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⑰社会人としての葛藤

大学助手としての仕事は、1年間ほぼなにもせずに療養していた私にとっては苛酷なものだった。週休1日(日曜のみ)で、それさえも大学行事(式典、入試、オープンキャンパスなど)で出勤すると1ヶ月以上連勤が続くこともあった。何より教授よりも先に帰ってはいけない等のくだらない掟は私には理解不能であり、心身共に疲弊していった。

すでに管理栄養士免許を持っていた私は、一年目からいきなり主任助手を命じられ、他の助手たちをまとめる仕事を任された。それをおもしろく思わない先輩からは嫌がらせを受けた。食事は喉を通らなくなり、体重は10㎏以上落ちてガリガリになった。

この時代は「うつ病は心の風邪」という言葉が広まってきており、精神科の敷居は低くなっていたものの、やはり偏見の目で見られることは少なくはなかった。病気だと知られてはいけないと思った私は、大学ではとにかく明るく振る舞っていた。しかしその反動なのか、家に帰ると落ち込んで、涙が止まらなくなり、一歩も動けなくなるといった日も多かった。止めなければいけないとわかっているリストカットも、止めるどころかひどくなってきていた。

そんなある日、上司との食事会で無理して食べ過ぎた私は、自宅で嘔吐してしまった。すると、爽快感とでもいうのだろうか、とにかくリストカットした後のようにスッキリした気分になった。まるでダメな自分に罰を与えているかのように感じていた。これが私の摂食障害の始まりだった。

サポートなしでも生きていけるので大丈夫です。もしサポートしていただけるなら、自分へのご褒美として、美味しいものを飲んだり食べたりします(人´3`*)~♪