青い封筒 市役所から一通の封書が届き、私はまたふと思い出した。だから記しておこうと思う。一部は事実で、一部は想像でしかないが。 8年前のこと うちには雄の柴犬がいるのだが、彼の年齢=わたしの術後経過年数なので、今の病状を他人に説明する必要に迫られた時に思い出すのは彼の顔だ。 甲状腺機能障害からの甲状腺癌の発症でわたしは甲状腺を摘出した。担当医の先生から精密検査を受けるように言われた時も結果甲状腺癌だとわかった時もこんなに痛くも痒くもないのに?とどこか現実感がなくて、これから
PLAN75の感想 封切りからだいぶ経つがPLAN75を観てきた。まずは映画の印象を言おう。吐息が耳に残る映画だと思った。疲労、怯え、諦念、怒り、……さまざまな呼吸音は生きている人間が放つ音だ。そして一人テーブルにうつ伏せ亡くなった稲子やPLAN75を選択し、ベッドで横たわる人々からは聞こえてこない音でもある。 生きた人間から絶え間なく発生される音で明確に生と死を、感情を伝えてくる。そして観客のこめかみに突きつけるのだ「どう思う?」と。 映画を観終わった後、私はリアルに頭
高校生の頃まっすぐ家に帰るのは惜しくて寄り道ばかりしていた。部活動ははいっていたが文芸部だったので集まりは週に一度くらいの頻度であったし、それ以外特にバイトも予備校も行っていなかったので当時飼っていた犬の散歩の時間さえ守れば自由な時間が結構あった。 もちろん友達と帰ることもあったが、友達はみんな電車の方向が逆だった。たまに交代で逆方向の電車に乗り、寄り道のできる駅まで行くことはあったけど私も友達も定期圏外に頻繁に行けるほどお金もなかったので、高校の最寄駅でバイバイとなるの
映画を観て、恋をしてすぐ失恋したので、この気持ちをまとめないとと書いてみたものの、出せる場所がなくて使い方もわからないままnoteをつかっています。 はじめに。 映画「逆光」を観ました。きっかけはTwitterで信頼している広島のフォロワーが観て!と言っていたから。だから彼女の感想も最後まで読まないで今日まで我慢してきました。やっと読める! 地元だとジャック&ベティかkino cinémaでかかりそうな映画だなとなんとなく踏んでいたらkino cinémaで上映するってい