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元研究開発者の日々の情報:男性更年期障害(LOH症候群)と新型コロナ(2020年12月30日号)

(1)男性更年期障害(LOH症候群)の基礎知識

更年期障害ですが、女性特有の病気ではなく男性(女性と異なり、性ホルモンが減少穏やかな場合が多いので、その影響も比較的軽い事例もある)にも起こります。

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男性更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの低下が原因です。更年期障害の時期は個人差が大きいうえに、更年期障害性の不調が「年のせい」「疲労の蓄積」と見逃されがちです。

しかし、男性の更年期障害<LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)>は、男性ホルモンの分泌の低下が始まる40歳代以降では、いつでも起こる可能性があります。また、研究では、生活習慣や社会との関連性が影響することが報告されています。

またアンドロゲンで雄性ホルモンの事です。アンドロゲンの材料はコレステロールでプログネノロン、プロゲステロン、プロゲステロンと変化して作られていきます。

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薄毛のメカニズム
男性ホルモン「テストステロン」と「5αリダクターゼ」という還元酵素が結びつくとジヒドロテストステロン(DHT)が生成されます(下図参照)。

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ジヒドロテストステロン(DHT)は、「脱毛ホルモン」と呼ばれる、脱毛に作用するホルモンで、毛根に存在するアンドロゲン受容体に受け取られることで髪の成長を抑制したり皮脂を過剰に分泌し毛髪の育成に悪影響を及ぼします。

薄毛になる仕組み

男性ホルモンは薄毛の引き金になっていることは間違いありませんが、ジヒドロテストステロンに変換されたり、受容体に結びつかなければ、薄毛になる理由にはなりません

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そして、男性ホルモンとは別に生活習慣や食生活などもジヒドロテストステロンが増えるきっかけになっており、男性ホルモンだけが薄毛の原因ではありません

テストステロンと前立腺がん

テストステロンと前立腺がんとの関係ですが、以前は、男性ホルモンが前立腺がんの発生や増殖を促進していると考えられ、男性ホルモンを下げる治療が積極的に行われていました。しかし最近の研究では、ほとんどの男性ホルモンが、前立腺がんに影響を及ぼさないことが判明。ただその中でも、悪影響を及ぼしているものがあり、それは男性型円形脱毛症の原因にもなっているジヒドロテストステロン(DHT)というホルモン(引用5より)

(2)テストステロンの3つの働き

男性ホルモンのテストステロンには、主に3つの働きがあります。

・筋肉や骨を強くする、そして社会活動を支える。
・生殖機能、つまり男性の性機能を保つ。
・物事を判断する、あるいは物事を理解する、広い意味で認知力、認知機能を高める、維持するなどの働き。

なお、最近ではCOVID19 に対して低テストステロンはリスクを高める可能性が報告されています。

以下、引用3より

テストステロンのレベルが低いと、呼吸筋の活動や全体的な筋力と運動能力が低下する可能性がある。一方で、正常な循環テストステロンのレベルは、いくつかの呼吸結果に保護効果を示す。動物とヒトの両方で行われたいくつかの研究では、性腺機能低下症は炎症性サイトカインの増加に関連し、テストステロン治療はIL-1β、IL-6、およびTNF-αを低下させることが示された。

これらのように、テストステロンの分泌が低下すると、体と心にさまざまな影響が現れます。

(3)男性の更年期障害 症状

男性ホルモンが低下すると、心と体にさまざまな症状が現れます。
主な体の症状は、筋力低下関節痛筋肉痛異常発汗ほてりなどです。これらは女性の更年期障害と似た症状です。

それ以外にも肥満頻尿などの症状があります。
また、男性特有の症状としては、性欲の減退勃起(ぼっき)力の低下などが起こります。

(4)心の症状

主な心の症状は、調子が悪いといった健康感の減少興味や意欲の喪失眠れない、不安感、うつ症状、そして集中力記憶力の低下などが現れます。

不安感を「夕方になると寂しくなる」「ふわっとした不安を感じる」などと訴える方もいます。

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また、イライラして家族に当たったり、きついことを言ってしまったりすることもあります。

これらの症状は徐々に現れてくる場合がるので特に、「ストレス」「うつ」などの精神的な病状と間違われ、抗うつ剤など別の病気の治療が行われる場合もあるようです。

(5)男性更年期障害(LOH症候群)チェックリスト

以下の項目を「症状 なし=1」「 軽い =2」「中等度=3」 「重い=4」「 非常に重い=5」として採点して下さい。


① 総合的に調子が良くない

② 関節や筋肉の痛みがある

③ひどい発汗がある

④睡眠の悩みがある

⑤よく眠くなる、しばしば疲れを感じる

⑥イライラする

⑦神経質になった

⑧ 不安感がある

⑨体の疲労や行動力の低下を感じる

⑩筋力の低下がある

⑪ 憂うつな気分になる

⑫「絶頂期は過ぎた」と感じる

⑬「力尽きた」「どん底」にいると感じる

⑭ひげの伸びが遅くなった

⑮性的能力の衰えがある

⑯早朝勃起の回数が減少した

⑰性欲の低下を感じる

合計点
全ての項目の合計の点数が高いほど、男性ホルモンが低下している可能性が高い状態です。

軽度:27点~36点

中等度:37点~49点

高度:50点~

(6)医療機関での診断を受ける場合

①問診

診断は、問診と血液検査によって行われます。
問診は「AMS調査票」という問診票を使って、体や心の症状、性機能の低下の有無や程度を調べます。
前記の17項目の質問の点数をで行います。

