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(後編)そのぺーサーについていって大丈夫?~ランナーは足音に影響される~
前回のNoteで2人走(集団走)は、単独走よりパフォーマンスが上昇することを書きました。ですが、一つ注意があります。
それは「極端にピッチの違うランナーの後をついていかない」ことです。
1.ピッチのシンクロニゼーション(同期)
1-1.ピッチのシンクロニゼーション(同期)って?
ランナーには、最もパフォーマンスを高く発揮できる最適のピッチがあります。ですが近接したランナーは、固有の最適のピッチを離れて近づいてくることがあり、これをランナー間のシンクロニゼーション(同期)と呼びます。
これは一般ランナーのみならずトップアスリートにもみられ、主には視覚より聴覚(リズム)への同調と考えられています。有名なのは現在の100mの世界記録が出された2009年の世界陸上の文献で、9.58秒でゴールした第4レーンのウサイン・ボルト選手と、9.71秒でゴールした第5レーンのタイソン・ゲイ選手が断続的に同期していたというものです。
一言もの申すと、3位の6レーンのアサファ・パウエル選手も同期していませんか!?是非You tubeを見てみて下さい。⇒You tubeへ
1-2.ピッチの同期の研究
長距離の研究として、日本の東京大学と九州大学の共著論文を紹介します。
この研究は大学の陸上競技部16人について行ったもので、被検者の平均年齢は20.9歳、5000mのベストタイムは16分6秒。結構ガチなランナーですね。
この文献は、個人の最適なピッチと少しずらしたピッチの足音を聞いて、そのランナーのピッチがどう変化するかを調べたものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1674121116484-o9RecVSIOl.jpg?width=800)
見ずらいとは思いますが、ランナーのピッチは180回/分程度と言われています。そんな中、+3回/分・・・つまり183回/分を境に速くても遅くてもピッチは低下していってしまうのです。
結構「走るリズム」というのは繊細ということなんです。
![](https://assets.st-note.com/img/1674121696895-2zZ5rdh4YO.jpg?width=800)
周りから少し波長の違う足音が聞こえるだけで、ペースが乱されてしまう可能性があるわけです。
綺麗な女性をぼーっと眺めていたら、ペースが乱れますよ!
応援の太鼓のリズムに耳を傾けたら、ペースが狂いますよ!
ピッチの違うランナーと2人で走ったら、ピッチが乱れている可能性がある!よく覚えておいてください。
2.ピッチが乱れたらタイムは落ちる?
2-1.聴力と運動を同期させると能力は向上する
ちなみ前述の調査では、ピッチが速くなっても走行中の心拍数や苦痛度合は変らなかったとのことです。ですが考察のなかで、負荷が軽すぎたかもしれない(最大心拍数の70%、つまりジョグペースでの研究であった)と書かれています。
では、アスリートとしてのパフォーマンスはどうなんでしょう。足音ではないのですが、実際にメトロノームや音楽を聴くとピッチやパフォーマンスは変わるのかを調べた研究があります。
論文はオランダからのもので、19人のランナーが7~15分走り続けられる速度を調べたうえで、「音無しのコントロール」「メトロノームを聞きながら」「音楽を聴きながら」の3つの環境でその速度で再度走り、それを比較したものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1674181519283-l7OMmoetv4.jpg?width=800)
面白いことにメトロノームでリズムを合わせたり、アップテンポの音楽を聴くとピッチの乱れが少なくなり、結果疲労困憊となるまでの時間が長くなることが分かりました。
2-2.文献内で使われた曲
文献で使われた曲を挙げます。聴いてみてもらえるとわかりますが、いずれもかなりアップテンポでビートが効いた曲です。
![](https://assets.st-note.com/img/1674192471997-1LLbgp30DF.jpg?width=800)
それぞれの曲のYou tubeへのリンクも挙げておきます。
Black EyedPeas Pump It⇒You tubeへ
The Prodigy Omen⇒You tubeへ
DJ Tiësto He’sA Pirate⇒You tubeへ
Red HotChili Peppers HigherGround⇒You tubeへ
David Guettafeat. Juliet Do SomethingLove⇒You tubeへ
速いビートの曲や、メトロノームのように一定のリズムの音(適度なテンポの足音もこれに入るでしょうか)は、走るパフォーマンスに良い影響が出る可能性があるわけです。
3.で、どうすればいいの?
前回のNoteに書いた通り、一人走より二人走の方がパフォーマンスが上がるわけです。ですがその相手は、できれば自分のピッチにあった人が望ましいのです。
3人以上の集団走は?多種多様な音が混じる音楽にもその効果が見られたように、おそらくそれなりによい効果があるハズです。一つ危惧しているのは、ナイキの厚底シューズは(ボスッボスッボスッっていう)独特の足音がします。自分の場合、あの音に引きずりこまれやすいんです。「あれっ?リズムがおかしいかな?」と思ったら、別の人の足音に耳を傾けたりしましょう。
安全性やマナーの点から推奨はできませんが、アップテンポの音楽を聴きながら走るのもありだと思います。
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