The night we metが好きだったあの人

the night we metといえば、ネットフリックスで流行った13 reasons whyというドラマシリーズのエンディング曲。元々このドラマ自体があんまり明るい内容じゃないからあんまり聴かなかったのに、君のせいで、頭から離れなくなったんだ。

彼と出会ったのは台湾への留学中。飲み友のうちの1人だったのに、気がついたら1人だけ友達以上に見ちゃってた。
私よりも年上で余裕のある彼は基本的に大人っぽいけど、時には少年みたいなキラキラした目で話をしてくれた。

横乗り系な彼は私にとって、私のないものを持ってる憧れみたいな存在。憧れに留まっていれば良かったのに、そんなこともときより思ってしまう。

彼との距離が縮まったのはスポーツバーでみんなでサッカー観戦をしてたあの日。酔っ払った彼を友達と肩を組みながら介抱してあげてると突然彼が私の方を向いて、名前を呼んでニコッとした。どれだけ酔っ払ってたってあの時の無垢な笑顔は反則でしかなかった。それから2人だけで会う日が増えていった。

そしてある日、一線を越えてしまった。

大学生の男女のやり取りだったらこんなのあるあるだっただろう。こんなの遊ばれてるに決まってるだろう。誰もみてわかるこの状況でも私はとっても幸せだと思ってた。

でも一線も、二線も越えて迎えたある日、彼には彼女がいることを聞かされた。でも今の彼女も、私のことも同じくらい大切なんだって言われてそれを鵜呑みに信じてた。

彼と彼女、そして私の関係を知ってしまった他の飲み友はこの状況を放置するわけにはいかず、結局私と彼が縁を切るという約束をすることになった。

3ヶ月も経ってないくらい短い期間の中で目まぐるしく過ぎていった日々は、こんなにもあっけなく終わってしまったんだ。

彼と2人だけで会う時は必ず夜だった。河辺の公園で、音楽を聴きながら2人でお酒を飲んで、話す。それがルーティーンだった。

そんな時お開きになる時に大体かかるのがこの曲だったんだ。

彼と縁を切った後も私は時々、夜になるとあの公園の同じ場所でこの曲を聴きながらタバコをふかした。

Take me back to the night we met
(僕らが出会ったあの時に戻れたらな)
And then, i can tell myself
(そうすれば、自分にちゃんと言えたのに)
what the hell I’m supposed to do
(本当にやるべきことはなんなんだって)

And then, I can tell myself
(そうすれば、自分にちゃんと言えたのに)
Not to ride along with you
(最初から一緒になるべきなんかじゃなかったんだって)


楽しかった彼との日々を忘れたいと思いながらも、忘れずにステキな夏の思い出としておきたい私にとって、このモヤモヤをそのまま表してくれてるのかなとも思う。

そうしてまたあの場所でタバコをふかす日々、するとある日いつも通りボーッとしてると後ろに人影が近づいてきて、それはあの彼だった。

最初は言葉が出なかった。
やっと会えた。そう思う私と、
会うのを待ってしまっていたんだ。と私を嫌う私。

彼は私の横にスッと座ると、そのままタバコをふかしはじめた。

「久しぶりだね。」

彼が声をかけてくれた瞬間。目のあたりが熱くなった。やっぱりどれだけ最低なこととわかっていても、彼のことが好きだったことは事実だったんだと実感した。私がコクリと頷いてからは、しばらく無言の時間が続いた。タバコが吸い終わる頃、彼がまたこの曲をかけたのだった。

「会いたかった。」

そう言ったのは、言ってしまったのは、私だった。
それからは2人でこの曲をバックに、涙を流しながら抱き合った。

そんな彼とはそれっきり、連絡もしていない。
こんなにも終わり方が綺麗だったからこそ、そのまま、とっておきたい。もうこれ以上何にもしないほうがいい。そう思えたのかもしれない。

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