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「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

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「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
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#キャッシュフロー

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

2.儲かっているのにお金がない、なぜ? 「利益」と「資金」は一致しない  損益計算書での「利益」と手許に残る「お金」が常に同額であるならば、利益管理だけで経営の舵取りは可能です。  キャッシュフロー計算書を作成する必要もない、ということですね。  しかし企業会計での収益や費用は、現金の出入りで記録する「現金主義」ではなく、会計的な事実の発生によって認識する「発生主義」により計上するルールです。  たとえば商品や製品を出荷すれば、売上代金の回収にかかわらず売上高が計上さ

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

3.「減価償却費」が果たす2つの役割 「減価償却費」の節税効果がキャッシュを生む  会社が事業供用している固定資産のうち、時間の経過や使用により価値が減少する資産を「減価償却資産」といいます。減価償却資産への投資額は、購入時には資産計上しておき、その後の事業年度に「減価償却費」を計上することで費用化されます。  減価償却費とは、「価値が減少する部分を償い却す費用」と書くとおり、固定資産の価値減少部分を、収益獲得に貢献する期間にわたって費用計上(償却)することで資産価値を減

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

6.「キャッシュフロー経営」は企業体質の改善から 「企業財務」では会社をお金の塊と見る  「キャッシュフロー経営」では営業活動で多くのキャッシュを生み出し、そして、そのキャッシュを投資活動と財務活動で有効に活用することが大切であることを見てきました。  本業でより多くのお金を生み出し(回収し)、単に貯め込むのではなく、将来発展への投資と財務体質の健全化のために、「生きたお金の使い方」をする能力が要求されます。  「キャッシュフロー経営」を実践するとは、短期的な視点だ

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

7.すべては貸借対照表に引き継がれていく 経営活動は「3→5→3」の繰り返し  ここまで、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表、キャッシュフロー計算書についてみてきました。  総まとめとして、経営活動と決算書の関係を整理しておきましょう。  会社は儲けるために、毎年、事業活動を繰り返し続けていきます。  どの会社も、商売開始時や事業年度の開始時は、プラスの財産(資産)、マイナスの財産(負債)、そして純資産の「3つの箱」である「貸借対照表」から始ま