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オランダ移住:IND(移民局)と行政攻略

INDや市役所の評判

日本人がオランダで個人事業主ビザを取得する際、避けては通れないのが移民局と行政の手続きです。ただでさえ“ビザ取得”って聞くだけで「なんか難しそう…」と思う方が多々いらっしゃると思います。私もそうでした。自分主導で家族の分まで無事に数か月内にビザを取得してオランダで生活することができるのかは、手続きを始めるまでは想像がつきませんでした。とはいえやらないことには始まらず、先人方のブログやIND、自分が住む市役所のHPをこれでもかと読み込み準備をして臨んでいます。
オランダ移住に関する多くのブログやインスタグラムでは「オランダの行政はひどい」「人によって言うことが違ってどれが正しいのかわからない」「何回も足を運ばなければならなかった」など、その対応の悪さが画面から目に入ってきます。日本のサービスと比べればそりゃ悪いでしょと期待をしないようにとりかかりましたが、実際のところどうだったのか。我が家のパターンをお伝えします。

家族の書類が来ない

申請用紙をINDに郵便で送ると、手続き用の番号が書かれた書類が郵送で送られてくるのですが、私の分だけが届き家族の分が一向に送られてきません。同じ封筒に入れて同じ日に出したのになぁと3日くらい待ってたものの来ないので電話に出ないと評判のINDに問い合わせてみることにしました。ちょうどオランダ人の友人が我が家に遊びに来ていたのでそんな話をしたところ、「INDはあまりの職務怠慢さでつい最近莫大な罰金を払ったんだよ!俺が懲らしめてやる!」ということで彼がかけてくれることに。早速書類に書かれた番号をダイヤルし、要件をプッシュすると鳴り響く呼び出し音。どうせ出ないからと我が家の深い容器にスマホを突っ伏し待つこと5分…出ない。10分…出ない。これ通話料金かかるプラン?と聞いたら無制限だから大丈夫とのことなのでさらに待つこと10分ほどでようやく明るい声の係の人に繋がりました。一通りオランダ式の世間話を済ませ、さて本題。友達の家族の書類がまだ届いていないんだけどどうなってる?と問うと、昨日郵送した記録があるから遅くても明日には届くとのことで一安心。この時差は何だったんだとは思いつつ、まあ無事に届けばいいかと迎えた翌日、我が家のポストにはちゃんと夫と娘分の書類が届いていました。

Biometric(生体認証)/小さい子供は要注意!

無事手元に届いた書類に書かれている通りまずは移民として登録するため、Biometricの予約を入れます。予約の際に家族の人数をいれる項目があるので、人数を入力して最短日の午前で予約。同日仮滞在許可証も発行したもらいたいので改めて別枠で午後予約を入れました。送られてきた書類には、「Biometricで使う写真はINDで撮るので写真は持ってこないこと」との注意書きが。はーい。全員現地で撮ってくれるほうが楽ちんと指定の持ち物をリュックに入れていざ出陣。娘よ、いい子でいてくれと切に願いながら予約番号が呼ばれたので指定の番号の窓口へ。まずは親からねということで私たちは滞りなく終わり、次は娘の番。後回しにされて若干機嫌が悪くなりつつ見たこともない機器に興味津々で椅子に座り写真撮影。が、娘小さすぎて座高に合わせて動くカメラに認識されず撮影不可。「この子小さすぎるから駅にあるPrimera(キオスクみたいなお店)で写真撮ってきて」と書類と共に退出命令。ちょっと待って。駅までは大人の足で徒歩15分。子供を連れてまた往復するのはなんとしても避けたい。と思っていたら夫が「それは最初からわかっているはずだから違う対応はできないのでしょうか?家に帰ればパスポートと同じ写真があるんですがそれで対応いただけないでしょうか?」と丁重に聞いたところ、「それならそのほうがいいじゃない!じゃあこの用紙に張り付けて指定の住所に送ってちょうだい。」ということで事なきをえました。はい、ここで学んだこと。
「未就学児はパスポート用の写真を持参」
これ、書類にもどこにも書いてありません。持参すれば写真を撮れなかった際にその場で全て済みます。みなさんお忘れなく。

そんなで安心し、午後も予約入れてるから往復せずに助かったよ~と伝えたところ、その時間まで待つのは大変だから同僚に予約変えてもらって全部午前中に済ませちゃいましょうと言って席を立ち、すぐに予約の変更をしてくれました。
Dank u wel!(ありがとう!)めっちゃ助かった!