②診断
血中のテストステロンの量を調べます。診断基準として、血液検査は、採血して血液の1dL中のテストステロン値が、おおむね300~350ng以下で、心や体の症状が強く現れている場合は、「性腺(せいせん)機能低下症」と診断され、治療の対象となります。

この遊離型テストステロンの採血は、午前中に行うことが推奨されています。 そのほかに、「身体症状」「精神症状」「性機能に関する症状」などをチェックします。

③治療
男性更年期障害(LOH症候群)の治療方法はいくつかありますが、男性ホルモンの注射・塗布や漢方薬治療などが代表的です。

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男性ホルモン補充療法は、筋肉注射を行います。専門医の判断で行いますが、前立腺がんの治療中の方には行えません。

また、年齢的に少ないかもしれませんが、ドーピングテストがあるアスリートの場合、ドーピング検査陽性扱いになります。

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これに並行して、カウンセリングによるメンタル面のリハビリテーションなども行います。男性更年期障害(LOH症候群)の症状が軽い場合などは、精神面をコントロールすることで症状を改善させることも可能です。

(6)テストステロン低下の加齢以外の背景

①テストステロンは社会性ホルモン
テストステロンの分泌には、加齢よりもむしろ「生活習慣」や「社会的な活動」が深く関係していることから、テストステロンは“社会性ホルモン”とも呼ばれています。

例えば、定年後の男性が更年期障害になるケースが多くあります。生活リズムの乱れや社会との関わりの減少によって、男性ホルモンが減ってしまうのです。年齢にかかわらず、社会的な役割をもっており、趣味などで人生を楽しんでいる人は、テストステロンの分泌が低下しにくいとされています。
また、社会の中で自分の役割を与えられたり、認められたりするとテストステロンは回復することがあります。

(7)狩猟採集時代と現代社会

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例えば、狩猟採集時代の人類の暮らしを考えてみると、その時代必要なのは…朝起きて今日は獲物を捕りに行くといった“意欲”、どこに獲物がいるかを知る“認知力”、そして移動を可能にする“体力”です。

テストステロンは、これら全てを支えるホルモンです。そして、獲物をとって家に戻ってきて家族から“感謝”される。このサイクルがあることで、テストステロンはさらに上がると思われます。

現代の社会においても、何らかの獲物を得たという実感がないと男性ホルモン、テストステロンは減ってしまうのかもしれません。

(8)テストステロンが減少すると生活習慣病に関わる

テストステロンの分泌が低下すると、体や心にさまざまな症状が現れるだけでなく、深刻な病気につながるおそれがあるので注意が必要です。テストステロンには、臓器の機能を維持し、炎症を抑える作用があります。

テストステロンが減少すると、中性脂肪やコレステロールの代謝が低下したり、内臓脂肪や皮下脂肪が増えやすくなります。その結果、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を発症するリスクが高まり、動脈硬化の原因ともなります。

(9)重大な病気のリスクも

また、テストステロンには血液の流れをよくする働きがあります。テストステロンの減少を放っておくと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞、狭心症、脳卒中といった命に関わる病気のリスクが高まります。

このほか、テストステロンには、記憶をつかさどる海馬を活性化させる働きもあるので、減少することで認知機能が低下し、認知症につながるおそれがあります。

(10)男性の更年期障害を相談できる診療科

男性の更年期障害が疑われる場合は、泌尿器科を受診してください。また、メンズヘルス外来や男性更年期外来などの専門の外来を設けている医療機関もありますので地域の医療機関へ。

更年期障害が注目される背景には、中高年を取り巻く社会的な環境が影響しているといわれます。

男性ホルモン・テストステロンは、心、体そして社会活動で重要な役割を担っています。

前述のように、男性の更年期障害が疑われる場合は、泌尿器科を受診が原則ですが、海外サプリメントで様子をみたい方は、このようなものもあります。但し、直接の関与は否定されていますが、前立腺がんの治療を受けている方は止めておきましょう。

また、厚労省の「個人輸入可能な医薬品等の数量」を守りましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/tp010401-1.html

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この男性ホルモンが減ってしまう男性更年期障害の原因や症状を知って改善につなげていきましょう。

引用:

1.洛和会丸太町病院(京都市)HPより

2. NHK健康チャンネル「順天堂大学大学院 堀江重郎教授」より

3.Commentary: Testosterone, a key hormone in the context of
COVID-19 pandemic, Metabolisim, Clinical and Experiment 108 (2020) 145242
Paolo Pozzilli a,, Andrea Lenzi b.

4.『男性ホルモンでハゲる』は本当?プロが教えるハゲない習慣

5.Dクリニック東京 メンズ前立腺がんサポート外来HPより

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