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【回答】ネコのように生きるのはいかがでしょうか。にゃー。

こちら、文春オンライン「中野信子の人生相談 5周年記念スペシャル」の回答となります。

相談内容は以下に詳しいです。ご覧ください。


【回答募集】脳科学者・中野信子からの悩み相談「生きるという地獄をどう耐えればいいのでしょうか」
https://bunshun.jp/articles/-/67887

期日までに送る予定で作成しましたが、思うところあり、noteに掲載します。中野信子さんに届きますように。



中野さん、初めまして。まゆこさんと呼ばれる者です。上梓なさった著書「脳の闇」を拝読しました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

中野さんの中には「どこまでも沈んで行っても底の見えないような地獄」が存在するのですね。どんな景色なのでしょうか。どんな気分になるのでしょうか。 

おそらく、私の中にも中野さんがおっしゃるのと近い「地獄」が存在します。それには名称はなく、容貌はおぼろげです。私はそれを感じると天井を見上げたり、空を見たり、川の音を聞きます。かつてネコたちと暮らしていた時は、ぼおっと彼らを見ていることがありました。

中野さん、私たちが言う「地獄」はネコたちにはありません。なぜなら、ネコは未来を考える脳を持っていないからです。彼らは「今ここだけを」生きています。

Q【何をどうすれば自分はこの地獄を笑って生きていけるのか】
A【ネコのように生きるのはいかがでしょう。にゃー。】

ヒトと同じくネコも夢を見ます。彼らが寝ている時、足をバタつかせたり、口をモグモグするのを側で見ていました。しかし、ネコは大脳皮質がヒトほど発達しておりません。また、イヌと比べるとずっと情動で動いています。ネコは、

具合が悪ければ食べず部屋の隅で、じっと丸くなります。
自分にとって嫌であれば、その場からいなくなります。
自分を守るために体毛を逆立て、鋭い歯を見せ威嚇します。
自分に注目してほしいとき、目の前にわざと座ります。

また、自分がいる空間の自分にとって心地よい場所を知っています。ふわふわが好きで、また時間によっても場所移動します。

ネコが心地よい場所を求められる前提として、「彼らにとっての安全空間があるか」はたいへんに重要です。ネコのように生きる上でのこの空間は、中野においてはすでに実現されているのではないでしょうか。

「ネコのように生きるなんて、そんなの難しい」。

実際に考えてることと、できることって、違ったりしますよね。本当にネコとして生きることはもちろんできませんし、ネコのようにすら難しいかもしれない。けれど、このネコっぽい感覚を、すこしだけ試すことは案外できるかもしれないです。

このネコっぽい感覚を「にゃー」と名付けます。この「にゃー」を私の中につくりたくて、火起こし棒をつかって焚き火をしたり、その辺の草を食べたり、縄文土器を作ったりしています。
この「にゃー」で、私にとっては容貌がおぼろげな地獄を、麻痺させておくというか、見ないのではなく「ある」けれどそっと置いておくというか、そうですね、側に感じたりその中にいても「にゃー」とにっこり笑えたらいいなと思います。

中野様が、地獄を笑って生きていけることを願っています。にゃー。


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