12ヶ月の色彩事典 12月 常盤色(ときわいろ) / エバーグリーン
誰もが慌ただしい師走、テレビのコマーシャルの騒々しい胃腸薬のコマーシャルが日本の12月を物語っていますね。そして忘れてはならないクリスマス。宗教云々、ライフスタイル云々を問わず、この行事は日本の生活にすっかり根を下ろしていることを認めないわけにはいきません。
楽しく、怱々たるこの12月を深く穏やかに彩るのがこの緑色。クリスマスの華やかな赤や金を一層鮮やかに引き立てながら品よく引き締めています。
常磐色(常盤色とも書く)は、松や杉などの常緑樹の葉の色です。葉の色が年中変わらないことをよしとして、不老長寿を願う神聖な色としてこの名がついたのでしょう。同じ意味として千歳緑(せんざいみどり・ちとせみどり)の色名もあります。英名のエバーグリーンも木の種類こそ違うでしょうが常緑樹のことで、やはり“恒久”の意味が含まれています。
色のイメージに関する調査で、日本での緑のイメージは、自然や調和、安定などの回答が一般的ですが、欧米では「毒物」という回答も珍しくありません。これは中世の頃から、銅製品の緑青ろくしょうの毒やカビ、悪魔等のイメージがあるからでしょう。顔色が悪いときに、日本だと「真っ青」というところを「顔が緑色」と表現するそうです。
特に若い世代では、コーディネートのしやすいシックな色として黒を用いることが多いですが、時にはクリスマスツリーのように、深いグリーンをベーシックカラーにしてみてはいかがでしょう。
深い緑の手帳にゴールドのペン、深い緑の包装紙に細いマゼンタのリボン、深い緑のシンプルなセーターの下に鮮やかなタータンチェックのシャツ…華やかさや楽しさと共に、黒では得られない生命力と安らぎのある配色が出来上がります。