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希望の星にめぐりあうまで

子供の頃はよくわからなかったけれど、大人になって見直すと、その世界の深さと鮮烈さに驚くことがある。

漫画家・松本零士さんの旅立ちを知り、改めて「銀河鉄道999」の公式You Tubeでアニメーションの第1話を視聴してみた。https://www.youtube.com/watch?v=d0iwi6sZ5LE

舞台は未来都市。

科学技術の高度な発展で、遂に人類はカラダを機械化することに成功し、数百年もの寿命を得ることになった。だがそれらの恩恵を受けるのは「富裕層」だけだった。

富裕層は「機械化人間」となりメガロポリスに住んだ。「生身の人間」は、その外に追い出され、スラム街で貧困生活を強いられている。

主人公である鉄郎は、『銀河鉄道999』に乗って、機械の身体をもらえる星に行くことを望んだ。

働きに働いて命を落とした父、そして銀河鉄道999が出発する駅に向かう途中で機械化人間の娯楽としての「人間狩り」で殺された母の分まで生きることを誓って・・・。(ほとんど『カイジ』の世界だ)

とにかく初回からあまりに壮絶な銀河鉄道999。当時は、宇宙の描写や銀河鉄道のメカニカルなカッコよさ、そしてメーテルの圧倒的美しさと大人への憧れから、TV放送を毎週楽しみに観ていたが・・・・こんなにも希望の無い初回の作品だったのだ、と愕然とした。

権力者が貧困層を戦争の最前線に駆り出し、人工関節や人工血管、人工心肺などの医療技術が高度に発達し、マネーゲームの勝利者が人生の勝利者として認識され、持たざる者が奴隷化される・・・。

1970年代に描かれた仮想風景の一部は、2023年そのまま現実になっているような気もする。

子供の頃はよくわからなかったけれど、大人になって見直すと、その世界の深さと鮮烈さに驚くことがある。

人間社会の不条理に対して、簡単に答えが出るはずもない。だからこそ松本零士氏の世界が心にグサリと突き刺さる。「今、これからの時代こそしっかりと考えておくべきテーマだ」と教えてくれているようだ。


ひとは誰でも しあわせさがす 旅人のようなもの
希望の星に めぐりあうまで 歩きつづけるだろう


銀河鉄道999のオープニング曲で繰り返されるこのフレーズが、ずっと頭から離れずにいる。

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