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歴史とか

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#エッセイ

白黒無常、謝必安/范無咎の名前のルーツを探る試み

白黒無常、謝必安/范無咎の名前のルーツを探る試み。
白黒無常の上司にあたる城隍の廟を中国/台湾のgoogle map上で数えて苗字の分布図と重ね合わせた。
方法としては、google map で中国と台湾、香港、マカオの各自治体ごとに
城隍廟、あるいはChenghuang Temple、City god templeといった名前の寺社、地名を検索しカウントしていくもの。
明確なチェーン店などは極力

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VOCALOID涅槃入りReplace

VOCALOID涅槃入りとは私がかいた卒業論文の題名だ。
この話をしたところ読んでみたいという人がおもったよりいた。
自分の論文の序文をそのまま引用すると

「新しいテクノロジーと結びついたサブ・カルチャーは、比較的マイナーであること、また比較的若年層が中心となって成り立っていることから、それだけで軽視される傾向にあるように思う。しかし、かといってテクノロジーやサブ・カルチャーの中の精神性や背景と

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ウルクができるまでの話

古代メソポタミアにおいて、都市は丘の上にある。

元から丘があった訳ではない。
当時のあの辺りは二本の大河に挟まれた巨大な平地で、
むしろ湿地帯といってもいいような、
どこまでも平らな土地である。

ウルクはいわゆる「肥沃な三日月地帯」と言われる
冬場にはそこそこの雨量があって、
大きな川があるから水を引くのに困らない、
農業に適した土地の東の端っこにある。
農業は人手がたくさん必要なので、
みん

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ウルクのりんごのはなし

をしようとおもって古文書をあさったんだが、ḫašḫur(りんごの実または木)を示す単語のある文献がみつけられない。
アレっと思って親愛なる(私がかってに親愛のきもちを抱いている)ジャン・ポテロ先生の本をあさってみたがここにもりんごの記述はない。
しかし私はこの地域でりんごが獲れると思っていたので、じゃあ底本はどこだ?と探してみた結果、どうも1964年にアドルフ・レオ・オッペンハイムが書いた「死せる

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ウルクができるまでの話2

ウルクになる前の話もうちょっとしますね。

前々回のウルクができるまでの話の時、
ハラフ文化って人たちがウルクになる前にいたよってことを
言ったと思うんだけど、これはだいたい新石器時代の人たちだ。

ウルクは実は、
最初に農業が始まった地域からはちょっと外れた場所にある。
何故かというと、ここの地域はそこそこ雨が降るけれども、
雨だけで農業をやっていくには降水量が心許ないのである。
この地域で農業

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ギルガメシュ王と文字の話

前回あんな感じにかっこよく締めたけれど、じつはギルガメシュ王がいたかいなかったかに関してはまだよくわかっていない。

ギルガメシュ、ビルガメシュ、ビルガメシなどと呼ばれている彼が、現状「実在しない伝説の王」とされているのには幾つか理由があって、まずギルガメシュ叙事詩成立の時代とギルガメシュ王がいたとされる時代にかなりの隔たりがあること。

現在のところまとまって出てきたギルガメシュ叙事詩はだいたい

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差別と相互理解と思い出の話

差別の話を聞くとTのことを思い出す。
Tは大学のひとつ上の学年で、大連からの留学生である。

私の学部は学部生の1/3ほどを中国からの留学生が、
残りの1/3をその他アジア含む様々な地域からの留学生が、
最後の1/3を日本人学生が占めていて、
授業は日本語で行われていたが、選択制で英語以外に5ヶ国語以上の授業があり、学生のほとんどは日本語をベースにした中国語と英語のちゃんぽんで話をしていた。

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検証をすること1

いろいろあって、本を出すことになったと前回の記事で話した。
私が出す「本」というのは、自費出版の資料集である。
なかなか気が遠くなるような作業なので、
作業の工程を少しずつ記録に残していきたいとおもう。

資料本は割と煩雑で、初心者向けの所謂「ファンタジーを書く人のためのよくわかる◎◎!」みたいな本の次が、いきなり各分野の専門書になってしまうし、文字ばっかりになる。私が過去に描き、また常に目指して

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