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「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

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「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
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#貸借対照表

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

3.決算書は「5つの箱」で作られる 「5つの箱」の中身が増減する  決算書は、会社で起こるすべての会計的な「取引」を、記録集計することで作成されます。   会計的な取引とは、「5つの箱」(資産・負債・純資産・収益・費用)の中身(勘定科目)が、金額的に増減する出来事をいいます。  会計的な取引には、必ず「原因」と「結果」の両面があります。  すべての取引を、原因と結果の両面(複式)で捉えて記録するので、1つの取引について、必ず、2つ以上の勘定科目が同時に増減します。  こ

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

4.「5つの箱」に表れる理想的な経営 お金の使い方と集め方の両面で捉える  会社の経営活動を記録集計する「5つの箱」は、ビジネスに不可欠である「お金の集め方」と「お金の使い方」の縮図でもあります。  「5つの箱」の左側(資産、費用)を見ればお金の使い方にムダがないかどうか、右側(負債、純資産、収益)を見ればお金の集め方にムリがないか見えてきます。  左側の「資産」と「費用」はお金の使い方です。  資産は価値のあるプラスの財産ですが、定期預金をするのも、ツケ売りで回収を待

第1章 決算書を読みこなすためのコツ   

5.「貸借対照表」の基本的なしくみ 「貸借対照表」で財産状況を報告する日とは?  「貸借対照表」は「資産」「負債」「純資産」の3つの項目で構成される会社の財産表です。  一定の日における「財政状態」を表わす書類です。  貸借対照表での一定の日とは、基本的には、事業年度の末日である決算日をいいます。  ただし、四半期決算や中間決算など事業年度の途中において貸借対照表を作成する場合は、その計算期間の末日における財政状態を表わします。このように、財産状況を集計して報告する日を「

第2章 会社の「安全性」を見るポイント

1.「貸借対照表」を読みこなすステップ 貸借対照表を構成する5つのグループ  貸借対照表(Balance Sheet、B/S)は、財産を報告する日(=貸借対照表日)の資産・負債・純資産を一覧にした財産の残高(Balance)表であり、つねに貸借が一致(Balance)するお金の貸し借りの明細書でもあります。  さらに、資産と負債を流動グループと固定グループに区分表示するので、貸借対照表は「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」の5つのグループで構成されま

第2章 会社の「安全性」を見るポイント

2.1年以内の資金繰りは破たんしないか? 流動資産で流動負債を返済できるか?  先に見たとおり、貸借対照表は、「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」の5つの要素に区分して報告されます。  流動資産は、正常な営業活動循環内にある受取手形、売掛金、棚卸資産、1年以内に資金化される予定の資産です。  一方、流動負債は正常な営業活動循環内にある支払手形および買掛金と、1年以内に返済しなければならない負債です。  そこで、流動資産と流動負債の金額バランスを比

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

7.すべては貸借対照表に引き継がれていく 経営活動は「3→5→3」の繰り返し  ここまで、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表、キャッシュフロー計算書についてみてきました。  総まとめとして、経営活動と決算書の関係を整理しておきましょう。  会社は儲けるために、毎年、事業活動を繰り返し続けていきます。  どの会社も、商売開始時や事業年度の開始時は、プラスの財産(資産)、マイナスの財産(負債)、そして純資産の「3つの箱」である「貸借対照表」から始ま