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元研究開発者の日々の情報:感染前スタチン、ACE阻害薬使用患者は死亡率が低い?(2021年1月7日号)

Ning Rosenthal氏らは、米国病院診療データベースであるPremier Healthcare Database(PHD)を利用して、約6万5000人のCOVID-19入院患者と外来受診患者の特徴を分析した。

院内死亡の危険因子として最も強力なのは高齢であり、敗血症や急性腎不全を起こした患者は死亡リスクが高く、スタチンやACE阻害薬を使用していた患者の死亡リスクは低かったと報告した。

この研究ではPHDを利用して、全米の急性期病院592施設で、2020年4月1日から5月31日までにCOVID-19と診断された診療記録がある患者全員を対象にデータを抽出しています。

主要評価項目は、院内死亡、ICU入院、侵襲的換気の適用、総入院期間、ICU入院期間、急性合併症、適用された治療に設定ています。期間中にCOVID-19の診断患者は6万4781人でした。

49.3%が男性、39.9%が白人、22.1%が黒人、21.3%がヒスパニック系の患者だった。

年齢の中央値は、外来患者が46歳(四分位範囲33~59歳)で、入院患者は65歳(52~77歳)、死亡した7355人(11.4%)では76歳(66~84歳)。

65歳以上の患者比率は全体では35.4%だが、死亡患者の比率では77.5%

全体では72.4%が、回復して、または在宅医療を受けることにして、自宅に戻りました。

しかし10.7%は退院後に長期療養施設またはリハビリ施設に入所ました。

COVID-19発症時点の合併症(基礎疾患)で最も多かったのは高血圧(46.7%)で、続いて脂質異常症(28.9%)、糖尿病(27.9%)、慢性肺疾患(16.1%)が多かった。

患者全体では、最も多い急性合併症は、急性呼吸不全1万9960人(30.8%)で、続いて急性腎不全1万2181人(18.8%)、敗血症1万2039人(18.6%)だった。入院患者に多く報告されたのは、急性呼吸不全1万9706人(55.8%)、急性腎不全1万1971人(33.9%)、敗血症1万1910人(33.7%)でした。

患者全体では、最も多く使用されていた治療薬は、麻薬性鎮痛薬3万5377人(54.6%)で、続いて抗菌薬アジスロマイシンが1万9411人(30.0%)、その他の抗菌薬が2万7123人(41.9%)でした。

抗凝固薬は2万4867人(38.4%)に使われていた。ヒドロキシクロロキンは、入院患者の3分の1を超える1万2084人(34.2%)に、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンが併用されていました。

 降圧薬は入院患者のうちの3023人(8.6%)がACE阻害薬を、8017人(20.7%)がそれ以外の薬を使用していました。

また入院患者の1万960人(31.0%)がβ遮断薬を、8377人(23.7%)がカルシウム拮抗薬を、1万1970人(33.9%)がスタチンを使用されていました。

入院患者のうち1万2341人(35.0%)は、コルチコステロイドが投与されていました。

全体では7355人(11.4%)が死亡しており、入院患者の約6人に1人となる5625人(15.9%)が人工呼吸を受けており、6849人(19.4%)がICUに入院していいました。

総入院期間の平均値は7.7日(標準偏差10.8日)、中央値は6日で、ICU入院期間は平均値で7.3日(6.8日)、中央値は5日(2~10日)でした。

 多変量ロジスティック回帰モデルにより、院内死亡の危険因子として最多は高齢で、18~34歳の患者と比較した80歳以上の患者の院内死亡のオッズ比は16.20(95%信頼区間11.58-22.67)でした。

また、女性の入院患者に比べ男性の入院患者の院内死亡のオッズ比は1.18(1.10-1.26)と有意差を示した。

民族では、白人と比べた黒人の入院患者の死亡のオッズ比は0.75(0.69-0.82)と低かった。

院内死亡のオッズ比が低かった使用薬は、スタチン0.60(0.56-0.65)、ACE阻害薬0.53(0.46-0.60)、カルシウム拮抗薬0.73(0.68-0.79)などだった。ビタミンCまたはDのサプリメントの使用もオッズ比0.89(0.82-0.97)で、死亡リスクが減少していた。

 ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンを投与されなかった患者に比べ、アジスロマイシンのみを投与されていた患者の院内死亡のオッズ比は1.02(0.92-1.13)、ヒドロキシクロロキンのみを投与されていた患者のオッズ比は1.08(0.98-1.19)で、有意差は見られなかったが、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの両方を投与されていた患者のオッズ比は1.21(1.11-1.31)で、死亡リスクは有意に高かった

 急性合併症の中で、それを経験しなかった患者に比べ経験した患者の方が院内死亡リスクのオッズ比が有意に高かったのは、敗血症3.34(3.12-3.57)、急性腎不全2.46(2.30-2.63)、高カリウム血症2.28(2.09-2.48)、アシドーシス1.85(1.70-2.00)、急性肝障害3.58(2.95-4.35)、神経障害1.23(1.10-1.38)でした。

 これらの結果から著者らは、米国の急性期病院で治療を受けたCOVID-19患者は、ICU入院を要する患者が多く、院内死亡率も高く、多くの患者に重症の急性合併症が生じていた。また、スタチン、ACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、ビタミンCまたはDの使用は、入院患者の院内死亡リスクの低下に関連が見られたため、今後はランダム化比較試験でメリットを調べる必要があると結論している。


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引用:

1.Risk Factors Associated With In-Hospital Mortality in a US National Sample of Patients With COVID-19、 Zhun Cao, PhD1; Jake Gundrum, MS1; et alJim Sianis, PharmD, MBA1; Stella Safo, MD, MPH1
JAMA Netw Open. 2020;3(12):e2029058. 

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2773971

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