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コロナで走れないサブスリーランナーへ~「目標の等価交換」しませんか?~サブスリーランナーの、加齢による能力低下の論文より

 新型コロナウィルスが流行して1年以上たちます。

 自分はコロナの流行前までは、フルマラソンで2時間40分台(サブエガ)を目指したサブスリーランナーでした。昨年、本気でサブエガを出そうと思っていた大会は、コロナの流行のため中止となり、以降の大会はほぼすべて中止となりました。
 コロナ禍ではただランニングすることも感染のリスクになると言われ、ランニングも思うように出来なくなりました。走る際はマスクをして、前のランナーとの間隔を10m開けて走行しましょうと言われていました。そして自分はコロナの診療をせざるを得ない状況になり、追い込んだ練習ができなくなりました。

 そんな状況が続いて一年、走力はだいぶ落ちてしまいました。

 ありがたい事に「また一緒にサブエガを目指して頑張りましょう!」と、色々な方からお声かけ頂きます。自分も心が揺れているのですが、コロナの第四波の襲来とともに、また練習量を落とさざるを得なくなりつつあります。そんな中「目標の等価交換」をして、遠い将来の目標を目指して頑張ろうかなと、段々気持ちが固まりつつあるのです。
 そんな自分の考えを、文献とともにまとめてゆきたいと思います。

1.今は一人から少人数で、ほどほどに追い込んで練習する程度が限界

 現在もコロナウィルスの流行が続いています。ですがランニングについてはだいぶ考え方が変わってきています。走行中のマスク着用も必要ないと言われていますし、小規模であれば練習会や大会も開催されるようになりました。
 少し論文をみてみます。オランダかの論文によると、日常のランニングはもちろん、インターバル走もコロナ感染のリスクは増加しないようです。ただこの文献中でも、感染した可能性のある個人との接触はリスクになるとあります。一人であれば走るのも追い込むのもよいのですが、やはり集団で走るのはリスクになるのではないかと考えています。

コロナ練習

 そしてさらに大会となると、感染のリスクが上がると言わざるを得ません。大規模大会がない今、マラソン大会参加と新型コロナウィルス感染のリスクの報告はみつけられませんでした。ですので通常の気道感染で言われている報告をみると、大会参加から2週間以内に、感染のリスクは100%から500%に増加し完走者の約25%に呼吸器症状が出現したとの報告があります。マラソン大会でコロナのクラスタ―が出たというのは今のところ報告ありません。ですが大会自体で感染しなくても、大会後の日常生活の中で感染するリスクが上がってしまうということです。

 要は少人数でホドホドに追い込んで走るのはOK、大人数の練習会は避けた方がよいし、大会で記録に挑むのはダメということになります。もちろん自己責任で挑戦することは構いませんが、やはり自分はコロナの診療もしている医療従事者ですので、夢を諦めざるを得ませんでした。
 自分以外にも、コロナの流行下で練習量が落ちてサブスリーの夢破れた人、その上を目指すのをやめてしまった人もいると思います。もう年齢的にも今後サブスリーを目指すのは無理かも!?そう思われている方も多いのではないでしょうか。

2.加齢とともにどのくらいタイムが低下するのか

 「年齢的に厳しいかも・・・」
 では果たして年齢とともにどのくらい運動能力が低下するのでしょうか?
 今年2月に「サブスリーレベルの人が、加齢に伴いどの程度タイムが低下するか」の論文が出ました。50歳以上までサブスリーを継続できたランナー40人のタイムの推移を追ったものです。それによるとしっかりと運動を継続した場合、60歳まではフルマラソンに換算して平均1分4秒のタイムの低下がみられたということです。たとえコロナで挑戦が5年後にずれ込んでしまったとしても、約5分タイムが遅くなるだけということなんです!思ったよりも少ないと思いませんか!?

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3.一度諦めてもサブスリーに復帰できるのか!?

 でもこの論文はしっかりと練習を継続できた場合です。自分のようにトレーニングが中断してしまった場合はどうでしょうか。これは2020年のフランスからの報告で元オリンピアンの例ですが、途中でトレーニングを止めても、また強いトレーニングを再開すれば、運動能力の低下は10年で5%の低下に抑えることができたとのことです。サブスリーレベルに換算すると10年で7分58秒ということです。
 つまり今は練習を多少緩めてもコロナが落ち着いてからまたしっかり練習すれば、フルマラソンで1歳につき1分強程度のタイム低下に抑えることができる可能性があるということです。

4.目標の等価交換

 現在東京は新型コロナウィルスの第四波がやってきています。現実的にも気持ち的にも追い込んだ練習はできなくなりました。もうフルマラソン2時間40分台、いわゆる「サブエガ」の目標は厳しくなってきました。でも今は焦る時期ではありません。1年や2年の間走れなくても、しっかりとコロナウィルスに対峙して、ランニングはコロナが落ち着いてから「46歳サブエガ」と同等の目標を設定すればいいと思っています。つまり46歳で2時間49分という昔の目標は、51歳で2時間54分、55歳でサブスリーに等価交換できるという考え方もあるわけです。
 あと1年我慢の日々が続く程度であれば、それから3年頑張って51歳で2時間54分の目標を。たとえ5年我慢の日々が続いたとしても、それから3年頑張って55歳でサブスリーを目標にすればいい!!そう思っています。今は焦らずにコロナの診療をしてゆこうと考えています。

 人生は常に良いことばかりではありません。走れなくて辛い時期を乗り越えた方が、達成した喜びは大きいものです。コロナが原因で走れなくなってしまったランナー、夢を諦めてしまったランナー、世の中が落ち着いたら新たな目標を目指して走り始めませんか!?

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