謎の期限に職員も爆笑

そんなで仮滞在許可証を発行してもらうため指示された窓口に行くと、待っていたのはとても優しそうな男性職員。小さい子供がいるとこういう手続きほんと大変だよね、すぐやっちゃおう!って言って取り掛かってくれました。すると突然PCの画面を見ながら爆笑する彼。どうしたの?と聞くと、
「なぜか旦那さんだけ仮滞在許可の期限が1日短いんだ。家族全員同じ期限だと思ってると旦那さんだけ1日早く追い出されちゃうから気を付けて!そこんとこ絶対忘れないでよ!」
ちょっと待って!なんでそうなったん(笑)?同じ日同じ封筒で書類だしたんだけどそんなことある?日本の真面目な行政じゃ絶対ありえないわ!って顔をした私に改めて、「なんでこうなってるかよくわからんけどそうなってるから気をつけてね」ということで、私たち夫だけ仮滞在許可の期間が違います。係のおじさんすごくおおらかだし、なんか私もまぁいっかってなったので、気を付けながら過ごしたいと思います。

市役所へGO!

オランダでは市役所に用事がある場合は必ず予約が必要です。住民票を取るのにも予約してから行かないと追い出されるそう。移民局で仮滞在許可証がもらえたので、翌々日には市民番号を発行してもらうために住んでいる市町村の市役所へ行ってきました。予約した時間から待つこと15分。番号が呼ばれ窓口に行くと、開口一番に「遅くなってごめんなさいね。今日は団体の移民手続きがあって大忙しなの」と謝罪の言葉が。そんなもんだと思っていたし、謝られると思っていなかったのでなんだかちょっとびっくりしてしまいました。ここでも、かわいこちゃん(娘)のご機嫌が悪くならないうちに終わらせちゃいましょということで必要書類を渡し、進めてもらいます。この手続きではアポスティーユ認証(日本の外務省の公印)入りかつオランダ政府公認の翻訳者が訳した戸籍が必要になるのですが、併せて夫との婚姻証明と娘の出生証明を持っているか聞かれました。キタキタ!これ、私が読んだブログで何人かの方が、「婚姻証明書、離婚証明書、出生証明書を提出するように求められて、日本でアポスティーユをつけて取り寄せて、さらに翻訳するのに時間がかかるし、市役所に何度も通うことになりほとほと疲れた」と書いてあった!と思い出し、「日本ではその証明ができるものがあなたが今持っているFamily Resister(戸籍)だよ。ここに私たちの婚姻日と娘の出生日が書いてあるでしょ?」と答えると、確認するわねと言って日本の戸籍について調べ始めました。日本の法務省のHPを見て納得したようで、「Kosekiってすごく便利な書類ね!」ということで改めて書類を提出することなく無事に市民登録ができました。例えば母子移住で旦那さんを日本に残している場合は旦那さんの同意書を求められたりするそうでその点は要確認ですが、家族全員で移住する場合は戸籍で十分提出書類の要件を満たすので、ご安心を。

大切なのはコミュニケーション能力と交渉力

私自身、前情報によってオランダの行政には苦手意識を持っていました。たまたま運が良かっただけかもしれませんが、再度足を運ぶことなくGroningen市民になれました。無駄な時間と労力を使わないよう、きちんと準備をするのは当たり前ですが、何より対応してくれる相手は心を持った人なので、ちゃんと意思疎通をしてお願いがある場合は丁重に申し出ることが大切だと実感しています。あとは時間と心にゆとりを持つこと。きちんと人数分の予約を入れて時間を確保し、多少のミスがあったとしても命に関わることではなければ良しとするくらいの余裕をもって対応してください。例えば私の場合、夫だけ仮滞在期間が1日短いですが、万が一それまでにビザの申請がおりず、仮滞在の期間を延長する場合は、夫の期日より前に全員手続きをすればいいだけのこと。泣き寝入りする必要は全くないですが、私は早く全部終わらせたい気持ちが優先なのでそれくらいいっかという心境です。手続きで出会う人たちとの会話を楽しみながらこれからも1つ1つ着実に進めていきます。

さあ、労働許可も下りたのでお仕事頑張るぞ!


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