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空想お散歩紀行 響け!あの世の果てまでも

黒い雲がたちこめ、雨が降りしきる。それほど激しく降っているわけではないことが、かえって寂しさを増長させていた。
さらにそこに加わるのが病院という要素であれば、なお空気は重くなるだろう。
病人や怪我人でごった返すその空間。入院患者の病室の窓から見る、その雨の景色はただただ気分を雨粒と一緒に地面に押し付けるだろう。
そう、普通ならば、
「さあ!今日も飛ばしていくよ!YEAHHHH!!!」
突如病院のフロア、ひいては別の階にまで轟音が鳴り響く。それはまるで雷でも落ちたかのような衝撃だ。しかし外は静かな雨模様。
その轟音の正体は楽器だった。
リードギター&ボーカルのユウ(86)がギターと声が普段だったら、入院患者たちの憩いの場所であるスペースを震わせる。
他のメンバーは、ベースのミイ(88)、ドラムスのリリ(90)、キーボードのコメ(88)、リズムギターのアサ(84)からなるガールズバンドである。
ことの始まりは、この5人が同じ大部屋になったことからだった。
最初は全員が残りの人生を悟って、ただ無気力になっていた。
だが、少しずつ昔の話をするようになり、何か思い残したことはないかという話題になったとき、全員が一致したのが音楽だった。
そこでどうせなら最後に思いっきり騒いでみようということで、彼女たちが昔から習っていた、三味線や琴などの楽器をガラリと変えて、ここにロックバンド、『BBA・ROCK』が結成されたのだった。
そして、彼女たちのバンドは病院を舞台に音楽を届け始めた。
当初は反対の声もあったが、いつのまにかこの病院の名物となり、彼女たちの音楽を聞きに訪れる者まで出始めることになる。
そして、この後の話になるが、彼女たちは全国の病院を周るというツアー企画まで決行することとなる。
そして、それは世界をも巻き込む祭りへとなっていくのであった。

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