておくべき物だったのだ。
つまりこれは完全に私の判断ミスということである。
いや、それにしても酷い。
一体いつ着るんだこのシャツ・・・

そう思いながら紙袋を下げて電車で帰ったのを今でも良く覚えている。
例のコラボシャツは今年の春衣替えアップデートにてようやく私のクローゼットに実装された。
半年経ってもやっぱりかわいくて、なんだかんだ買って良かったな〜、たくさん待ったからこの春はいっぱい着たいな〜、と思ってたら6月である。
暑い。湿気がすごい。衣替えの時期である。
何で?まだシャツ3回くらいしか着てないのに。
入手するのに色々苦労して、着るまでにも相当大変な思いをして、値段だった結構したのに、もう終わり?
また一年待つの?
なんだそれ。課金し損みたいなものじゃないか。あんまりだ。
やはり春物は見た目重視で性能は弱いのか、夏や冬などに特化しつつ汎用性の高いアイテムにはステータスでは勝てないのか・・・


ということをクローゼットを眺めながら考えていた。
もう今後は春によく着ていた服の出番はなさそうだ。
本当に短かった。
毎年言っているが、そのうち春って存在がなくなるんじゃないだろうか、ってくらい春は短い。
その春にようやく輝けるコラボシャツの出番も短い。
でも、私はこのシャツをはじめとして春用に買った洋服を嫌いにはならない。
なぜなら、ものすごくかわいくて大好きな服だからである。
活躍できる期間が短い分、思い入れも深いのだ。
ゲームもおしゃれも、一番大事なのは愛。
そのアイテムやキャラが好きかどうかである。
あとは上達を目指すだけだ。
またコラボシャツを着れるのを楽しみにしながら、注意力と社交力のデバフ改善を目指したいと思う。







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