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〔読書感想文〕切ったら血が出る本【ふたご/藤崎彩織】

セカオワのメンバーが書いた小説であることが悔しい。自分の中にあるその先入観が捨てられないことが悔しい。これセカオワの結成秘話?って思ってしまうことが悔しい。

これが実話なのか全くのフィクションなのかその間なのか、知らない方がいいのかもしれないと思ってググらずにいます。そのままにします。

それだけよかったってこと…っていうのはあまりにも浅はかだから、その通りに受け取ってほしい。


夏子が月島と出会い長い月日を一緒に過ごしていく中で、あまりにもいろいろなことが起こりすぎた日々。

友達の作り方がわからなくて、居場所を作ると言ってくれた月島との関わり方もどうしたらいいかわからなくて、もはや自分はどうしたいのかもわからなくて。

なんかもうこんがらがって鞄に無造作に突っ込んだイヤホンのコードみたい。いや、細いネックレスのチェーンが絡まっちゃったときの絶望感に近い。(わかる人にはわかる)

人間関係も進路も人並みに悩んで人並みに進んできた私には全く知らない感情であるはずなのに、なぜだか痛いほど共感してしまう。

音楽は強い強い魔力がある。良くも悪くも。だから上手に飼い慣らさなきゃいけない。

でもあんまりおとなしくさせすぎちゃうとおりこうな柴犬になって小さな犬小屋で眠ってしまう。暴れさせすぎてもケルベロスみたいになって手がつけられなくなる。それどころか今にもがぶっといかれそうで、こちらの命が危うい。

それでも帰ったら撫でずにはいられないし、とにかく甘えて飛びついてくるトイプードルみたいなところもある。捨て置くのはあまりに可哀想じゃないか。

だから音楽はやめられない。音楽中毒。

夏子と月島にはそれぞれそれしか無いって思える音楽があって、それに芯をぶち抜かれていたからギリギリのところで自分を保っていられるたんだと思う。

2人の関係は最後までよくわからなかったけれど、それはもう出オチ、ふたごっていうことにしておこう。

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