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お手軽な恋愛テクニック

以前,日本人誰もが知っている吊り橋効果についての記事を書いたことがあります。日本人研究者がその大学に行くと必ず「その橋に連れて行ってくれ」と頼まれるという話が心理学とは関係のない本の中に書かれていて,面白いと思いました。

もしかするとこの吊り橋実験は,海外ではあまり知られていないかもしれません。この話が書いてあったのも「狂気の科学」という,ちょっと変わった研究が集められた本の中でしたので。

この本に書かれているように,なぜか日本では吊り橋効果は皆が大好きで,どんな恋愛本にも必ずと言っていいほど書かれています。

でも,この記事でも書きましたが,吊り橋効果が効くのは男性から女性に対してだけで,女性から男性に対しては効果が生じない可能性もあります。むしろ,女性の場合には吊り橋よりもしっかりした橋を渡ったあとの方が男性に対する好意度が上昇する可能性すらあるという状況です。

論文からの伝言ゲーム

授業の中でこういう研究を示しながら,「じつはこういう論文が書かれていて,こういう実験をやってこういう結果になっている」という話を授業ですると「知らなかった」という反応になることが多いようです。

こういった研究結果は元の研究から離れてどこかに誰かが書き,それを読んだ人がまた書き,それからまた書き……と伝言ゲームのように伝わっていきます。そして情報が伝わるうちに少しずつ改変され(たいていは書き手に都合のよいように),結果が強調されていきます。そしてその情報はそのうち「最強の恋愛の法則」のようになっていくかもしれません。

恋愛テクニック

とはいえ,吊り橋実験そのものの認知度は相当に高く,多くの人が知っている,しかも「恋愛テクニックのひとつ」として知られています。

こういった恋愛テクニック関連の本も各種出版されていて,それだけ出版されるということは需要があるのだろうな,と想像されます。

日本人はこういう恋愛マニュアルを好む傾向があったりするのでしょうか。

初対面の相手

吊り橋効果って,出会ってすぐくらいの段階でしか効果は生じないかもしれません。実験も初対面の相手に対するものでしたし。でもよく,付き合っている相手とジェットコースターに乗るのがよい,なんていうことが書かれていたりするかもしれません。

 実際に遊園地のジェットコースターを使った研究もあります。しかし,すでにその相手と付き合っているような場合には,ジェットコースターの隣の席に座っても,相手に対する魅力度の認識は上昇しないようなのです。つまりこの手の,「ドキドキを相手の魅力と勘違いする」傾向というのは,初めて会うような相手に対してしか効果はなさそうだということではないでしょうか。

マニュアルは必要?

ここからはまったく個人的な感想に過ぎないので,間違っているかもしれませんが…。

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