ザ・再確認生物
物語の中のキャラクターたちは、確認したいものがあるから行動している。
勇者は魔王を倒した後の平和な世界を確認したいから戦う。
憧れの先輩に恋する高校生は、結ばれたら幸せだろうと思い、今日も自分を磨くことに余念がない。
人は確認をするために生きていると言っても過言ではないかもしれない。
現実の人たちも旅行する際、大昔の旅人みたいに、何があるか分からないけど、想像もできないものを見るために旅に出る、なんてことはしない。
旅行雑誌で見た景色を見たい。テレビで見た旅館に泊まってみたい。SNSで見たグルメを食べてみたい。
そして、ああやっぱり、素敵だったと旅先で思いたい。
人はどこかで見たものを、思ったことを再確認したい生き物なのだ。
そしてこれは心の中でも同じことが言える。
人は幸せを求めているとよく言われる。
でも、それはあくまで頭の中での話だ。
心の中はどうだろうか?
自分のことを本当はどう心で思っているだろうか?
もし、自分のことをダメなやつ。何もできないやつ。失敗ばかりのやつ、みたいに思っているとしたら・・・
人は、再確認をしたい生き物だ。
だから、きっと自分がダメな、何もできない、失敗ばかりする、という証拠を探しに行くだろう。
もしかしたら、無意識のうちにわざと失敗するような行動を取るかもしれない。
それも全ては再確認のためだ。
そしてこう言うのだ・・・
「ほらね、やっぱり」と
自分のことをダメ人間だと心で思っていると、そういう結果がまとわりついてくる可能性がある。
その時は、頭では悔しく思うだろう。ガッカリするだろう。何でああしなかったと後悔するだろう。
でも、心ではもしかしたら、どこか安心しているのかもしれない。
なぜなら、再確認できたからだ。
やっぱりね、と。
人生は心一つの置き所とは言ったものだ。
かのブッダは「心の奴隷なるな。心の主人になりなさい」と言ったそうだ。
心は1から100まで、自分で何とかできる世界で唯一のものだ。
自分は素晴らしい人間だと、頭では嘘だと思うかもしれないが、心ではそういうことにしてしまってもいいのではないだろうか。
そうすれば、いつか素晴らしい自分を確認することができるはずだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?