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スターバックスに学ぶプロセスの重要性

(前回に引き続き、「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?(ジョン・ムーア著)」を読んで、感じたことを記載します。)

スターバックスは利益の最大化を企業戦略として捉えていない。
利益はあくまでも結果であり、その結果を生み出す「プロセス」に重点を置いている。

だからこそ顧客を魅了し、これだけの地位やブランドを確立できているのだと思います。

今回はそんなスターバックスの取組から感じたことを記載します。


すべてを正しく行う

本書曰く、すべてを正しく行えば、必然的に結果はついてくるとのこと。

ではその「すべてを正しく行う」とはどういうことか?

本著では、以下の通り、9つの具体的な説明がされています。

・事業を構築することに集中してブランドが生まれると、利益は生まれる
・最大ではなく最高を目指すと、利益は生まれる
・広告よりもビジネス活動でアピールするようになると、利益は生まれる
・単に顧客の最低限のニーズだけでなく、ウォンツを満足させることを目的としてビジネスを行うと、利益は生まれる
・顧客の中でロイヤルティを超えて親愛の情が育つと、利益は生まれる
・顧客との交流からニーズやウォンツを見いだして対応すると、利益は生まれる
・ビジネスのおかげで企業が信頼できるものになると、利益は生まれる
・自己満足に陥らず、現状維持に抵抗し、うぬぼれを打ち砕く企業文化を育てると、利益は生まれる
・利益追求以外のすべてを正しく行うと、利益は生まれる

スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?  
ジョン・ムーア(著)/花塚 恵(訳) 

上記の内の2つ、特に重要だなと感じたので、以下に詳細記載します。

1.広告よりもビジネス活動でアピールする

言うまでもなく、広告宣伝の効果は大きいですよね。
自分も、テレビ・ネット等での宣伝を受けて、何かを買うことはよくあります。

それゆえに、巷では過剰な宣伝や広告が多いとも感じています。
誰もが一度は、「思っていたのと違う」「広告ではもっと○○だった」などと感じた経験があると思います。
そんな時、どう思うでしょう?

「もうここの商品は買わない」「もうこの会社は信用できない」と感じさせては、企業の評判を下げるだけ。
新規顧客は獲得できたとしても、きっと顧客として定着しません。

ビジネス・実力でアピールできれば、顧客に信用され、顧客の定着率は高まるはずです。
この時、最初はおそらく新規顧客の獲得に苦労します。そのため、ある程度の余裕資金が無いうちは、事業の拡大にスピードを求めず、着実に少しずつ、ビジネス活動でアピールして顧客基盤を広げていく忍耐力が大事になると感じました。

2.単に顧客の最低限のニーズだけでなく、ウォンツを満足させることを目的としてビジネスを行う

ニーズは必要最低限のもの。合理的で面白みがなく、すぐにコモディティ化してしまう。

ウォンツは感情的なもの。理想でありワクワクするもので、余裕のあるところに生まれる。

ニーズ(のどの渇きを潤したい等)を満たすことは勿論、それに加えてウォンツ(色んな味を楽しみたい、リラックスしたい等)も満たす。そんなサービスをスターバックスは提供しています。

現実と理想(ウォンツ)のギャップを埋めてくれる特別感が、スターバックスの評価を高めているのです。

気づき・考えたこと

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)

スターバックスの、「広告よりもビジネス活動でアピールする」という部分を読んだとき、
「予想どおりに不合理」という本に書かれていた「共有地の悲劇」のことを思い出しました。
(「予想どおりに不合理」は人間の不合理性を行動経済学で分析した名著で、いつかこちらの紹介もしていきたいと思います。)

信用は貴重な公共財であり、これを失うとすべての関係者にとって長期的にはマイナスの結果となりうる。大半の人も企業もこのことに気づいていないか、無視しているのではないかと思う。信用を裏切るのはたやすい。悪いプレイヤーが市場に数人いるだけで、ほかのすべての人にとって信用がだいなしになってしまう。

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
(ダン・アリエリー 著/熊谷淳子 訳)

誰かが自身の利益の為にズルをすると、その人自身を含めた市場のみんなが不利益を被るというもの。

広告・宣伝はまさにそれで、過剰広告が横行しているがために、
消費者はもはや、ある程度の過剰さを織り込むようになってしまっている。
プレイヤーは過剰広告をしないと他社の広告に見劣りしてしまうため、過剰広告をやめられない。
悪循環となってしまっています。

しかし、スターバックスはその状況を逆手に取り、過剰広告に頼らないことで顧客からの信頼を獲得できたのだと思います。
これにはかなり根気がいることで、短期的な収益を望まれる企業にはなかなかマネできない芸当だと思いますが、ブランドの確立には必要な期間だったのだろうなと感じました。

ウォンツを満たすことの難しさ

「ウォンツを満足させることを目的としてビジネスを行う」という部分を読んだとき、確かにその通りだと思いました。
なぜそれをしようとする企業が少ないのか、逆に疑問に感じました。

ただ、冷静に考えると答えは単純で、ウォンツを満たすことはとても難易度が高いのだと思います。

新規事業家を名乗る守屋実さんが書いた「起業は意志が10割」という本の中では、以下のように記されています。

「満たされていない顧客のニーズ」は、本当に満たされていないのかということである。よくある間違いは「あったらいいな」である。ニーズがあるかないかでいうと、ニーズはある。あったらいいかと訊けば、いいと答えてくれる。しかしいざ、「では、この仮注文書にサインしてください」といったら、ほとんどの人がサインをためらうものなのではないか。実際にお金を払うほど欲しいわけではないということもある。僕たちは事業をしようとしているのだから、経済的な価値が無い領域で儲けようとしてはいけない。

起業は意志が10割
(守屋実 著)

「ニーズ」と「あったらいいな」は別のものであり、「あったらいいな」を「ニーズ」だと勘違いしてしまうことが多い。
「あったらいいな」=「ウォンツ」だとすると、そもそも「ニーズ」と「ウォンツ」がごっちゃになることが多く、その判断ミスでビジネスが上手くいかない可能性があるでしょう。

加えて、「ウォンツ」は余裕のある所に生まれるもので、差し迫った「ニーズ」と比較し、財布の紐は固い。

「ウォンツ」を満足させるには、それだけの付加価値や、他との差別化が必要なのだろうと感じました。


2回にわたって、スタバに関する読書感想を書いてみましたが、別にスタバが特別好きというわけではないです。
ただ、今回のnoteをきっかけに、恋愛模様でいうと「仲の良い友達」から「気になる存在」へ、自分の中でランクアップした気がします。(←何様だ)

また、今回は過去に読んだ本の印象的な箇所を思い出しながら、アウトプットができました。
自分の中で、色んな考えが有機的につながっていってる感覚があります。

それではまた。

(参考図書)


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